の
た
め
の
邪
魔
な
広
告
よ け ス ペ ー ス で す。
2009年12月15日(火)
<<面倒臭い>>
卒研ゼミのため、昼前に出勤。JR琵琶湖線は30分ほど遅延。水曜日の朝だ
けでは気がすまないと見えて、とうとう火曜日の朝も遅れるようになったか。
研究室こそこそ昼食の後、12時40分から14時過ぎまで卒研A(可換環論・
代数幾何学)。14時40分から16時まで卒研B(初等整数論)。卒研Bで
は、先週から懸案になっていた問題がとうとう分からず、それを飛ばして先に
進む。
しかし、学生と議論しているうちに、彼らのひとりが懸案問題とは直接に は無関係の私のちょっとした見落としを指摘してくれた。おや?もしかして、 と。それがヒントになって、懸案の問題が一気に解決した。人と気軽に議論す ることがいかに生産的かを改めて痛感。数学者社会の中でもそれをやるといい のだけど、私の場合、回避性人格障害がそれを阻んでいる。面倒臭い話ですな。 性格が悪いと研究にも支障をきたすんだよって、ちょっと違うか。
卒研ゼミの終了後、速攻で関西日仏学館に移動。まずは隣の京大ルネで軽 く夕食を取り、18時からアンサンブル・コレスポンダンスというフランスの 若手古楽アンサンブルの公開リハーサルを聴きに行く。彼らは明日、 アルティーで京都の古楽アンサンブルのプリンチピ・ヴェネツィアーニと 共演のコンサートを開くそうだ。
リハーサル中に時々日本語訳つきのフランス語解説が入るのだが、それを 聞いていると、もう少し頑張れば聞き取れそうな気がしてくる。実はこのレベ ルから本当に聴き取れるようになるまでが大変なことは英語でもドイツ語でも 経験済みなのだが、それを知りつつもフランス語の勉強をもう少し続けてみよ うという気になってくる。関西日仏学館の策略(?)にまんまとはまって ますね。
リハーサルは19時過ぎに終り、徒歩で河原町三条へ。リプトン三条店で 5種類のベリーのタルトと紅茶で一息ついてから帰宅。自宅でメール等をチェッ クしたが、マックス・プランクからの返事はなし。次の候補地としてエッセン 大学を考えているけど、マックス・プランクからちゃんとした返事が無いと身 動きが取れない。まあ、来年の9月のことだから、まだ余裕があるけど。
ベトナムの方は、ハノイの数学研究所のホームページが更新されていて、 研究集会の講演プログラムとアブストラクトがリンクされていた。プログラム に確かに私の名前が出ていた。そうか、やっぱり真面目に講演の準備を始めな いといけないな。これまでは、いつの間にか私が招待講演者リストから外され ているかもしれないと思って、講演の準備なんててんでヤル気になれなかった し、航空便のキャンセル料をどう工面しようかとか、研究室の学生達に「やっ ぱり1月5日は予定通りゼミをします」と訂正連絡をしなければならないなと か、そういうことばかり考えていたのである。かように、妄想性人格傾向を背 負って生きるのは結構面倒臭い。
2009年12月14日(月)
<<日本脱出を図る>>
午前中は近所のドコモショップで修理が終った携帯電話の受け取り。一旦帰宅
してから京大へ。ルネで昼食の後、京大数学科のある理学部3号館へ。今週は
数理研主催の代数幾何学の研究集会があるので、授業の無い日だけ顔を出す予
定。会場には今は阪大の院生になっている元卒研生S君も来ていたし、有名な
数学者や大学院生やポスドクなども含めて既に40名近くが集まっていた。開
催期間全体の延べ人数はもっと増えるだろう。代数幾何学のちょっとした研究
集会は頻繁に開かれていて、毎回このぐらいの人が集まる。
