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よ け ス ペ ー ス で す。

2007年7月15日(日)
<<下世話で面白い話>>
台風一過、野暮用の日曜日。終日山科区内で野暮用。途中山科駅前SBUXで 一休み。隣の席で看護師と思われる若い二人の女性がお喋りをしていた。バツ いちの某男性医師は仕事の合間に自分のプライベートな事について問わず語り をしてきたのだが、そこで彼がバツいちになった理由を聞いて驚いた、と。何 でも奥さんが朝御飯の時に新聞をテーブルの角にきっちり合わせて置いてくれ ない事が原因で喧嘩をしたからだという。そこでその看護師は、先生、夫がそ んなんじゃあ私だって嫌ですよと言っておいた、と。ああ、世の中では日々そ んな事がおこっていて、人々はお茶を飲みながらこんな面白い事を話している のか。私のように、普段自分の世界に引き篭もっている人間でも、街に出れば 人々についての下世話で面白い話を耳にすることができるってわけだ。

下世話で面白い話関連でいえば、今、次のような問題にちょっと関心を持っ ている。 貴方の知人Aは物の見方が常に一面的で浅く、会話に使われる言葉には、時に 気が滅入る程どぎつく悪趣味な言い回しが混在し、まさに彼または彼女の浅薄 な人格そのものを象徴しているかのようである。 いっぽう、別の知人Bは、貴方のみるところAとは対極に、感受性に富み思慮 深く、真っ直ぐな心を持った、人間としての気品さえ感じさせる人物である。 さて、ここでまさかと思っていたAとBがとても親しい親友であることが判明 し、この意外な取り合わせに貴方は混乱し、何かが間違っているに違いない と考えた。さて、この場合、 (1)貴方のAに対する(否定的)評価が誤っている、 (2)貴方のBに対する(肯定的)評価が誤っている、 (3)貴方のA,Bに対する評価は間違っていないし、ある部分で両極端 の人間が親友であることは現実的に十分あり得る、 (4)貴方のA,Bに対する評価は間違っていないが、 AとBは実は親友ではない、 (5)貴方の世界に対する認識自体が歪んでいて、何もかもが間違っている、 のいずれが正しいであろうか? 一般論では何とも答えようのない問題だが、 自分自身の経験に引き寄せて考えてみると、案外難しく、そして結構面白い。 貴方の近くに、Aさん、Bさんは居ますか?

夜は久しぶりにアルコールを摂取してぼんやりする。

2007年7月14日(土)
<<再び野に放たれる>>
ゲーテ夏学期最終日。この時期には珍しく台風が近づいているらしい。いつも のようにSBUX新京極店で昼食の後、映画を見るわけでもないのに向かいの MOVIX京都に侵入してトイレで歯磨きをし、JEUGIA三条本店をしば し偵察してから、お気に入りの寺町通りを徒歩で北上してゲーテへ。

授業が始まるや否やゲーテの管理職とおぼしきドイツ人のおじさんが乱入 してきて、突然のゲーテ京都校リストラ計画が発表された。近年のドイツ語不 人気の影響で大阪校、京都校ともに思うように生徒が集まらず経営が苦しいた め、京都校の上級クラスは今学期限りで廃止されるという。先日の「心の病」 関係の医者につづいて、私は再び野に放たれたというわけだ。

野に放たれる、ああ、何て良い言葉なんだろう。私はいくつかのものを 失うことになるが、同時に新しい何かを得るチャンスとも考えることができる。 今後は梅田のゲーテ大阪校に通うという手もあるけれど、この機会に秋からは 学生時代からの憧れである関西日仏学館に転じ、フランス語再入門を始める のも悪くない。ゲーテでは、クラリネット奏者氏のように何かしら素晴らし いものを持った友人に出会えたりしたが、関西日仏学館に行けばまた新しい出 会いもあるのではないかとちょっと期待。

2007年7月13日(金)
<<コントラバス>>
研究室でこそこそとサンドイッチの昼食をとってから、12時半より2回生の 数学の講義の最終回。試験情報をゲットするためか、教室には普段の倍以上の 学生がひしめいていた。ある学生は私の講義がまったく理解できないらしく、 最初の1、2ヶ月は「何なのよ、この授業」と言いたげな腐った魚のような目 をして座っていたのだが、その後姿を消した。その学生も久しぶりにやってきて、 腐ってはいないが、やはり腐りかけた魚のような目をして座っていた。

