邪
魔
な
広
告
よ け ス ペ ー ス で す。
2004年5月31(月)
<<邪魔臭い>>
聖霊降臨祭の月曜日(Pfingstenmontag)にて祝日。天気は曇りがちで時折遠く
で雷の音も。朝はゆっくり起きて、適当に朝食と昼食、そして洗濯などを挟ん
で研究ノートの整理。夕方終了。さてと散歩にでもと思ったが、天気もぱっと
しないし、明日の朝PCとCD−RWと、週末に何冊か自宅に持ち帰った本を
担いで大学に出勤し、スイッチを入れてから立ち上がるまで5分以上かかる
PCが立ち上がるのを待って、Herzog先生にメイルで研究ノートのプリント
アウトを依頼し、さらに今メイルを送ったけれどちゃんと読んだか、TeXのコ
ンパイルは2回やらないと参考文献の参照がちゃんと出ないから注意してくれ
等等と注意を促し、連休中に溜まりに溜まったスパム・メイルを消去して、そ
うこうしているうちに昼食の時間になり、メンザに急行してschnell essen
(早食い)し、それからHerzog 先生の部屋でコーヒーを飲みながらなかなか難
しくて困った事になってきたななどと議論して、等等。これら一連の作業を一
度にやるのが邪魔臭く思えてきて、作業の一部を今晩中に片付けてしまおうと
閉鎖中の静かな大学へ。
それにしても、天国ドイツにいながら邪魔臭いとは危険な精神兆候 ではないか。やはり、プリンターがまともに使えないとか、図書館が意地悪 だとかいうことが、ボディーブローのようにじわりじわりと効いているのかも 知れないな。
2004年5月30(日)
<<スペシャル>>
朝は少し遅めに起きる。適当に朝食、シュパーゲルを使った昼食(1日1食は
シュパーゲルである)。それ以外は宵の口まで数学。昨日に引き続き、初夏を
思わせる気温。天気は悪くはないが、昨日のように最上級の快晴でもないし、
夕方の散歩は省略。夕食後はアイロンかけをし、その後はのんびりくつろぐ。
何を今更と言われかねないが、数学とは難しいものである。当該分野全体 の広い流れの延長上に研究問題を見出すのは研究の王道だと思うけれど、そう いった問題は筋が良くて研究する必然性も重要性も明らかである反面、本質的 に新しい事を発見するのは至難の技である。何らかの発見をしたと思っても、 同じ事を考えている競争相手が多いだけに、既に出し抜かれていたということ は十分ありうるし、どうやら出し抜かれてはいないようだと安心したのもつか の間、結局それが良く知られた古典的結果の特殊(スペシャル)な場合でしか ない事が判明するリスクは少なくない。お釈迦様の手のひらから抜け出せな い孫悟空のようなものである。
それでは、メインストリームから外れた、あまり他の人が考えそうにない 問題を探して研究してみたらどうか。競争相手にせかされることなく、自分の 心の底から湧き起こる興味に導かれながら、自分のペースで研究ができ、運が 良ければ「ちょっと面白い」発見ができたりもする。しかし、その「他の人が 余り考えそうにない」「ちょっと面白い」発見が、「独創的な研究」として評 価されるに耐えられる内容であることは恐らくは稀で、多くの場合「スペシャ ルな」話題だとして職業的数学者のコミュニティーの中で一蹴されてしまうリ スクを負うのである。
いずれにせよ、数学というのは「スペシャル」というのを嫌いますな。私 は結構スペシャルって好きなんですけど。どうも私は子供の時からそうなのだ けど、何かにつけて「スペシャル」に走る傾向がある。物事を素直に真っ直ぐ に見て突き進むのが嫌いな、へそ曲りなのである。数学の研究でも、放ってお くとどうも「スペシャル」に走る傾向があるらしく、ドイツに来た機会に Herzog先生と一緒に数学をやって、「スペシャル」志向から「王道」志向へ軌 道修正を図りたいと考えている。しかし、王道もまた「古典的結果のスペシャ ル」というリスクがあるのだから、なかなか大変だなあと思うのである。 なかなか大変だなあなどと思っているうちに、また少しづつ「スペシャル−」志向 に戻って行きそうな気もするな。
2004年5月29(土)
<<太陽がいっぱい>>
午前中はエッセン・シュテ−レの土曜朝市でオランダ産上物シュパーゲルとド
イツ産新鮮苺を調達。ついでに近くのREWE Centerで、その他のこ
まごましたものを調達。土曜朝市のいつものおばちゃんの店は、いままで1k
g5オイロだったのが、今日から5オイロ50セントに強気の値上げ。それに
してもこの店の売れ方は尋常ではない。おそらく開店直後から売り切れになる