この人の集まり具合を見ていると、来年の後期にマックス・プランク研究 所滞在を考えていたのだけど、代数幾何学の勉強がしたいなら、京大数理研近 辺に居るのが一番良いのではないかしらという気がしてくる。否、京大は学生 時代の悲惨な記憶の場だから、私の「回避性人格傾向」がほとんど「回避性人 格障害」の危険レベルに達してしまうし、Ritsにおける会議や管理運営の仕事 にまつわる厄介で不毛なあれやこれやから逃れるためにも、日本から離れるこ とに意味があるのだと思い直す。そうだ、たとえドイツテレコムとの不毛な戦 いが待ち受けていようと、日本脱出を図らねばならない。
研究集会の後は、すこし数学教室図書室に立ち寄ってから、JEUGIA 三条本店へ。今日もまた、アンドラージュ・シフの6つのパルティータ(J.S. バッハ)のCDを試聴。うーん、やっぱりパルティータの5番はいい。今日は レオンハルトやリヒターのチェンバロ版も試聴してみたけど、やはりシフのピ アノ版(最近の録音の方)がよろしい。
そういえば先日のクリスマスパーティで、趣味でピアノをやってた人とお 喋りしたけど、チェンバロもやってみてはどうかとの私の問いに、自分はロマ ン派以降の音楽が好きでバロックは嫌いだからチェンバロはやらないのだとい う答が返ってきた。なるほど、そういう好みもあるのか。私なんか節操が無い から、バロックでも古典派でもロマン派でも現代曲も、あれも好きこれも好きっ て感じだけど。
また、別の人とお喋りしてたら、ジャズファンはクラシックが嫌いで、ク ラシックファンはジャズが嫌いだと思いますと言い出すので、え、私はジャズ もクラシックも好きですよと言いかけた。しかし、そういえばジャズを聴いて た時はクラシックを聴く気になれなかったし、クラシックを聴いている今は、 わざわざジャズを聴こうという気がしないか、と。
まあ、音楽の話しかしない私も異様だけど、音楽の話だと相手によっては 結構話が弾むことも確か。音楽以外の話だと、かなり突飛でひねりが利いた事 を言ったりするので、初対面に近い人のリアクションはいまひとつ芳しくない。 「ま、私のこの日誌をしばらく読んで、しっかし勉強してから来てください ね」って感じになる。
夜は歯医者の定期診療。その後、上記シフのCD(輸入版の方)をアマゾ ンで注文(アマゾンの方が1500円ぐらい安かったので)。それからいよい よ業を煮やしてマックス・プランクにメールを出し、他の応募先を探さねばな らないので、私の応募が棄却されているのなら、その旨早く知らせられたしと 伝える。ベトナムの方も、2,3日中にメールを出し、1月の研究集会の段取 りを早く知らせられたしとせっつく積もり。
夜はまた少し講義録の精読。
2009年12月13日(日)
<<社交性の炸裂>>
午前中は少し数学をして、あとは山科区内のスーパーで買い物など。昼食後、
また少し数学をして、午後は久しぶりにスポーツクラブ。面倒臭いからなるべ
く行きたくないのだけど、体調維持のためにはやむおえない。特にトレーニング
メニューの最初に入れている「山登りマシーン」が大嫌い(しんどいから)。
この辛さを紛らわすために、今日はiPodを持って行ったけど、うまくいかなか
った。耳を悪くしたくないので開放型のイヤホンを使っているのだが、
ジムでかかっているBGMとかぶってiPodの音楽がよく聞こえない。やっぱり
山登りマシーンの苦痛を乗り切るには、数学を考えてるのが一番か。
スポーツクラブで時々見かける同世代のオジサン。病気のリハビリのため 今日も来ていたが、いつもながら職員の人と気さくに世間話をしている。うー ん、昨日のクリスマスパーティーのように、ゲーテや関西日仏学館では社交性 を遺憾なく炸裂させている私だが、このオジサンの域にはまだまだ程遠い。 私に何が足りないのか。ずうずうしさ、かな?