あと面白い発見として、私語学生が座りたがる座席の位置がほぼ決まって いるらしいこと。200名程度収容の教室だと、教卓から見て右手が窓側で左 手が廊下側である。そして連中は必ずと言ってもいい程、右手の後ろの方に座っ ている。この傾向は、年度や学年に関係なく広く見られるような気がする。窓 側で明るく開放的で気分がいいし、後ろの方だから先生の目が届きにくいだろ うし、低い声で話していれば邪魔にならないだろうと思うのだろうか。彼らも 一度は教卓に立ってみると良い。後ろまでよく見えるし、音響も比較的良いの で、静かな教室でそこの連中だけがぼそぼそやっていると物凄くよく響いて とても耳障りである。 「そこのコントラバス!さっきから何を変な音出してるんだよう!?」 と怒鳴り散らす指揮者になった気分で雷を落としたくなるのだ。 (指揮者が本当に怒鳴り散らすのかどうかは、知らないけどね。)

14時10分より1回生の計算機演習の授業。15時40分に終了後、研 究室に戻り 「タルカス&展覧会の絵」を聴きながら メールで届いたレポートのチェックと集計作業をしたり、回収した授 業アンケートを事務に届けたり。途中誰かが少し間をおいて2度やってきて研 究室のドアをノックしていたが、どうせ私の日誌を読んでいないオリコーさん の仕業だろうと思って無視する。

私の日誌は、以前は数理科学科の学生や教員多くが読んでくれていたよう なので、文面も記述内容もそれを意識したものを書いていた。しかし今は学内 にはほとんど読者は居ないようなので、日誌の内容もそれに合わせて変えてい る積もりである。勿論、学内の読者層は想定していないので、定期試験に関す る情報(採点状況等)は一切書かない。

2007年7月12日(木)
<<では、さようなら>>
午前中は経済・経営学部の情報処理の演習。昼食は、やはり研究室でコンビニ 弁当をこそこそと。午後は、数理科学科の情報処理の講義最終回。授業が終っ てから、他学部受講でこの授業に出ている法学部高回生の学生がやってきて、 授業はよくわからないし定期試験は自信が無いし、単位が心配だという。「法 学といえば論理的思考を要求される学問で、それを学んできた君達が情報処理 入門の講義などきでへこたれているようじゃあ話にならん!試験は全力で取り 組み、駄目なら駄目で潔く花と散り給え。では、さようなら。」なんてことは 言わず、適宜必勝対策を伝授しておく。その後、大学院の確率統計の授業。1 7時半頃終了し、明日の授業の準備などをしてから帰宅。

帰宅直前に事務室に立ち寄ったら、同僚K先生(通称「葦藻(あしも)」) と一緒になり、「私が『葦藻』であることを何処で知った?」と詰め寄られた。 何処で知ったも何も、貴方の歩き方をじっと見ていれば誰にでもすぐわかるこ とだと答えておいた(嘘)。過去一年で大学の同僚と「会話」(註:業務連絡 は「会話」に含めていない)をしたのはこれが初めてじゃないかしら。

それやこれやの合間は逃避の数学。

2007年7月11日(水)
<<展覧会の絵>>
午前中は自宅および山科駅前Sbuxにて逃避の数学。Sbuxでは20代ぐ らいと40代ぐらいの男の客二人組が隣にいた。親子らしい。若い方の男の動 作や話し方がほんの少しだけおかしいことに気付き、もしや危ない人ではと思って注意 していたのだが、そうではなくて何かの病気らしい。仕事をやめようか休職に しようかというような話をしている。父親とおぼしき男の、楽観的に励ますわ けでも深く悲観するでもなく、さりとて何かを隠している風でもなく、ただ全 てを静かに受け止めるような反応を見ていると、若い男は何かしら「たぶん死なないけ ど厄介な病気」に罹っているらしいことがうかがえた。

昼過ぎに出勤。4回生M君の卒研ゼミ。ゼミ終了後、速攻で大学を発ち神 戸へ アレッサンドロ・カルボナーレの コンサートを聴きに行く。 「クラリネット吹きのオペラ」 印象が強かったので、てっきりこの方面の人かと思いきや、 最近はジャズや現代音楽に興味が向いているようで、そっちの方の 演奏の方が断然良かった。

伴奏をしていたピアニストの 黒田亜樹さんは初めて聴いたけど、カルボナーレを圧倒するほどの 物凄い表現力がある人でびっくりした。で、伴奏だけではなくソロも ちゃんと聴いてみようと思って、会場で売ってたCD 「タルカス&展覧会の絵」 を衝動買い。

ムソルグスキーの「展覧会の絵」は変な曲で、これを聴いてても何の絵の イメージも思い浮かばない。たぶん私はこの曲のようには絵を見ていない。 ただ、ひとつの絵を見て次の絵のところに歩いていく様子を表したとされる 「プロムナード」の部分は秀逸で、ああ、そういえばいつもこんな気分で 次の絵の場所に足を向けてるなと思う。