まで行列が10メートル以下になる事は無く、「飛ぶように売れる」という言
葉の雛型のような売れ方をしている。他の店を覗いてみると、1kg3オイロ
から7オイロとずいぶん値段に幅があり、別に行列なんてできていない。
さて、昨日まで日本の3月下旬並の気温と肌寒かったのだったが、今日は 初夏を思わせるぐらい暖かく、湿度は低いし、天気は上々。絶好の数学・散歩 日和である。昼食後はキッチンのテーブルに大学から持ち帰ったPCを運び込 んで数学。まだ日も明るい夕方6時頃に終了して2時間程散歩に出る。今日は 南のルール川沿岸あたりを散策し、エッセン・ユーバールール(「ルール川上 手」の意?)駅からSバーンに乗ってエッセン・シュテ−レ東に帰ってきた。
鴨川を見慣れている私にとって、ルール川ってまっ茶っちゃの水がどろろ
と流れる小汚い川にしか見えない。こんな水ぢゃあ水遊びなんてできないし、
(鴨川上流から時々下流に流されてくる)大山椒魚は住めないななどと考えな
がら、川べりの公園だか何だかよくわからない草原のようなところを歩いて行
くと、何かしらのグループがピクニックをしたり、家族でバーベキューをした
り、近くのレストランでビールを飲んだりしてくつろぐ人々が見られた。どう
やら、川はただそこにあること自体が重要なのであって、水が綺麗だろうが汚
かろうがそんなことはどうでもよいようである。あるいは、綺麗な水の川なん
て、そんなものは無いんだからしょうがないではないか、俺達にどうしろって
言うんだ、ということかもしれない。写真は、汚いルール川べりの綺麗なビアガーデン。
溢れんばかりの太陽の下で、人々がのんびりくつろいでいるのが見える。
さらに川べりを離れて住宅地に行くと、自宅の庭で家族でバーべーキュー を楽しむという、まさに絵に描いたような、と言うかREWEの広告に書いて あったような聖霊降臨祭過ごし方をしている人々が少なからず見出された。あ とは、Gartenbauverein(庭作りクラブ?)と呼ばれる、小さな小屋付きの家 庭菜園みたいなものが密集しているところがあって、休日になるとそこで家族 でのんびりすごすようである。近所の庭作りクラブは1917年開設と書いて あったから、昨日今日に始まった気まぐれではなさそうである。なるほどこれ が連中の言うところの「休養(Erholung) 」ってやつか。よく憶えておこう。
それにしても”太陽
がいっぱい”とはこのことであろう。とても気持ちが良い。昔アラン・ドロン
というイタリアの有名な二枚目俳優主演の「太陽がいっぱい」という映画があっ
て、それはとても良い映画らしいから大人になったら一度は見てみたいものだ
と思ったのだが、まだ見ていない。ここで白状するが、「太陽がいっぱい」と
いうのは、太陽が7、8個空に輝いていることだと信じていて、この映画関係
者たちは一体何考えてるんだろう?と思ったまま今日まで来てしまったのだ。
そうではない、ということが今日初めてわかったのである。写真は、夕方で道
路が陰になってはいるものの、太陽がいっぱいの街角。この空の青さがたまら
ない。
私の心の中には、こういうつまらない誤解に基づく偏見がたくさん存在す るようである。大抵の誤解は小学生時代に形成されているようで、一体私は小 学生時代にどういう精神世界を生きていたのだろうかと首をかしげたくなる。 シューベルトについても、恐らく小学生時代に言語表現を超えたところでとて も奇妙なイメージが焼きついてしまっていて、モーツアルト以上に毛嫌いして いた。モーツアルトは「嫌い」だが、シューベルトは「アウト・オブ・眼中」 といった具合。そして、アオト・バーンを時速120キロで快走するHerzog 先生自慢のBMWのカーステレオでちらりと聞かせてもらって、「高山、これ 誰の曲か知ってるか?」「モーツアルトでないことはわかります。ショパンに ちょっと感じが似てますが、やはり全然違いますね。シューマンですか?(あ てずっぽうに「シューマン」と言う悪い癖も何とかしないといけないな)」「シュー ベルトだ。いいだろう」ととうやりとりがあるまで、シューベルトが如何に深 く明晰な曲を書いているか知らなかったのである。この深さと明晰さは代数学 者には不可欠であり、必ずや私の霞のかかった脳味噌を少しはまともにしてく れるに違いない!と、先日シューベルトのピアノ曲のCDを一枚買ったことは 言うまでも無い。
2004年5月28(金)
<<思いっきりコピー>>