JOBAマシーンに乗って、ロードランナー逆走男の真似をして「喜びの 踊り」をやってみたが、ゆさゆさとロデオのように下半身が安定しないので、 案外難しい。
スポーツクラブの帰り道の書店で、ポアンカレ予想を解決したペレルマン のことを書いた本を少し立ち読み。「数学者は数学に人生を賭けている」と。 うーん。私はオジサンと数学者は嫌いだから、(精神的な意味でも)死ぬま で数学者社会の中で暮らすのは御免こうむりたい。65歳を越えてまだ生き ていたら、数学からは完全に足を洗って、数学者だった事もひた隠して生き ていきたいと思う。
夜も少し数学。
2009年12月12日(土)
<<ほとんど二重人格>>
ドイツ語寺子屋塾秋学期は先週で終ったので、今日は研究日。午前中は自宅で、
午後は街に出て例の講義録の精読を進める。日曜のラクト山科は結構賑わって
いた。
17時半からゲーテ京都校のクリスマス・パーティーに潜入。前のクラス で一緒だった人が居たので、その人のクラスの人が集まっているテーブルに入 れてもらう。私は初対面の人には人見知りをしないので、そこの人たちと馴れ 馴れしくお喋り。あの、我々の上級クラスをリストラした館長が挨拶をしてい て、どうやら廃止方法にあったゲーテ京都校の語学講座は存続される見通しになっ たそうだ。しかし上級クラスが復活するかどうかは予断を許さない。
某芸大の講師をやっている受講生のピアノのミニ・コンサートを聴き、 今年の受講生だけを対象にしたくじ引きの当選発表を見て、そろそろ賛美歌を歌って終 りにしましょうというところで退散。
次に関西日仏学館のフレンチ・パーティーとやらに乱入。かなりの人が集 まっていた。ゲーテのそれと違って、特にイベントらしきものもなく、飲み物 と簡単なスナック類だけで皆立ち話をしていた。ここでも、前のクラスの人た ちが来ていたので、ご挨拶。私は初対面でない人にも原則として人見知りをし ないので、色々お喋りしてすごす。むふっ、私って結構社交的じゃん。
え?じゃあ、お前はいつも人見知りをしな いのかって?いやいや。特に数学者に対しては強い回避性人格傾向と妄想性人格 傾向があるので、数学者相手には勿論人見知りをする。 しょっちゅう顔を合わせてもう何年もなるのに、年に一言か二言しか話さない なんてことは珍しくない。これはもうほとんど二重人格。 まあ、私に言わせれば、相手に合わせて適切な立ち振る舞いをしている だけなんだけど。21時前に退散。
帰宅後、またマックスプランク研究員の受け入れリストを解析してすごす。 この分じゃあ、不採用通知を喰らいそうな雰囲気。でも何で不採用なのかしら ねえ。私がオジサンだから?研究分野がマックスプランクの想定しているのと ちょっとズレれているから?26年間で2回専門分野を変えてる不届き者だか ら?どれも当ってるような当ってないような。他人が行う評価ってのは、 ようわからんですな。ま、捨てる神あれば拾う神ありだし、 そろそろ他の行き先を真面目に捜さないといかんな。また エッセンかなあ。
ベトナムの方は研究集会の簡単なアナウンスがその研究所のサイトに出て いた。しかし講演プログラムやアブストラクトが出ていないので、いつの間に か私が講演者から外されているかどうかはわからないし、かと言ってメールを 出してそれを確かめるのも若干躊躇がある。まあ大丈夫だろうと頭では わかっているけど、その一方で多少現実離れした疑念が膨らむ。 そういうところが我ながら何とも、妄想性人格「障害」ではないけど 妄想性人格「傾向」がある私らしいと思う。
2009年12月11日(金)
<<30代の男>>
昼前に出勤。大学に向かうバスの中で立っていたら、目の前に座っているスー
ツ姿の30代の男が鼻糞をほじくり始めた。彼は右手の中指を使うところが特
徴で、ときどき小指も使う。人差し指と親指は、1,2度それらで鼻
の穴をいじる素振りをした以外は、多くの場合ほじくり出した鼻糞を丸める作
業に使われる。それ以外に鼻糞を丸めた後に時々下唇をつまむような奇妙な仕草をす
るのだが、これに何に意味が込められているのかは分からない。彼はまた薬指
を全く使わないのだが、その理由も不明である。
中指で鼻糞がほじくれるだけあって、彼の指は細く繊細である。綺麗に切 り揃えられた爪は少し長めで、クラシックギターでもやってるのかなと思った が、左手の爪も同じように伸ばしていたので、そうでないと分かった。鼻糞を ほじくり回している割りには爪垢は溜まっておらず、身なりもこざっぱりして いる。