会場には「業界人」が沢山来てたようだ。何度もコンサートに足を運んで いると、私のように趣味で聴きに来ている人と演奏家や芸大の学生などの音楽 業界人の区別が何となくつくようになってくる。ぱっと見た雰囲気でもある程 度の察しがつくし、休憩時代に会場の外で三々五々集まって話している人々の 間をそこはかとなく漂うように徘徊する時などに、耳に飛び込んで来る会話の 断片によってかなりの確信が持てたりする。今日は特に若い「業界人」が多かっ た。ブラスバンドをやってそうな高校生や、音楽コースの高校生あるいは音大 の学生っぽい人たちなど。

どこのコンサートに行っても、業界人以外で会場に居る男たちは、大抵私 よりひとまわり以上若い男か、あるいは、ずいぶん前に仕事を退いて長らく 年金を貰っているような高齢者の男かのどちらか。趣味で聴きに来てる私と同年 輩か少し年上ぐらいのおじさんに出会う事は稀である。では彼らは一体何処に 居るのか。何処だって構いはしないさ、私の目が届かない所に居てくれさえい れば! 私と似たような怪しく鬱陶しいおじさんに出会う危険が少ないからこ そ、クラシック音楽のコンサートは私にとって快適な場所なのである。 ここにも近親憎悪の原理がしっかり働いている。

2007年7月10日(火)
<<スパム論文>>
激しい雨と風の一日。午前中は自宅で書き直し論文の最終原稿を完成させ、メー ルで某雑誌の編集部に送る。しかし何度送っても送信エラーで戻ってくる。エ ラーメッセージの文面をみると、どうやら私のメールがスパムと判断されてい るらしい。はてな。最近の学術雑誌編集部は、電子投稿された論文については、 人間が査読審査する前にスパム・チェッカーに掛け、そこで「スパム同然のゴ ミ論文」と判定されれば門前払いを食わせるというのか。ならば、私の論 文はスパムか? この野郎、どうせ出来の悪いコンピュータ・ソフトで ちょっと解析しただけで、論文の中身なんてざっとでも読んでないくせに、ス パムと決め付けるとは何事だ!?。まさか、論文の著者名のところに "Yukihide Takayama"と書かれていたら即座にスパム論文と判断する、 なんてスパムフィルターを設定しているんじゃなだろうな。(何? ウイルス論文と判断されるよりマシじゃないかって?)

ひとしきり暴れ回った後、まてよ、と思い立ち、大学のコンピュータに入っ てそこから送ってみたところ、エラーは起こらず無事届いてしまったようであ る。どうやら編集部のあるヨーロッパの某大学では、大学関係以外のところか ら届いたメールは全てスパムとして弾き返しているらしい。何と芸の無いス パムメール対策か。それじゃあ研究室の電話線引っこ抜いて、ドアがノックされても返 事しない私と変わらんではないか。

それにしてもごく最近スパムメール対策がぐっと強力になったようで、大 学に届くほとんどのスパムメールが正しくそれだと判定されて[spam]マークが付 けられた状態で私のPCに届く。そうなると処理は簡単だ。 しかし便利なものは人間の楽しみを奪う。

私は比較的最近、自家製スパム・ フィルターを作る悦びに目覚めていたのである。毎日100通近く届くスパム メールを分析し、その文面で使われる特徴的なキーワードを抽出し、それを含むメー ルをスパムとして「ごみ箱」フォルダーに放り込む振り分けルールを 作るのだが、上手いキーワードを見つけると面白いようにスパムメールが「釣 れ」た。だから、今度はもっと頑張って良いフィルターを作って捕獲率の向上 を目指すぞ!と張り切り、捕獲率6〜7割りぐらいのところまで行ってたので ある。ところが7月の初め頃に専門業者による捕獲率9割以上の強力なスパム メール対策が導入され、自家製スパム・フィルターはお払い箱になってしまっ た。

自家製スパム・フィルターを作りながら見つけたスパム・メールは、

  1. セックス関係、
  2. 金融関係("approved", "valued customer", "loan request"などがキーワード)、
  3. 薬品・ダイエット関係、
  4. 某ブランド物高級時計関係 ("Rolex", "w4tch"など)
  5. PC用OEMソフトウエア、
  6. その他
にほぼ分類される。少し前によくあった、私は某国の王族の関係者 だが、今私の国では政変が起こり、別の国に身を潜めている。 ほとんど身の回りのものだけ持って命からがらに本国を脱出したので、父 が本国の銀行に残した莫大な財産が銀行から引き出せない状態で困っている。 しかし、貴方の銀行口座をお借りできれば、それを経由してン十億ドルぐらい引 き出すことができると思う。もし協力していただけるなら、謝礼としてン億ドルお 支払いする用意がある云々、という詐欺メールは来なくなった。

最近はアジア発と思われるスパムも多くて、ハングル語なのか中国語 なのか、字化けしているため全然読めない。また、本文が空のス パムや、出鱈目の英文もどきのテキストが書かれているだけのスパムも多い。 こういうものはキーワードが抽出できないので、自家製スパムフィルターでは 対処できなかった。