出勤前にスーパーへ。なぜこうも頻々とスーパーに通わねばならぬのか。野菜、
果物、牛乳、パン、チーズといった冷凍が効かない生鮮食品が多いからか。牛
乳など今日が賞味期限なのに、今朝3分の1ぐらい残っているのを注ごうとし
たらヨーグルト(!)が出てきた。牛乳でこんなに上手にプレーン・ヨーグルトを作るのはこ
れで2回目である。日本でも前回滞在時でもこんなことはやったこと無いのに、
冷蔵庫の温度設定がいけないのかしら。こんな調子だし、最近は土曜朝市に行
かなくても上物のシュパーゲルがスーパーでも出回るようになってきたし、元々
スーパー大好きだし、何かといえば祭日になってすぐにスーパーが閉鎖されて
しまうことに対する潜在的恐怖感もあるし、益々スーパー通いがやめられない
な。
今日も一人でHerzogグループのお留守番。静かに考えらえるというのは、 良いことである。しかし、私がエッセン大学意地悪図書館でコピーできる論文 は1990年代のものと、2000年代のごく一部のものだけである。それ以 外のものを閲覧なりコピーなりしようとすると、(客員研究員には発行しない) Ausweis, Ausweis, Ausweis ... ええい、いまいましい!しかし今日はたまた ま1995年の論文を2つばかり見る必要があって、それは閲覧可能だった。 当然、思いっきりコピーしてやりましたけどね。 最近ぼやき芸が定着してきたな。
2004年5月27(木)
<<きっちりしている>>
日本に一時帰国していた
りしてバタバタしてたので、ドイツ・テレコムの電話料金振込みが遅れてしまっ
た。24日が締切りだったのだが、振り込んだのは25日の朝。そしたら昨日
帰宅した時、早速電話料金の督促状が届いていた。曰く、振込用紙をもう一度
同封したから早く支払うべし。これは最初で最後の警告だから、もたもた
しているとこちらの思い立った時に有無を言わせず電話を使えなくした上で追加料金を
課すぞ。もし法廷で争いたいならばいつでも受けて立つぞ。この督促状が支払
い直後に届いたとしたら以上の内容は無かったものと思ってもらえばよいが、
次回の請求書で1オイロ(約140円)の手数料を課すからそのつもりで云々
と、色々脅迫じみた慇懃無礼文言のテンコ盛りである。まあ、支払いが1日遅
れただけで、ずいぶんきっちりしたものをよこしてくれるものだ。
ドイツ・テレコムがまともな会社だったら「きっちりしてて良いではない
か」と言いたいところ。しかし、3年前窓口の手違いで電話回線を切られ、現
状復帰(再接続)を要求するも2週間も放置し、その上窓口の人が「そんなの
払う必要が無いので、その旨伝えておきます」と言っていた(再接続に伴う)新
規加入料金の請求書を何度も、しかも日本に帰国するので住所変更手続きをし
たにもかかわらず、いつまでもドイツの旧住所に送りつづけた会社であること
を思うと、「笑わせてくれるではないか」としか言いようがない。どうも、ロ
クな本も置いてないくせに(客員研究員には発行しない)Ausweis (身分証明
書), Ausweisと五月蝿い、エッセン大学意地悪図書館とだぶって見えてし
まうな。
本日普通に大学に出勤して普通に過ごす。昨日に引き続き、研究ノートの 補充と整理。例の論文を見てみないと何とも言えない部分があるけれど、それ 以外でできる事、考えらえることを色々と押さえておく。
そういえば一時帰国の際に経由したパリのシャルル・ド・ゴール空港の建 物の崩落事故が起こって、犠牲者なども出て大騒ぎしているそうだ。ドイツに 戻る日程次第では、崩落事故に遭遇してたかも知れない。危ないところだった。
2004年5月26(水)
<<ドイツの空>>
昨日あたりから心身・公私こもごも、ともにどうもこうにも何かについけて調
子が悪い。調子が悪いと色々来し方行く末を考えて早く目が覚める。もう少し
寝てようかと思ったけれど、昨晩眺めていたあるテキストの演習問題(と称し
て著者が証明を書くのをさぼった某定理)を使えば、「15メートルふっ飛び
問題」に少しは進展があるかも知れないと気になりだし、起き上がる。気分の
みならず胃の調子も悪いことだし、簡単に朝食を済ませてさっさと家を出、9
時には大学に出勤。途中メンザで(さっさと)昼食をとり、その後学生寮
Brücke (「橋」の意)付属カフェで(さっさと)カプチーノを飲んだ以外
は、夕方頃までオフィスで研究ノートの整理などに励む。確かに少し進展はあっ
たが、ある程度話がまとまってきてようやくこれで論文が書けそうだなとなっ