それにしても、電車やバスの中で鼻糞をほじくり回す人の多くが30代の 男なのは何故だろう。50代60代以上のオッサンの中にもたまに見かけるが、 私が直接お目にかかるサンプルの中では、鼻糞をほじくるのも食べるのも30 代の男が圧倒的に多い。しかも彼らはいつもスーツを着ている。私が通勤途中 で見かける乗客は二十歳前後の学生の方が多いけれど、彼らがそういうことを している例は知らない。若者からオジサンへの移行期にあたる30代は体も変 化する時で、鼻の粘膜が妙にむずむずしたり、鼻糞がたまりやすくなったりす るのだろうか。私の経験では高校生時代の中ごろに矢鱈鼻糞がほじくりたくなっ た覚えがあるが、30代のころはどうだったか覚えていない。
13時より14時半まで臨時卒研ゼミ(初等整数論)。オイラー関数に関 するある問題がわからず、次回に持ち越し。ゼミ終了後、ただちに大学を発ち、 関西日仏学館へ。隣の京大ルネでの少し早めの夕食を挟んで、フランス語基本 動詞の活用形の復習と今日の授業の予習を大慌てでやっつける。18時45分 から21時頃までフランス語の授業。日仏の秋学期も来週1回を残すのみ。1 月から始まる冬学期には、今のクラスから男一人、女二人の計3名が抜けるよ うだ。となると、私以外ではオジサン2名と会社員の女の人1名になる。あな 恐ろしや。。。誰か新しい人が入ってこないかしら。ただしこれ以上オジサン が増えないことを祈る。
帰りは例によって京都市役所駅前まで徒歩。路上飲酒はなし。道すがら、 今日のゼミの懸案問題を考えるも、どうもよくわからず。
帰宅後、自宅に心理テストの本があったので、ちょっとやってみたら、強い 回避性人格傾向と妄想性人格傾向、そしてやや強い演技性人格傾向が見られると の結果。さらにこれらが病的なレベルにあるかというテストをやってみたが、 これはいずれも正常範囲内だった。
数学は好きだけど数学者は嫌いだ、研究集会に参加するのがとても気が重 く、透明人間モードで漂ってようというのが、まさに回避性人格傾向を表して いるようである。また、猜疑心が強く、しばらく接触していない数学者が全部 敵に思えてくるというのは、妄想性人格傾向の表れらしい。回避性人格傾向も 妄想性人格傾向も、もともと少しはあったけれど、数学者相手の場合にはかな り顕著に現れる。数学業界はよほど私に無理があるところだということがうか がい知れる。
2009年12月10日(木)
<<逮捕する?>>
研究日。やや?!マックスプランクの招聘予定研究者のリストが「向こう12ヶ
月までの予定者リスト」となっているぞ(昨日までは「向こう6ヶ月」)。で、
速攻で私の名前を探したけど、無い。まあ、これで全部というわけではなく、
あと数週間のあいだ毎日更新されるから、そのうち私の名前も載るかもしれな
いし、載らないかもしれない。しかし、当方も色々段取りというものがあるん
だから、駄目ならそうだとさっさと連絡して欲しいもんだな。クリスマス休暇
に入ってしまうと厄介だし、そろそろ問合せのメールでも出そうかしら。でも
その前に、どういう人が招聘されるのか調べてみよう、、、というようなこと
をやっているうちに午前中が終る。
午後は街に出る。久しぶりに山科駅前Sbuxで2時間ほど数学。例の講 義録の精読を進める。それから河原町三条界隈に繰り出し、アンジェ河原町三 条本店とJEUGIA三条本店を偵察。12月になると何だかJ.S.バッハ が聴きたくなるのはクリスマスの影響かしら。ヒラリー・ハーンのカンタータ のCDとアンドラージュ・シフの6つのパルティータのCDを試聴。カンター タのソプラノが綺麗だし、初めて聴いたパルティータの5番も素晴らしい曲だ。 他のいくつかのCDと聴き比べても、シフのものは音が断然綺麗。うーん、2 つともかなり欲しくなってるんだけど、こないだハーンのモーツァルトのCD を買ったばかりなので、「もうちょっと人生に疲れてから」と、今日のところ は踏みとどまる。
それにしても、バッハのカンタータのタイトルは何とも凄い。例えば、
いいですねえ。私も自分の中で満ち足りたいものだ。原文は"Ich bin in mir vergnügt."らしい。 それ以外に、こういうのもあるぞ。