ちょっと面白いのは セックス関係スパムに多用される「完全無料」「受信拒否」「アド公開」 「配信停止」という言葉。まあ、「完全無料」なんて普段聞くことはまず無い変 な言葉である。スパム・チェッカーの逃れのために"watch"などを"w4tch"と書い たりするのも面白い。

それから、"Good morning"とか"Good day"で始まる英文のメール。そんな 馬鹿っぽい挨拶で始まるメールを出すような人は私の友人の中には居ません し、たとえガウス賞の受賞通知であっても、"Good morning"なんてとぼけた事 を書いているメールは、誰が何と言おうとスパムメールなんです!まあ、私が ガウス賞を受賞することなんか無いから、べつにいいんだけど。

午後は自宅や山科区内で逃避の数学をぼつぼつと。

2007年7月9日(月)
<<一極集中傾向>>
午前中は自宅で逃避の数学。昼過ぎに京大へ。生協で昼食の後、勢いをつけて 数理研図書室へ。「逃避行動からの逃避」プロジェクトの仕上げ。先日共同研 究者にもチェックしてもらった書き直し論文の原稿の最終チェック。マイナー なミスが2,3発見されただけで割合短時間で終る。あとは最終原稿を仕上げ てメールで送るのみ。それは一晩寝かせて、また明日。その後、ふたたび逃避 の数学に戻り、論文のコピーなど入手。夕方からはしばし街を放浪し、その足 で夜は京都市内某所で行われたコンサートを聴きに行く。

京阪神地区もクラシック音楽のコンサートが少なくないが、東京圏に比べ れば寂しい限りである。楽器店やコンサートホールなどで無料で配布している 某コンサート情報誌に出ているコンサートは、この本の発行元が東京であるこ ともあってか、ちょっと良さそうなコンサートはほとんど全て東京近辺のもの ばかりで、一極集中傾向が顕著である。例えば、今秋、白井光子様と夫君のハ ルトムート・ヘル氏のコンサートは紀尾井ホールなど東京圏の少なくとも3箇所 で行われるそうであるが、京都での予定はまだ無いようだ。2年程前には京都 コンサートホールにも来てくれたけど。それから、去年はポール・メイエが来日 したけど、何故か京阪神地区はわざとみたいに避けられていたな。ザビーネ・マ イヤーは、東京だけではなく大阪でもちゃんとコンサートを開いてくれたのに、 ブツクサブツクサブツクサ。。。。

若い頃東京の会社に8年ちょっと勤めていたが、その頃は洋画とかジャズ に興味があって、映画館やコンサートホールを飛び回っていたが、クラシック 音楽のコンサートには一度も行ったことがない。今となっては勿体無いことを したものだと思う。

2007年7月8日(日)
<<日本語が通じない>>
野暮用の日曜日。山科区内や京都駅近辺をあちこち移動して、野暮用。その合 間に、執念モードの逃避数学を少し。代数幾何学は学生時代からずうっと興味 を持っていて、研究集会などで発表している人の話が理解できたら面白いだろ うなあって思ってたので、勉強すればするほど、ああ、あれはこういうことだっ たのかと理解が深まるのが楽しくてしょうがない。例のフランス語3ページ論 文の七転八倒の方はまだ続いていて、それは殆ど意地みたいな感じでやってい るようなところもあるけれど、実は、それを契機としてやっている代数幾何学 のお勉強自体が面白いからやめられないって感じ。それやこれやひっくるめて の、執念モード。

ところで私は、日常生活の中で自分の日本語が通じないとか、相手の日本 語がわからないと思うことが少なくないのだが、その原因として3つのことが 考えられる。まずは、自分が話しているのを録音して聞いてみて初めてわかる のだが、私の話し方はモゴモゴとして聞き取りにくい。若い頃はファーストフー ド店でよく注文を聞き間違えられて愕然としたものである。特に連休などで誰 とも話さない日が続いた直後などはかなり高い頻度で間違えられたので、あい うええおあお、かきくけけこかこ、とうきょうとっきょきょかきょく。。。と 発声練習をしてから店に行ったものである。今でもファーストフード店でよく 注文を聞き間違えられるが、もうふてぶてしいオジサンなのでいちいち愕然と したりはしない。

今は大学で講義を持っているから、授業をしている時などは気をつけてい る積もりだが、興奮気味に早口で喋ると聞き取りにくくなるようで、先日の授 業アンケートでも「もごもごとして聞き取りにくい」などと書かれてしまった。 しかしゲーテ・クラリネット奏者氏などは流石に耳が良いからか、多少横着に 喋っても割合正確に聞き取ってもらっている感じがして気分が良い。(でも、 単に、ふんふん、何言ってんだかわからんなあ、と聞き流されているだけだっ たりして。。。)