てきた時に、「そういえば、それらはみーんな某数学者の数年前の論文で証明
済みでーす!」って事が判明して500メートルぐらいふっ飛ぶ、というのは
よくあるパターンである。今回もそういう事になりはしまいかしら。
おっと、いかんな。調子が悪いと、物事どうも悲観的
に考え過ぎてよろしくない。
写真は、私のオフィ
ス。埃を固めて作られたような汚い机は、ここに最初に来た日に1時間ぐらい
かけて掃除をしたため、今では結構快適である。電気スタンドはアームがひん
曲がっているのだが、別に使用上の不便は無い。窓からはロクな風景は見えな
いが、ドイツの空ぐらいはどうにか見えるから、よしとしよう。問題はパソコ
ンであり、プリンターであり、意地悪なエッセン大学の図書館である。ちょっ
と手抜きをして普段あまり使っていなかった古いパソコンを日本から持ってき
たのだが、これが猛烈に遅く、ノート整理などの作業をしていると腹が立って
くる。また、パソコンの画面上でノートを読むのは何となくやりにくく、ある
程度まとまったところで印刷したいものだが、印刷各種下請け応需のHerzog先
生はイタリア出張中。それでもって、1980年代のある論文を見てみる必要
に迫られているのだが、エッセン大学意地悪図書館は、私にそれを見せてくれ
ない。糞ッたれめが(Scheisse!) 頼みの綱は印刷下請け業者にして論文コピー
各種取り寄せ代行業者であるHerzog先生。Pfingstenの祝日のことをすっかり
忘れて「来週月曜日には帰ってくるよ」などと言ってたが、大学に戻るのは来
週火曜日であろう。パソコンが遅い!プリンターが使えない!図書館が意地悪
だ!これらが、調子の悪さに拍車をかけている。
2004年5月25(火)
<<休養>>
本日午前中はスーパーに行ったり、電話料金の振込みに行ったり。
昼前に大学に出勤。「15メートルぶっ飛び問題」で木っ端微塵状態になった
研究ノートの落ち葉拾いなど。
昨夜、 (朝7時から気合いの12時間営業の)REWEの広告が自宅ポストに投げ込 まれていたので、何となく見ていると、来週月曜日は聖霊降臨祭(Pfingsten) という祝日だそうだ。私は仏教徒なので、祝日の由来や宗教的意義にはあえて 立ち入らない。しかし、REWEの広告と昨日のドイツ語講座で使われたプリ ント(そういえばこれもPfingstenに関するものだった!)によれば、この週 末連休は家族で遠足したりバーベキューをして休養する日であり、REWEは バーベキュー用に下ごしらえした各種の肉を全力提供致します、ぜひ(聖霊降 臨祭前日までに)食肉コーナーに一度お立ちよりを!とのこと。おなじ文言が、 今日スーパーに行ったら、エンドレステープで流れていた。
休養する日、ねえ。そういえばこないだから祝日続きで「休養(Erholung)」 ばかりしているではないかと思うのだが。いずれにせよ、またぞろ、スーパー も大学も閉鎖され、食料の調達だのプリンター・ジョブだのをどうしようか、 新鮮なシュパーゲルが調達できる 土曜日の朝市もとばっちりを受けて中止にならないかしら等等と頭を抱える日々 がやってくるわけである。ドイツにまるまる半年近く数学をやるためだけに滞 在し、毎日が「休養(Erholung)」状態の私と、日々の日常生活(Alltag)を生き る彼らとは、やっぱり調子が合わないな。
ところで5月下旬な
のに、ここんところ気温は京都の3月下旬並みで、学生達は薄手のコートなど
を着込んでいる。噂には聞いていたけれど、結構天気は不安定なようだ。春先
のような肌寒さの割には、着実に日は長くなっており、「夜10時を過ぎない
と夜にならない」のだから変な感じである。写真は自宅キッチンの窓からの眺
め。休みの日は、この風景を眺めながらキッチンのテーブルで数学をやって
「休養(Erholung)」するのである。サマータイムが導入されているとは言え、
この明るさで夜9時とは驚き。
2004年5月24(月)
<<並列計算理論>>
今週Herzog先生はイタリア出張。アハードさんやチェンさんも一緒について行っ
たようで、Herzogグループは私独り留守番となった。勿論プリンターは使えな
い。計算用紙やペンが無くなったらどうするかというと、「秘書が来た時に頼
めばよい」という。秘書なんて居たんですか?一度も見たこと無いですよ。一
体何時居るんですか?とHerzog先生に詰め寄ったのだが、結局「居る時は居る、
居ない時は居ない。運を天に任せて探してみよ」以上の答は得られなかった。