おいおい、「世よさらば、私はお前に疲れた」って、首でも括るのか?待て!早 まるな!ヒラリー・ハーンのヴァイオリン・ソナタ(モーツァルト)を聴いて からでも遅くないぞ、と。原文は"Welt, ade, ich bin dein müde." らしい。 しかし何と言っても圧巻は、これ。
こら、こら!わかった、わかった!わかったから、そうやって闇雲にしが みつくのはやめてくれ!と。原文は"Ich lasse dich nicht."(私はあなたを離 しません)だが、わざわざ「祝福してくださらなければ」をつけると妙に凄みが出 る。ちなみに「そうだとも、私はイエスに固くすがる」の原文は"Ja, ja ich halte meinen Jesum fest."らしいから、思わず「そうだとも、私はキリストを 拘留する!」なんて訳してしまいそう。原文を最初に見た時は、"festhalten"を "festnehmen"と勘違いして、「『そうだとも、私はキリストを逮捕する』だって!?」 とのけぞってましたけど。
夜も少し数学。
2009年12月9日(水)
<<失望する>>
「水曜日の朝はJR琵琶湖線が遅れる」という法則どおり、今朝も15分程度
遅れていた。10時過ぎに大学に到着。10時40分から大学院の授業。教室
に行っても誰も居ない。例の遅刻常習学生はともかくとして、うちの研究室の
M君も来ていないので、黒板に「授業を受ける準備ができたら、呼びにくるよ
うに」と置き書きをして研究室に戻る。研究室で20分ほど後期試験問題用紙
の仕上げ作業をしていたら、M君が呼びに来たので教室に戻り、二人でルべー
グ積分のゼミ。
12時10分に授業終了。研究室に戻ってコソコソ昼食。後期試験問題を 完成させて事務室に提出し、13時から卒研ゼミA(可換環論・代数幾何学)。 14時35分頃に終り、14時40分から16時10分まで2回生の群論の講 義。今日はクラインの4元群が4次対称群の正規部分群であることの直接的証 明で、ウソを喋ってしまった。
16時30分から19時まで教室会議。会議の前半はウソ証明の修正版を 考えてすごす。何とか正しい証明がえられたので、後半は議事に適当に付き合 う。誰かが議事に興奮して「この学科の雰囲気には失望した!」と叫んでいた。 そういえば前回の教室会議の後、私は同じ事を胸のウチで叫んでいたんだけど、 こういうのって伝染するのかしら。
分刻みのスケジュールを無事こなし、生協で夕食の後、少し雑用をして2 1時頃に大学を発つ。この時間帯は大学のバス停に学生の長蛇の列が出来て、 何台も続けて発車するバスがどれも満員になるが、彼らはこんな遅くまで一体 何をやってるのかしら。
帰宅の途中、山科区内の書店で「もういちど読む山川世界史」(山川出版 社)を衝動買い。高校時代に使ってた山川の教科書を持っているけど、赤線な どがいっぱい引いてあるので、新しいのを買って読み直そうか、と。もしかし たら新しい研究成果が反映されているかも知れないし。
暗記モノが全然駄目なので高校時代は世界史が嫌いだったけど、大学受験 浪人中には予備校の先生の指導が良かったのか結構得意になった。でも、あれ から30年、世界史ってすっかり忘れてしまったし、かと言って日常生活の中 で、ああ、あれ、世界史で習ったけど、どうだったっけな?ということが結構 あるので、もう一度読んでみたくなったのだ。
2009年12月8日(火)
<<結構得意>>
20時半頃、徳島より無事帰宅。今回は隠れマルコフ過程を使った自然言語モ
デルについての集中講義。隠れマルコフ過程や自然言語モデルは私の専門でも
何でもないのだが、適当なネタ本があったのでそれで勉強して教えたというわ
け。こういう情報系専門外ネタで講義するのは結構得意である。そのネタ本の
著者の先生が徳島大学に居るので、ついでに色々質問して教えてもらってきた。
著者の先生は、この内容なら自分が講義したら30分ぐらいで終ってしま うけど、どうやったら2日間の集中講義で延々と話せるのかと驚いていた。私 はこういう引き伸ばし芸も結構得意である。まあ、ちょっとした事柄の中にも 色々面白いことが潜んでいるから、それを全部ほじくり出して教室でちまちま と開陳するだけなんだけど。学生達の反応も悪くないし、それなりに正しい 芸風じゃないかしら、と。