もうひとつは、価値観や世界観があまりにも違うので、話が噛み合わな い場合が考えられる。住んでいる精神世界があまりにもかけ離れている人との 会話は、当たり障りの無いものを除いて、適当に刺激的か極端に不毛かのどち らかになりがちである。

最後に、私は言葉を額面通りの意味で話し、相手の言葉も額面通りの意味で 読み取る習性があることが挙げられる。それは単なる習性にとどまらず、一種 の信念として意図的にそうしている面もある。言葉に裏表を持たせ複雑なレト リックを駆使した高度なコミュニケーション技術は優れた文化かも知れないが、 そうやって人間関係を複雑にしてみたところで疲れるだけではないかと思うか らである。私には複雑な人間関係ゲームを楽しむ趣味は無い。従って、特に常 に相手の言葉の裏を先読みしそれに応えるような話し方をする習性がある人と 話していると、5分ぐらいで頭が混乱してくる。こちらが全然意図していない 意図を勝手に読み取って、その架空の意図に対して反応をしてくるのだから、 話が通じないのは道理である。

数学や計算機科学の研究者で、特に組織のしがらみに毒されていない現場 に近い立場の人は、往々にして言葉を額面通りの意味で、しかも論理的に正確 な表現を選んで話す人が多いので、割合私の日本語が通じやすい。数学者の場 合、閉鎖的なこの業界の人間関係に敏感な人には言葉の裏の意味を勝手に補填 して反応する傾向がみられるが、そういうことに割合無頓着な人(私もそのひ とりである!)は額面通りの意味の言葉を使う傾向があるように思える。しか し、同じ数学者でも価値観や世界観は案外多様で、仙人みたいな人も居れば、 ただの俗物も居るし、脂ぎった政治屋もいる。そのため、たとえ額面通りの意 味で言葉をやりとりしていても、同じ物事に対する受け止め方が全く異なるた め、結果的に日本語が通じず不毛な会話に終ってしまうことも少なくない。

私にとって、真に友人と呼べる者は私の日本語が通じる人か、あるいは、お 互いどういう風に日本語が通じないかを理解し合える人たちを指す。そして、 そういう人が原理的に少数であることは、上記の考察からもうかがえる。

2007年7月7日(土)
<<執念モード>>
ゲーテの日。頭をドイツ語モードにするために、SBUX新京極店で昼食をと りながら、シューマンの「3つのロマンス」の楽譜のドイツ語版序文を眺 める。この曲については、ジャン=ルイ・カペツァリのオーボエ公開レッスン で、ここは王女様が王子様に愛を告げる場面だからこういう風に演奏しなけれ ばならない云々といった事を言っていたのがずっと気になっている。王女だの 王子だのということは一体誰が言い出して何処に書いてあるのかを知りたいと、 私は既に執念モードに入っている。CDの解説にも書いてないし、楽譜の序文 にでも書いてあるのかと思ったが、そこにはただ楽譜が書かれ出版された 歴史的経緯が縷々述べられているだけで期待外れ。

昼食後はJEUGIAに立ち寄る。まずは「トナカイ鈴」とタンバリン、 カスタネット、ベル等を物色。「トナカイ鈴」は音量が小さく、私語対策とし ては迫力が足りない。タンバリンも小ぶりのものしかなく、やはり音が小さい。 そもそも裁判官が使っている「静粛に!」トンカチを使うべきところを、木工 用木槌で代用しているからいけないのだ。

木工用木槌では、裁判官用トンカチ のようにぱあーんぱあーんぱあーんと部屋全体に響き渡る、美しくも威厳に満 ちた十分な音量の音を作るのが難しい。現在まで色々研究開発を重ね、木工用 トンカチで音量的には十分なものが得られるようになったが、音色については ぱん!ぱん!ぱん!という伸びの足りない音しか出ないところが難点である。

かように音響効果の点で劣るばかりでなく、木工用トンカチは それを握り締めていた時代、すなわち著しく頭がおかしかった高校生 時代やまる一年キレっ放しの学科長時代の記憶と通底することによって、私の 凶暴性を引き出す点で問題である。そしてタンバリンだの鈴だのは、代用品の また代用品でしかなく、問題の本質的解決にはならない。

よし、これからは 裁判官「静粛に!」トンカチを探そう。しかしこの件については、現段階では まだ執念モードには入っていない。私は教育(や行政、政治)など、他人の思惑 という不確定要素が介在することに関しては過度の思いいれを持つことは無いの で、たぶん執念モードになることはないだろうと思う。

鳴り物を物色した後は、楽譜とCDを物色。 ミシェル・ポータルがプーランクのクラリネット・ソナタを吹いている CDが再び入荷されていたが、試聴してみて、その異様さに再びたじろぎ 購入を見合す。プーランクって、こんなに熱狂的だったかしら?と。