並列計算理論において、「観測者から見て区別がつかない計算は多少の違 いがあるような気がしても同じものだと思うことにしよう」というのがあって、 私はこの思想の熱狂的隠れ信者である。世界は複雑系である。複雑系とは超並 列計算の世界である。よって、生活のあらゆるところでこの考え方を適用する のは正しい態度である。さて、秘書の居ない場合と、居るのだけど一度も見た こともない場合は、観測者の私からは区別できない。よって「秘書なんて居な い。よって探してもしょうがない」なる結論が導かれる。
本日午前中は3週間ぶりのドイツ語講座。チェンさんにおだてられて上級 講座にしたものの、けっこうキツイものがあるなあ。今更後に引けないけど。 そういえば、ドイツ語講座の先生は、来週の月曜日も祝日だから休講だとか言っ てたな。ほんまに祝日天国の国ですなあ。午後は昨日に引き続き数式処理シス テムを使って具体例の計算。
2004年5月23(日)
<<じみじみ思う>>
朝は少し遅めに起き、簡単に朝食をとってから数学。途中昼食。昼食後はPC
を居間のソファーからキッチンの小さなテーブルに移して具体例の計算。ある
論文に一連の例の構成法が抽象的に示してあるので、それを使えば新しい具体
例が構成できるかもと、数式処理ソフトを使って数時間色々計算。結局、良く
知っている例しか構成できないことがわかり、どっと疲れる。気が付いたらも
う夕方。夕方と言ってもまだ明るい。最近は夜9時時過ぎまで昼間同然に明る
く、10時を過ぎてやっと夜になる。夕食にはまだちょっと早い。
そこで気晴らしに散歩に出ることに。
近所の薬局の電光掲
示板によれば、気温は15度前後、湿度40%。抜けるような快晴で散歩には
絶好にコンディション。まだ歩いた事のない通りをどんどん進み、隣のエッセ
ン・アイベルク駅まで行って電車でエッセン・ステ−レ東駅に戻り、またその
辺をうろうろし、かれこれ2時間ほど歩き回った。途中、エッセン・アイベル
ク駅前で、一度撮りたかった救急車の写真が撮れた。白地に蛍光色のどぎつい
ヴァ−ミリオンという私好みの配色。日本のそれに比べて、ちょっとハスキー
で騒々しいサイレン。なかなか宜しい。乗ってみたいとは思わないけどね。
ここで白状するけれど、京都に一時帰国していたときは、またドイツに戻 るのかよ、あそこは楽しいといえば楽しいけど色々面倒臭い所だからなあと いう、少し億劫な気分が無きにしもあらずだった。 しかし、こちらに戻って来て、「狂気の枝」をすっかり覆い 隠すように茂りはじめた若葉を一杯つけた立派な木々や、単純だけれど美しい デザインの真新しいアパートなどを眺めながら、自宅の近所を散歩していると、 やっぱり戻って来て良かったなあとしみじみと思うのである。
2004年5月22(土)
<<しばし反省>>
昨日、エッセン大学の休みなのか否かよくわからない中途半端な状態を指して
「ほんまにアホな事やっとるなあ」と蔑んでみたけれど、大学から自宅に帰る
途中に地下鉄を使わずにエッセン市街を歩いて行ったら、どうやら街全体が
「中途半端」なのであり、大学の状態はそれを反映したものにすぎない事が判
明した。Herzog先生が「15時には家に帰らねばならぬ」と何やら数学の議論
よりもはるかに重要な用事があるような素振りそしていた(こういう事は別に
珍しくも何ともないが)のも、電車の駅にやけに子供達が溢れ返っていたのも、
この事に関係しているようだ。
どうやら、キリスト昇天祭というのは彼らにとって特別な意味合いがある らしい。街の店舗はほとんど全て通常営業しているけれど、通りには屋台や移 動式遊園地がたち並び、溢れ返る遊び気分一杯でぶらぶら歩きしている人達と 真面目に商売している店の人達の不思議なコントラストが、「ほんまにアホな 事」と蔑んだ私の浅はかさを暗示しているかのようであった。しばし反省。。。 そして「ほんまに。。。」発言を、「やっぱり彼らの考えている事はよくわか らない」と訂正する。
さて、本日午前中は食料調達、洗濯、掃除など。まず、
キリスト昇天祭のとばっちりで休みになってないかと心配した、
エッセン・ステ−レの朝市に出掛けてシュパーゲルや果物や野菜を調達。
シュパーゲルは何件かの店で売っていて、ちょっと見たところ品質には大して
変わりが無いように見えるのだが、なぜか写真の青い服のおばちゃんがテーブ
ル1つでやっている店だけがいつも行列ができている。私も付和雷同して行列