6日の夜は讃岐うどんA店にて温ぶっかけうどん温玉付き+天ぷら。7日 の朝はコンビニで買ったパンと野菜ジュース、昼は讃岐うどんB店で 釜玉うどん+天ぷら、夜は讃岐うどんC店で天ざるうどん。 8日の朝はコンビニで買ったパンと野菜ジュース、 昼は讃岐うどん再びB店で冷ぶっかけうどん+天ぷら、夜は 駅前某店で徳島ラーメン+駅地下スーパーで買ったぼうぜ・あじ・鯛寿司 詰め合わせ。徳島に行くと、どうしても こういう食生活になるのよね。あと鯛めしと租谷蕎麦を食べたかったな。
それから、夜はホテルで真面目に数学でもと思ってたけど、 結局音楽聴いて酒飲みながら数学して、酔いが回ってきたところでテレビ三昧 で夜更し、みたいなことになって若干睡眠不足気味。帰りの高速バスでも数学しようと 思ってたけど、バスの中の照明が異様に暗かったこともあって、結局ずっと 寝てた。
帰宅したら、中学校の同窓生の忘年会の知らせ。即座に出席の返事を出す。 マックス・プランクとハノイは、相変わらず音沙汰なし。ハノイの方は出発ま で1ヶ月を切ったし、航空券のキャンセル料とか色々段取りがあるから、「あ の話、いつの間にか無しになってないよね?」って確認のメールでも出そうか しら。
2009年12月5日(土)
<<ボケをぶちかます>>
時々、「あのシリーズ」が瞬間的に復活するのである。さて、今日の1枚は、
本日購入したばかりの、ヒラリー・ハーンのモーツァルト「ヴァイオリンとピ
アノのためのソナタ(K.376,301,304,526)」。建物が傾い
ているアングルや二人の位置、端の方に少しだけ見えてる空、ハーンの表情、
ピアノ伴奏のナタリー・ツーのブルーのマフラー。あんまり良い写真なので、
先日見つけたバッハのカンタータのCDではなくて、こっちの方を買ってしまっ
た。もっとも、数日前に試聴して目はつけてたんだけど。
本日ドイツ語の日。今日は特に大きな宿題もないので、午前中はネットで 数学関係の情報などを漁る。やや!?ハーバード大学の偉い先生が 「アバンダンス予想」を解決したらしいぞ?いやはや、この数年、重要予想解決 の目白押しだな。プレプリントを覗いてみたが、複素解析幾何の方法を使ってい るようなので、ほとんどチンプンカンプンだ。そのうち日本の偉い先生達が解読 して解説してくれるかしら。
15時過ぎから17時前までドイツ語寺子屋塾。今日もさんざんボケをぶ ちかまして、たっぷり笑いを取った。秋学期は今日が最終回だけど、20日に クリスマス・パーティがあるので、それには参加する積もり。来学期は1月9 日から。しかし、もしベトナム行きが実現したらその日はハノイだから1月1 6日から通うことになる。ベトナムもマックスプランクもまだ何も言って来な い。もうひとつ、年末恒例の中学校の同窓会の連絡も、まだ来ない!
寺子屋の帰り道に京都ゲーテを偵察。今年のゲーテのクリスマス・パーティ は来週の土曜日のようだ。その日は関西日仏のパーティーもあるが、ゲーテの パーティーの方が早く始まるから、先にそちらに寄って、それから関西日仏に 乗り込めばちょうど良いな。あとは、アルティーでコンサートを開くフランス の古楽器アンサンブルが、前日のリハーサルを関西日仏で公開するというから、 それも行ってみないといけないし。12月はあちこちのイベントが目白押しだ。
そういえば、寺子屋の帰りに立ち寄ったJEUGIA店内ではアルフレッ ド・ブレンデルの引退コンサートのCDが掛かっていた。ジャケットの写真を 見ると、ブレンデルも爺さんになったなと思う。ヒラリー・ハーンらのバッハ のカンタータのCDももう一度試聴してみたが、テノールだかバリトンだかが 聴き覚えのある声だなと思ったら、5月10日にシューマンのCDを紹介した マティアス・ゲルネ(Matthias Goerne) だった。あの頃は、ガマ大王の邪悪な 魔法で人間の姿に変えられてしまった雨蛙が、「魔法を解くためにどうか私に 力を貸してください」と、雨上がりの木の葉の上からこちらを見上げ、 助けを請うているような顔した若い兄ちゃんだったのに、今や押しも押されぬ ぶっといオジサンになっちゃって。。。ま、人の事なんかどうでもいいけどさ。
夜は来週水曜日の群論の講義の準備。明日から集中講義のため徳島大学に
出張。次回更新は火曜日の深夜以降の予定。
2009年12月4日(金)
<<根性無し>>
フランス語の日。週に1日しか勉強しないと流石になかなか上達しない。昼前