本日購入CDはロストロポーヴィチの 「アルペジオーネ・ソナタ(シューベルト)」。 それ以外にシューマンの「民謡風の5つの小品」とドビュッシーの「チェロ・ソナタ」 が入っている。 アルペジオーネ・ソナタは タティアナ・ヴァッシリーヴァのCD、若き日の ミシャ・マイスキーのCD も持っているが、ロストロポーヴィチのが一 番音が厚いというか饒舌な感じがする。クラリネット版では ジルバース・ドウ・ペイエCD があるが、ドウ・ペイエの音がどうも好 きになれないってことを差し引いても、やっぱりクラリネット用の曲じゃない なって感じ。楽譜は、既に(楽譜探しにおける)執念モードの対象になっている フィンツイの「5つのバガテル」(ピアノ版)が入荷しているのを発見。 今度は躊躇せずに瞬殺購入。

ゲーテではクラリネット奏者氏に、「絶対音感がある人が移調楽器なんか 吹いて大丈夫なのか」という先週来の疑問について、色々教えてもらった。ま あ、彼らにとっては当たり前のことかも知れないけど、何だか凄いことが起こっ てるんですねって感じ。クラリネットの楽譜とCDでソルフィージュの隠れ特 訓だあ!とか言って喜んでいる私は、何だかアホなことをしているので はないかと思ったが、まあ、どのみち絶対音感なんて無いし、関係ないやって感じ。 そういえば、クラリネット奏者氏に「『3つのロマンス』の王子様と王女様」 を知っているか聞いてみようと思ってて、すっかり忘れていた。 また今度だな。

夜はスポーツクラブでへとへと。ロストロポーヴィチと リチャード・ストルツマンのフィンツィ を聴いて寝る。本日数学の方の執念モードはお休み。

2007年7月6日(金)
<<トナカイ鈴もいいかも>>
昼前に大学へ。今日も研究室で生協コンビニ弁当のこそこそ昼食の後、12時 30分より14時まで2回生配当「離散数学」の講義。大学からの指令で授業 アンケートを取り一部回収。2回生はトンカチ振り回しに潜む私の凶暴性を敏 感に感じ取った学生が何名かいるとみえて、「私語対策」が良くないとする意 見が1回生の授業よりもいくぶん多目だった。やはりタンバリンにすべきか。 あるいは、クリスマスにトナカイさんの橇がやってくる時に鳴らす鈴ってのもいいな。

最初はタンバリンを使って教室全体にアピールすれば、私語はかなり減り教室が 静かになるはずだ。しかし、それでも後ろの方で数名が集まって、最初から講 義なんて聞く気は全然無くてノートも何も出さずに横向いて喋ってたりする学 生がしばらくは現れる。彼らを如何に撲滅するかが問題だ。そこでトナカイさんの鈴 を両手に持って♪シャンシャンシャンシャン、♪シャンシャンシャンシャンと 鳴らしながら、教卓から一直線にその学生に近づいてゆき、彼らの前でぴたり と止まり、

君達♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
私の講義聞く気、全然無いのに♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
わざわざ教室に出てきて♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
さっきからずうーっと♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
ごちゃごちゃお喋りしよって♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
おまけにワハハーなんて♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
笑ってくれちゃったりして♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
邪魔でしょうがないんだよねー♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
すぐに出てってくれないかなー♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
早く出てってくれよー♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
日本語通じないのかい♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
私の日本語は♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
同僚の数学の先生達には通じないみたいよ♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
同僚の数学の先生達の日本語も♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
私にはよくわかんないけどね♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
私の日本語って駄目みたい♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
だから君が分からないとしても♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
君のせいじゃないかもね♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
じゃあ、ドイツ語で言ってやろうか♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
フランズ語でもいいぞ♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
英語でどう言うかは知ってるよね♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
君、第二外国語何取ってるんだい♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
ほう、中国語かね♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
私は中国語知らないけどね♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
西洋かぶれだから♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
で、「邪魔だ、早く出てってくれ!」って♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
中国語で何て言うんだい♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
何?知らないだと♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
そのぐらい中国語の先生に聞いとけよ♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
「ニーハオ」と「ツァイチェン」とならぶ♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
頻出重要フレーズかもよ♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪
よく知らないけどね♪シャン♪シャン♪シャン♪シャン♪

ってな感じでやるのもいいな。今まで全部トンカチだけで済ませて来たけど、 それじゃあちょっと芸が無いしね。よし、明日JEUGIAで見てこようか。

14時10分から15時40分まで1回生配当「情報処理演習」の授業。 その後、研究室に戻ってレポートのチェックや集計などを行ってから帰宅。夕 食後、歯医者へ。

夜は数学。最近ドイツ語を真面目にやってないけど、かと言って数学を横 に置いておいて正面切ってドイツ語の勉強をする気にもなれず。ということで、 今夜はドイツ語の代数の本を使って基礎的事項の確認など。深夜、ふと別の本 を覗いたら、先日から疑問に思っていた事の答がちゃんと書かれているのを発 見。