に加わり1キロ5オイロ(約650円)でヴァイサー・シュパーゲル(白アス
パラガス)を買って来た。それから、朝市近くのスーパーREWE CENT
ER(自宅近くのREWEと同系列)と自宅近くのパン屋にも立ち寄る。
地元の常連客中心のこのパン屋には初めて入ったのだが、怪しげな片言ド
イツ語で注文する見慣れぬ外国人の私に店の人もちょっと困惑気味。数学の議
論のメイルをドイツ語で書くのには馴れてきたけれど、「上から2番目の棚の
左から4番目の向日葵の種みたいなのが一杯くっついたパン」をどうやってド
イツ語で言うかは、案外盲点なのである。ところで、ここのパンはちょっと以
外な程美味しかった。また、買いに行くことにしよう。
午後は数学。PCを自宅に持ち帰ったので、TeXの研究ノートを整理しなが ら昨日の議論の結果を拡張してみたり、その先を考えてみたり。そういえば、 「最初の4割」部分をTeXで纏めて、それを眺めながら先を考えるというのも、 Herzog 流数学研究法だな。
2004年5月21(金)
<<最初の4割>>
出勤前に、朝7時から気合いの全力営業のREWEスーパーで生鮮食料品の買
出しを済ませてから大学へ。今日は休校日ではないのだが、(恐らくは昨日の
キリスト昇天記念日気分を週末まで維持・拡大するために)メンザは休み。こ
の中途半端な状況の中で、中途半端な数の講義が休講になり、中途半端に講義
が行われ、その結果中途半端な数の学生と教員が大学をウロウロする結果となっ
ていた。まあ、他所の国の事だからどうでもいいけど、ほんまにアホな事やっ
とるなあ。
心配した私の昼食は、「客員研究員のザマニ」さん改め「院生のアハード」 さん夫婦がおいしいイラン風ハンバーグを作ってきてくれて、トルコ風のパン とともに彼らのオフィスでHerzog グループ全員にふるまってくれた。Herzog 先生が言うように「今日メンザが休みでかえって良かった」。
さて本日午前中は院
ゼミ。アハードさんとチェンさんがそれぞれ3〜40分程度発表。アハードさ
んはEisenbudの教科書のregularityの部分、チェンさんは20年前のNagoya
J. Mathのsliding depth と strongly Cohen-Macaulay idealの論文の紹介。
いずれも良く知っている話だけど、セミナーで復習できるのは有難い。ゼミ室
というものが無いので、空き教室の黒板を使って行う。黒板は水に濡らしたス
ポンジで拭いてワイパーで水気を払うので、日本の黒板のように粉受け部分が
無いことに注意。勿論、黒板の下の床には、チョークの粉を含んだ水が常時滴
り落ちるため、鍾乳石がどんどん成長している(嘘)。写真では、水道設備が
写っていることに注意。計算機設備やメンザの休み、何を考えて作ったのか分
からない建物の建築など、私にはエッセン大学を少し小馬鹿にする気持ちが無
きにしもあらずだが、各教室に水道設備を整えるというのは、敬服に値する立
派な見識だと思う。
アハードさんは、日本式に言えば恐らく修士2回生あたりの院生で、 博士号を目指して5年ぐらい滞在するそうである。私は大学院を出ていないし、 まともに院生を指導した経験も少ないのではっきりした事はわからないけれど、 ゼミの発表内容を鑑みれば、飛びっきり優秀な学生と言ってよいかと思う。 チェンさんも、これまた日本式に言えば恐らく修士を卒業して博士課程から 留学し、2年半で先日学位論文を書き上げたのだから、やはり飛びっきり優秀 だと思う。そうか、堂々と研究者を目指せる優秀な院生というのはこういう人達 を指すのだ。よく覚えておこう。
午後はHerzog先生と「15メートルぶっ飛び」問題について議論。少しだ け進展があったけれど、前途多難だなあというのが全般的な雰囲気。まあ、研 究というのは常に前途多難なものだけどね。それにしても、最近Herzog流数学 研究法が少しわかってきた。まず、何かしら(ささやかだが)旨い事実なりア イディアから「こういう事が成り立てば美しくって良いなあ」という、できる だけ自然で美しい一連の予想を立てる。つまり研究のプログラムを提示する。 研究プログラムは助走の部分の最初の4割ぐらいはうまく行くが、私の共同研 究の経験では、大抵そこから先に予想の反例が見つかったり、全く先に進めな かったりして、予想の甘さがはっきりしてくる。そして、そこからどこまで踏 ん張るが勝負となるわけである。Herzog先生も勿論頑張るのだけど、共同研究 者の私がアホだと、結局ぱっとした結果も得られずに終ることにもなりかねな い。そういう意味では、私もしっかりしなければならないのである。それにし ても、最初の4割で雲行きが怪しくなるにしても、研究プログラムが提示でき るというのは、それだけでも凄い事だなと、常に手探り一辺倒でやってる私な どは思うのである。