から、自宅や関西日仏学館図書室にて大急ぎで復習と宿題と予習。結構な分量。
夕方頃ようやく一段落して、少し数学。例の講義録を少し読む。それから京大
ルネの書籍部をぶらつく。"directed algebraic topology" とかいう立派な本
がケンブリッ
ジ出版かどこかから出ていて、名前からすぐに私が10年ぐらい前にやってい
た事に関係しそうな話だと分かった。どれほどインパクトのある理論かは分か
らないけど、とりあえずこういう形で纏まった本が出るぐらいに発展したとは
感慨深い。
かつて私もちょうど同じような理論を考えていたのだけど、それをここま で発展させる力は無かった。数学的な実力もさることながら、当時の数学にも 計算機科学にも無い全く新しい理論だったので、いくら論文を書いて国際会議 や学術雑誌に投稿してもヒステリックな反応が返ってくるばかりで鼻っから読 んでもらえず、馬鹿馬鹿しくなってやめてしまったのである。本当に偉い科学 者なら、この理論の可能性を信じて長い冷や飯時代を耐え抜けたはずだけど、 私にはそんな根性は無かったのである。根性も実力のうち。
ま、あの話はもう興味無いからいいんだけどね、と思いつつ、18時45 分から21時前までフランス語の授業を受ける。帰りは路上飲酒なしで京都市 役所前駅まで徒歩。途中小腹がすいたので「なか卯」で鴨蕎麦をたぐる。
2009年12月3日(木)
<<違いを無視する>>
研究日。あちこち放浪しながら講義録精読ノートを書き進める。午後は来週の
徳島出張の準備の一貫として、讃岐うどんの丸亀製麺河原町三条店にて釜玉
うどんの遅めの昼食。それから上島コーヒー寺町店で2時間ほど滞在。
かつてはSbux新京極店で数学していたが、あそこは若い子ら(また言っ
てる!)がお喋りする場所として、常時満員御礼状態なので、最近は行ってない。
上島コーヒーは、夕方近くになると高齢婦人達が大挙して押しかけ、彼女らの
お喋りの場となっていた。
数日前に、普段は、試験勉強する(山科駅前Sbuxを追い出された?) 高校生たちに混じって、何もすることがないオジサンがぽつりぽつりと座って いるラクト山科の大開口窓通路沿いベンチに、突然大量の高齢婦人達が鉄砲水 のように押しかけ、今日の上島コーヒーと同じように占拠する様子を目撃した。 最近彼女達が集団であちこちに出没するのには何か理由でもあるのだろうか。
店を出てからはJEUGIA三条本店を偵察。柔らかい音のモーツアルト を弾く新人ピアニストのCDが掛かっていたが、私はヴァイオリンのヒラリー・ ハーンがソプラノとテノールの人と一緒にJ.S.バッハのカンタータなどを 演奏しているCDに目がとまった。
ヒラリー・ハーンは、しばらく前にJEUGIA店内でメンデルスゾーン のCDのポスターを見て、うわっ!ベクトルバンドルを研究 しているあの人が、ヴァイオリンも弾いてたのか!?と思わずのけぞって 以来、何となく気になっている演奏家。昨日の会議で人生にどっと疲れが出た ことだし、思い切って買っちゃおうかと思ったが、今日のところはひとまず見 送る。
それにしても、私が言う「誰某に似ている」というのは、私以外の人に言 わせれば「うーん、そうかなあ???まあ、ちょっと雰囲気が似てるような気 がしないでもないけど、、、」という類のものばかりである。しかし私にすれ ば「ほとんど区別をつける必要がないぐらいによく似ている」のだ。
この「区別をつける必要がない」というところがミソで、要するにその顔 から受ける印象や雰囲気の類似に注目しいるのである。年齢性別の違いぐらい は簡単に無視してしまうし、看板の文字を見て「何でお前がここに居るん や!?」ってのけぞったこともあるし。だから、高山が言ってるヒラリー・ハー ンに似ている数学者って誰か?って捜そうとしても、わかりっこないよー、だ。
2009年12月2日(水)
<<そこの子ら>>
水曜日の朝なのにJR琵琶湖線は珍しく平常運行。10時過ぎに出勤し、ネッ
トで少し検索仕事。10時40分から大学院の代数の授業。うちの研究室のM
君とルべーグ積分のゼミ。もう来なくなったのかと思ってたもうひとりの受講
生が、久しぶりに、かつ、例によって30分ぐらい遅れてやってきた。貴方は
いつも遅れてくるけれど、大学に来る前に寝たきりのお婆ちゃんのオムツを交