2007年7月5日(木)
<<トンカチかタンバリンか>>
梅雨の合間のカラリと晴れた一日。午前は経済・経営学部の情報処理演習の授 業、午後は数理科学科の情報処理の講義と大学院の確率統計の授業。17時2 0分に全ての授業が終了し、研究室で一息つく。今日情報処理の講義で行った 授業アンケートの結果を眺めると、「私語対策」が良いとする意見が半数近く を占めていてちょっと驚き。あのトンカチ打ち鳴らしが好評なんですか。私は トンカチを握りしめていると日頃ひた隠している凶暴な性格が表に出てしまいそう なので、タンバリンに変えようかと思ってたんですけど。また、4月にやっつ け仕事で作って配布したC言語プログラミング入門のレジュメが大変好評のよ うだ。あのレジュメを読んで講義を聞いて、演習の授業でレジュメ完全準拠の 課題プリントを真面目にやってれば誰だって無理なくC言語の入門レベルと プログラミング一般の基本的な考え方がマスターできる、、、はずなんだけど。

それ以外は逃避の数学をぼつぼつと。

2007年7月4日(水)
<<教室会議(再)デビュー>>
午前中は論文書き直し作業をすこしして、昼過ぎに出勤。研究室でコンビニ弁 当をこそこそ食べながら雑用をしているうちに、4回生M君の卒研ゼミ。16 時前にゼミを終わり、16時から三ヶ月振りの教室会議(再)デビュー。会議 室に向かう直前に、やっと忘れることができたと思っていた学科長時代の忌ま わしき記憶が一瞬フラッシュバックして、思わず意味のわからない事を叫びな がら6階のベランダからバンジージャンプしたい衝動に駆られたものの、特に 深刻な事態には至らずに収まる。会議が始まってしばらくして、私が学科長と して司会をしていた昨年度とはずいぶん雰囲気が違うのに気付き、それがもと で思わす会議テーブルの上に飛び乗ってデンデン太鼓を打ち鳴らし、故郷の 街に伝わる阿漕平治鎮魂踊りを踊って見せて会議を滅茶苦茶にしてやり たい衝動に駆られたが、やはり「一瞬現れた発作の兆候」程度で収まる。

嗚呼、もう数学教室についての色々なことを気にするのはやめよう。私は 今まで何かを誤解していたのかもしれない。彼らはただ彼らのやりたいように やっているだけだし、私も自分がやりたいようにやるまでだ。それぞれがやり たいようにやり、お互いそれを尊重し合う。それがウチの数学教室の良き伝統で あり気風ではなかったか。そして2時間ほどの会議の間に昨日の「一筋の光」 の件の最後の詰めの問題が解けた。

夜は論文書き直し作業。途中、小さいながらも致命傷になりかねな い証明のミスを発見し、慌てて修復。一応新原稿は完成したが、数日寝かせてから再 チェックする予定。

2007年7月3日(火)
<<野に放たれる>>
「逃避行動からの逃避」プロジェクト再開2日目。昨日と同じように京大数理 研へ。午後の割合早い時間帯に証明の最終見直し完了。あとは論文の書き直し 作業を残すのみ。さてと、ひと区切りついたところで遅めの昼食でもと図書室 を出たら、今週一杯数理研で代数幾何学関係の研究集会をやっていることに気 付いた。ちょっと覗いてみたところちょうど休憩時間で、たまたま私が知って いる人が居た。ふと思い立って代数幾何学の馬鹿質問をしてみたら、何と!と ても親切に教えていただき、迷える者よ、この道を歩み給え!と暗闇を照らす 力強い一筋の光を得る。これで代数幾何学にも怖くない人が少なくとも1名は 存在することが証明された。あと2,3名ぐらい「怖くない代数幾何学者」が 確保できれば心強いな。昼食後は少しその研究会を冷やかしてから、その一筋 の光に導かれつつ逃避の数学を考えて過ごす。

帰宅途中に近所の医院に寄り、三ヶ月以上におよんだ心の病関連治療の最 終検査。結局あまりすっきりとはしなかったけれど、それは現代医学の限界で もあるし、とりあえずはこの辺でということで、と晴れて野に放たれる。野に 放たれた私は、明日、三ヶ月ぶりに教室会議再デビューの予定。平和で心静か な日々が今日で終わりかと思うと、ちょっと憂鬱。

(旧)情報学科時代は同僚教員達が何を考えているのかよく分かった。し かし、彼らが何故そういう風に考えたがるのかは謎だった。それは彼らが「何 故だか知らないけどそういう風に出来ている」からだろうとしか納得の仕様が 無かったように思う。数理科学科の同僚教員達の場合は、そもそも何を考えて いるのかというところからしてよく分からない。しかし、彼らが何故そうなの かは、よくわかるような気がするのは、私も「そういう風に出来ている」 からかしら。