2004年5月20(木)
<<帰還>>
昨夜無事ドイツに帰還。JALのパリ行きの便は、日本に帰って来た時の便と
は打って変わって乗客が少なく、4人分の座席を占拠して横になって眠れたり
した。結局、恐れていた”窮屈なエコノミー・クラス”というのは杞憂に終っ
た。写真はシャルル・ド・ゴール空港に降り立った時に写したもの。
パリは太陽がカンカン照りで暑かった。
乗り継ぎのデュッセルドルフ行きの便が「保安上の理由により」25分遅
たのだが、それは実は元フランス大統領のジスカール・デスタン氏が(たぶん
個人的な用事)で同じ便に乗り合わせいたためだったようだ。私は気づかなかっ
たが、自慢のBMWでデュッセルドルフに迎えに来てくれたHerzog先生は、
「(他の乗客に先駆けて)真っ先に出口に出てきたところを目撃した」と一寸
興奮気味に教えてくれた。
週末にドイツに帰ってくるとスーパーが休みで食料品が買い出せないこと を考慮し、週の途中で帰ってきたつもりなのに、何と今日は祝日!また祝日で すか?貴方達は3日に1回祝日にして遊び呆けてるんですか?少しは祝日を蹴 飛ばしまくっている我が立命館大学を見習ったらどうなんですか?!と思わず 切れて暴れそうになった。実はキリスト様が昇天した目出度い日なの だそうで、マリア様が昇天した目出度い日も別途祝日になっているそうである。 日本では仏陀が悟りを開いたという12月8日は祝日ではない事を思うと、や はりドイツはキリスト教国だな。仕方なく昨夜Herzog先生の奥さんに朝食用の パンを分けてもらった。
本日、エッセン中央駅で水と食料を調達して誰も居ない大学に出勤。 一昨日の夜から頭の中だけで考えていた「15メートルぶっ飛び」問題 の続きを、計算機実験やTeX化の作業を交えながら詳細に検討しなおす。 夕方はエッセン中央駅スーパーへ食料品の買出し。
2004年5月18日(火)
<<本当に知りたい事>>
本日も十分な睡眠を取る。とりあえず風邪は治まったようだが、風邪の細菌は
隙あらば盛り返しのチャンスを窺っているようにも思える。このしぶとさはぜ
ひ見習わなければなるまい。
午前中は自宅でメイルのチェックや野暮用、明日の出発のための荷造りな ど。Herzog先生はデュッセルドルフ空港にBMWで迎えに来てくれるらしい。 その後、買い物に出たついでに山科駅前SBUXで少し計算。思うところあっ て自宅に戻り、パソコンで幾つかの具体例を計算。何か手がかりが得られるか と思ったが、単に「15メートルぶっ飛び」問題の深遠さ再確認するだけに終 わる。
日々膨大な数の数学論文が書かれ、数学はどんどん進歩しているようにも 思えるけれど、本当に知りたい事についてはほとんど何もわからないままのよ うな気もする。本当に知りたい事というのは、大抵素朴でささやかな問いかけ であり、それは同時に無謀な問いかけである事が多い。「15メートルぶっ飛 び」問題も、無謀な問いかけではないかしらって気がしてきた。何か少しでも 分かりたいものだが。
夕方、再び買い物等のため街に出る。夜も出発の最終チェックなどをしながら、 時間が許す限りパソコンなどを使って計算。
さて、あすはドイツに帰国、もとい、戻る日である。前回ドイツ滞在時には、
リッチな立命館からビジネス・クラス往復分の旅費(多くの教員は家族連れで
渡航するので、名目教員1名分のビジネス・クラス旅費を、家族数名分のエコ
ノミー・クラス旅費として使っていたと思われる)が出たので、当然の如く行
きはビジネス・クラスに乗り、帰りは幸運なアクシデントによりビジネス・ク
ラス料金でファースト・クラスに「はじき飛ばされた」。かように航空機にお
いて既に頂点を極めてしまった私としては、もはやエコノミー・クラスという、
旧ソ連の潜水艦か宇宙船の如き(?)著しくアメニティーに劣る寿司詰め座席
などには、全く乗る気がしないのである。だいたいエコノミー・クラスでヨー
ロッパなどに遠出すると、最近騒がれているエコノミー・クラス症候群のみな
らず、何回かに一回は、首を寝違えて手が痺れるだの、しつこい腰痛に見舞わ
れるだの何だのという、整形外科的障害に見舞われる心配がある。やはり自分