換しなければならないとか、子供を幼稚園に預けて来ないといけないとか、左
門豊作のように幼い弟や妹に朝御飯を作って弁当を持たせなければならないと
いった事情でもあるのか?と尋ねたところ、「べつにない」という。で、特段
の事情なしに毎回当たり前のように30(±5)分遅刻するのは好ましくない
と、雷を落としておいた。12時10分に授業終了。
昼休みは、研究室こそこそ昼食の後、検索仕事の続きやその他の雑用やっ て、あとは2回生の群論の講義の準備として再来週以降の内容をざっと確認す る。14時40分から16時10分まで群論の講義。この授業はいつも凍りつ いたように静かだが、今日は最後の方で後ろの2人がお喋りしていたので、 「ちょっと、そこの子ら、お喋りはやめてくださいね」と注意。 大学生が「そこの子ら」に見えるんだから、オッサンやなあ、と。ま、私の場 合、ずっと昔からそういう風に言ってたんだから、いいんだけどさ。
その後ひと息置いて16時半から19時20分頃まで教室会議。公募人事 の審査が中心議題。自分たちの同僚となる人を選ぶのだから真剣にならざるを 得ないものの、嫌な仕事である。公募人事で最終的に選ばれる人以外は全部駄 目な人ということは普通ありえないので、この人がいいんじゃないか、いや、 この人もいいよという具合に議論は揉める。しかし誰かを落とさなければなら ないから、一人の研究者として立派にやっていて十分尊敬に値する候補者のあ ら捜しをして難癖をつけなければならない場面も出てくる。尊敬に値する人々 のあら捜しをしなければならないとは、まことに因果な商売である。私自身も 皆と一緒に応募書類を突っ突き回して色々あら捜しをするのだが、議論の中で 飛び交う意地悪な難癖を聞いていると、まあ、学問の水準を保つための正しい 相互批判・相互評価なんだろうけど、やっぱり数学者は意地悪だなあ、俺も陰 ではこんな事を言われてるんだろうかと思えてきて、だんだん気が滅入ってく るのである。
生協で夕食の後、図書館に本を返却してから大学を発つ。電車の中で後期 試験問題を考えながら、帰宅は22時頃。それから試験問題と解答例を完成さ せTeXで清書。
2009年12月1日(火)
<<偽りの愛>>
昼前に出勤。研究室こそこそ昼食と水曜日の代数の講義の準備を少し。12時
40分から14時過ぎまで卒研A(可換環論・代数幾何学)。講義の準備のつ
づきを少しして、14時40分から16時頃まで卒研B(初等整数論)。一息
ついて16時半から18時まで某作業委員会。なぜか私が責任者になっている
ので、さぼるわけにもいかない。その後研究室から事務的なメールをひとつ出
して大学を発つ。帰宅は19時半頃。夜はまた少し講義の準備。2週分ぐらい
の準備が終る。それから少し例の講義録精読ノートづくりを進める。
大学である教授の講義を聞いたりして、なるほど数学とはこんなに面白い ものかと感動して勉強に励むようになり、そのまま数学者になった人の話を ときどき聞く。 しかし私などはもっと不純な動機で数学者を目指したような気がする。要する に、ガロアや岡潔や広中平祐といった光り輝く数学者たちがとてもカッコ良く 見えて、自分もあんな風にカッコ良くなって皆に尊敬の眼差して見られたいと 思ったからである。代数幾何学を専攻したいと思ったのも、単に当時 ハーバードから京大に戻ってこられたばかりの広中先生が、いかにも 気鋭の学者って感じで颯爽としていてカッコ良かったから。 カッコ良い先生に学べば、自分も手っ取り早くカッコ良くなれるだろう、と (結局広中先生の下では学べなかったけど)。 つまり、数学に対する偽りの愛ね。
しかし、若い時はギラギラした不純な動機でがんがんやれるけど、オッサン というのはもっと純情な生き物で、わが身わが胸に問うて「動機に偽り無し」 とならない限り、馬鹿馬鹿しくて何もする気が起こらないのである。
ところが不思議なもので、不純な動機を原動力にして勉強したり、大学院を 目指して失敗したり、会社に就職して数学と離れたり等等、色々やっているう ちに偽りの愛はいつしか真実の愛に変わてきたようで、「数学も色々な分野 があるけど、やっぱり代数幾何学が一番面白い」と何の疑問もなく思うような 体質が出来上がっている。
明日の深夜はYahooのサーバメンテとかで、その影響で 下手をすると更新が 明後日午前中以降になるかもしれません。