2007年7月2日(月)
<<家庭教師募集?>>
午前中、自宅にて少し野暮用の後、昼頃に京大数理研図書室へ。しばらく休ん でいた逃避行動からの逃避プロジェクトを再開。今日最終見直しをして終る積 もりだったが、先週与えた証明に修正が必要と判明。今日考えた新しい証明は、 一晩寝かして明日もう一度チェックするとにして、夕方からは逃避の数学に移 行。帰りはバスで京都市役所前まで行き、JEUGIA三条本店でしばし道草。 フィンツィの「5つのバガテル」の楽譜取り寄せ注文しようかしまいかしばら く迷った末、見送る。「大人のための音楽史、CD付き」なる本がちょっと面 白そうだったが、見送る。授業中にトンカチを振り回すのも考えものだから、 これからは体育の先生みたいにピリピリピリピリーっ!そこの君、静かにし給 え!ってな感じで笛でも吹こうかしらと笛を物色してみたり、笛の代わりにタ ンバリンとかカスタネットじゃあどうかしら、オカリナも悪くないななどと色々 夢膨らませたけど、見送る。何でもかんでも見送って、河原町三条輸入雑貨のAngers を ちょっとだけ冷やかしてから帰宅。夜も引き続き逃避の数学。ああ、代数幾何 学の家庭教師が欲しい。

新聞の広告欄みたいなところに、仕事が速い人と遅い人の違いを挙げてい た。仕事が速い人は仕事上の疑問点はすぐ誰かに聞こうとするが、仕事が遅い 人はまず自分で考えようとするとあった。これは主に会社員を想定しての話だ が、学生にも数学者にも当てはまる。つまらない事がわからずに何日も悩むよ り、近くの仲間にちょっと聞いて解決する方が話が早いし、より本質的な事に 労力が注げるから研究生産性は上がるはずである。

そこまで分かってるんだったら、さっさとその辺の代数幾何学の人を捕ま えて聞けばいいようなものだけど、頭に霞がかかっているから的確な質問の仕 方が思い浮かばないし、頭の回転が遅いから折角親切に説明してもらっても分 からないだろうし、それに何より「代数幾何学は怖い人が多い」という(たぶ ん学生時代に刷り込まれた)根強い思い込みが邪魔する。これが単なる思い込 みなのか、鋭い人間観察に基づく真実なのか、確かめたことはない。 怖い人も多いかも知れないが、たぶん単なる思い込みだろうと思う。 さらには 「自分は人が好いから何時まで経っても代数幾何学が苦手なんだ。 頑張ってもっと怖い人になろう!」という論理的倒錯まで起こしている。

2007年7月1日(日)
<<小難しい顔>>
野暮用の日曜日。午前中から夕方まで京都市内をあちこち駆け巡って野暮用。 途中、市内某所でラフな休日用の服装をした事務系管理職員の某氏を発見。彼 はポール・メイエ似のハンサム・ボーイなのだが、会議や事務室で仕事してい る時と全く同じ小難しい顔して歩いていた。休日出勤でもしてたのかしら。私 は彼の「小難しくない顔」を見たことがない。それで以前宴席でたまたま隣に なった別の事務職員の人に、あの男でも笑ったり冗談を言ったりすることがあ るのかと真面目に訊ねてみたのだが、勿論ありますし結構面白い人ですよとい う。それを聞いて人間とはつくづく不思議なものだと思った。

かく言う私も、大学に居る時はたぶんずっと小難しい顔をしていると思う。 授業中に冗談を言う時も、小難しい顔をしたままなので、大抵の冗談は通じな い。冗談の「寒さ」に学生達が凍り付いているというよりも、冗談を言ってい ること自体が認識されておらず、「時々辻褄の合わない事を口走る先生」と 思われているフシがある。まあ、別にいいんだけどね。

夜は逃避の数学を少し。

それにしても、先日新学期が始まったかと思ってたらもう7月である。3 月頃にやろうと思っていた放置論文の梃入れは、その準備作業をやっているう ちに6月が終ってしまった。例の、やさしいフランス語による七転八倒3ペー ジ論文にまつわる執念物語も、詰まるところこの準備作業の一貫である。準備 作業はまだ続いている。永遠に終らないのではないかと思うぐらい続いている。 明日のために打つべし!打つべし!打つべし!だが、明日はいつまで経っても 来ないのである。準備作業だけで終るプロジェクトは、秘密のままに終る秘密 兵器みたいなものではないか。しかし「秘密のままに終った秘密兵器の1つや 2つ、不良債権プロジェクトの2つや3つ、自爆プロジェクトの3つや4つ、 常に持ち合わせてるぐらいでなきゃあ、一人前の数学者とは言えません!」と 根拠不明発言をぶちかましておこう。