の体はお金には代えられない。できるだけ飛行機に乗る回数を少なくする努力
をし、どうしても必要な場合は多少無理をして私財を投じてでもビジネス・ク
ラスにするようにしている。年に数回、エコノミー・クラスの飛行機に乗って
世界中を飛び回っているHerzog先生のような人って、とても「強い人(頑丈な
作りの人)」だと思う。
今度のドイツ渡航も、今年から立命館もエコノミー・クラスの渡航費しか
出なくなったけれど、勿論私財を投じてビジネス・クラス。しかし、今回の一
時帰国は、この2週間にかなりの散財を余儀なくされたこともあって、さすが
にエコノミー・クラス。ああ、「自分の体はお金には代えられない」と言って
おきながら、この矛盾した行動が生涯の禍根とならないこと、すなわち、五体
満足で無事ドイツに帰国、もとい、戻れることを祈るばかりである。写真は、
今回の一時帰国の際に乗ってきたJALの飛行機。パリのシャルル・ド・ゴー
ル空港で出発準備中の様子。JALは初めて。従って、乗客も客室搭乗員も日
本人ばかり、というのは初めての経験で、ちょっと不思議な気分だった。
2004年5月17日(月)
<<アメリカ嫌い>>
風邪気味なのでぎりぎりまで休養の睡眠を取り、風邪薬を飲んで昼前から世界
を飛び回って夜遅く帰宅。これで最後。明日は静養し、明後日はドイツに発つ
予定。終日あちこち移動しながら、例の「15メートルぶっ飛び」問題につい
てずっと考えていたのだが、どうも当初考えていたよりも微妙で根が深そうで、
何か良いアイディアが無いと先に進めそうにないことがわかってきた。
さて、これは自宅ア
パートからエッセン・ステーレ東駅に向かう途中の道。4月始めに私を出迎え
てくれた、例の中国人グループが音を上げそうになった、急な坂道である。確
かに初めてこの坂を見ると、ちょっと気分が滅入ってしまうかもしれない。建
物の並び方を見れば、どれぐらいの坂か見当がつくのではないかと思う。ここ
の建物は全て石(コンクリート)づくりだけど、これが木造だったとすればサ
ンフランシスコの坂道とそっくりではないかと思う。もっとも、私がサンフラ
ンシスコに行ったのは、後にも先にも1987年の9月の一度きり。その数年
後にはすっかりアメリカ嫌いになっていた私が、再びサンフランシスコの坂道
を行くことはあるまい。しかし、ここでは、チンチン電車が走り地震が多いサ
ンフランシスコとは違って、2両連結バスが走っているし(ごく小さなものを除
いて)地震など起こらないらしい。
一番手前の建物は2階部分が道路の位置までせり出している。
昔、ドイツの固定資産税は一階部分の面積で決められたらしく、
一階を狭く二階以上を道路側にせりださせて面積を稼ぐ工法が
広まったらしい。この建物を見るに、今でも同様の固定資産税の仕組み
が採用されているのだろうと思われる。それにしても、この
建物の建て方に、マルクからユーロに変わった時にドイツで広く
行われたという便乗値上げに透けて見える、ドイツ人の狡っからさ
と同質のものを感じてしまう私って、何か変かしら。
2004年5月16日(日)
<<とっても便利>>
日々精力的に動き回り、睡眠や食事が少し疎かになっているせいか、風邪をひ
きそうな気配。早めに風邪薬を飲んでおく。とにかく時間があれば休養しよう
ということで、朝はゆっくり起きる。午後はHerzog先生に昨日の計算などから
わかった事をメイルで送った以外は、雨の中を移動したり、インターネットで
調べ物をしたりと色々作業。
さて、この写真は朝7時から気合の12時間営業を続ける、自宅近くのスーパー
REWE。REWE自体は平屋づくり。白っぽい四角いビルが見えるが、それ
は後ろにあるアパートであってREWEとは無関係。
日本のスーパーは9時や10時にならないと開いてないことを思うと、7時から
の営業は思わずエライ!と褒めてやりたくなる。もっともドイツには24時間
営業とか早朝から営業しているコンビニのようなコンビニエント(便利な)物
は作ってはいけない事になっているので、スーパーがその代わりをやっている
とも言える。そういえばドイツの高校って、朝7時台から授業が始まるのが普
通で、午後はせいぜい2時頃で終わるようである。そのため昼食のための休み
時間は特に設けられていないとか。こんな調子で何故か皆さん早起きなので、
7時始業は彼らにとっては気合いでも何でも無いのかも知れないな。いずれに
せよ、朝大学に出勤する前に食料品などの買い物を済ませておけるのは、とっ
ても便利。