s
一部のブラウザの
た
め
の
邪
魔
な
広
告
よ け ス ペ ー ス で す。
2010年4月30日(金)
<<大学の研究室>>
午前中は自宅で数学。例の難しい論文の1行がすこし分かりかけた。それはさておき、今日こそは論文の査読に着手しようと思い、山科駅前で適当に昼食の後、出勤。夕方頃まで、さぼりたい一心のわが身に鞭打ってちくちくと査読を進める。しかしそれにしても、自宅でもできる作業を何故わざわざ大学でやるのか?
中学生の頃、旺文社の「中一時代」という月刊誌をしばらく購読していた。そこの相談コーナーに「勉強しなければと思って勉強机の前に座っても、全然やる気が起こらずに漫画を読んだりしてしまうのだが、どうすればよいか?」という相談があった。その回答として、勉強部屋には漫画本等を置かないようにし、そこに入ったら勉強以外のことをする雰囲気ではないようにして、気分を切り替えやすくすれば良いというようなことが書かれていた。私は別に勉強が嫌いでもなかったので、当時はふーんと思って読み流していたが、大人になってからはこの記事がおおいに役立っている。
自宅や街は自分の好きな研究や勉強を自分の好きなようにダラダラとやる場所になっており、時間のかかる頼まれ仕事や気の進まない雑用仕事をする雰囲気ではない。そういう仕事は大学の研究室でないとできないし、大学の研究室に行けば、そこは自分の好きな勉強や研究はやってはいけない雰囲気になっているので、仕事がはかどる仕掛けになっているのだ。
それにしても、大学の私の研究室がどういった経緯でもって自由な研究をしてはいけない雰囲気の場所になったのかは、自分でもはっきりしたことは分からない。確かに、研究室に居ると必ず誰かがやってきて、「ああ、高山先生、居ましたか。ちょうど良かった」と何やかやと面倒な仕事を押しつけて研究の邪魔をするので、おおいに閉口した時期もあった。そのいっぽうで、特に用事がなくても片道1時間以上の通勤時間をものともせずに毎日嬉しそうに出勤して、数学者というのは大学に立派な研究室を与えられているのにちっとも利用しないのはけしからんなどと言ってた時期もあった。最近は研究室に居ても誰も邪魔しに来ないし、定年退職した先生に払い下げてもらったソファーなども置かれていて、数学を考えるのには最適の環境のようにも思えるのだが。
まあ、大学に居ると複雑系の皆さまのことや、学生のことなど、色々非学問的なことを思い出してしまい、気が散ってしょうがないということが大きいのかもしれない。あまり人間がず太く出来てないので、どうしても周りの雰囲気を気にしてしまうのだ。
夜も少し数学。
2010年4月29日(木)
<<メーデー>>
また、「あのシリーズ」の瞬間的復活である。今日の一枚は、マウリツィオ・
ポリーニのピアノで、ショパンの「12の練習曲(作品10・作品25)」。
以前ショパンのポロネーゼ集を買ったのだが、モノラル録音の「痩せた音」
で、演奏も何だか機械みたいに正確なだけで面白みがなかったので、
それ以来ずっとポリーニを敬遠していた。
しかし今日JEUGIA三条本店で流れているのを聴いて、「機械野郎もここまで
気合いが入ってれば、ま、いいか」ということで購入。ショパンとは
また久しぶりな、、、。
実は今日もまたシフの若い頃のCDはどうかと思って、 J.S.バッハの「イギリス組曲」と「平均律クラヴィーア組曲」 を試聴していて、もひとつ購入に踏み出せずに呻吟していたのだが、 結局ふらふらっとポリーニの方に行ってしまったのだ。 これはちょうど、お金持ちだけどいまひとつ退屈な男と、 野心家で将来有望そうなんだけど、ちょっとクドイ性格が鼻につく男 の両方から求婚されていて、どうしようかなあ、でももひとつ踏み切れないな あと迷っていたところに、昔ちょっと付き合ってすぐ別れた男が少しばかり カッコよくなって現れたので、なんとなくそっちとくっついてしまった! みないな 話、、、んなわけないか?
本日研究日。またも例の難しい論文に取り組む。難しいなあ。まあ、数学だから 難しいのはしょうがないか、と。午後は河原町三条界隈に出て、丸亀製麺で 3時のおやつではないかというぐらい遅めの昼食。
そういえば今日はまだ5月じゃないのにメーデーなんだそうで、若者たちの ちょっと不思議なデモ行進を目撃した。文化祭の仮装行列かと思ったら、 路上で手渡されたビラには「逃散や不服従メーデ」とあり、「我々は屈服しな いぞ!」と、あまり勇ましくもない声で叫んでいる。どうやら不安定な労働条件 が当たり前のようになっている今の社会の在り方を拒否する!という主張のよう だった。ビラの隅には包帯で顔をぐるぐる巻にした男のイラストがあり、手書き風の 文字で"une jeunesse que l'avenir inquiète trop souvent"と書かれて いる。「先行きの不安に押しつぶされれそうな青年時代」とでも訳すのだろうか。 デモなのに、「まともな職をよこせ!」とか「気安く首切るな!」式の要求のない、 このインテリっぽい品の良さは何なんだろう。
それから寺町通りの上島珈琲に居座り夕方まで数学。その後JEUGIA三条本店 に立ち寄り、上に紹介したポリーニのCDを購入。夜もまた数学。2、3週間前 から分からずに困っていた論文のある一行がようやく分かった。やれやれ、 この調子じゃあ、先は長いな。
そういえば今日は祭日だけど、Ritsではちゃんと授業をやってたそうだ。
先日寺子屋で吹聴したことも、まんざら大ウソでもなかったか。
2010年4月28日(水)
<<よくわからない人たち>>
大丸山科店で昼食用のパンを買って、昼前に出勤。研究室こそこそ
昼食の後、13時より卒研ゼミ。今日も就活3人組が全員揃う
「奇跡のゼミ」となる。代数的集合のイデアルによる定義とザリスキ
位相を定義するための性質の証明などをやって、14時半に終了。
ひきつづき14時40分より2回生「離散数学」の講義。今日は
置換群、特に3次対称群の話。先週あたりから風邪をひいている学生
が多く、あちこちでコンコンと咳がうるさい。私語だと注意するが、
咳を注意するわけにもいかないし。講義は16時10分に終了。
出張申請書を書いて事務に出し、16時半より学科会議。例に よって議事を聞き流しながら、連休明けの「離散数学」の講義メモ づくり。しかし議題がカリキュラム改訂だったので、多少発言もする。
複雑系のみなさんは意外に(?)教育熱心なのか、カリキュラム 改訂のたびに、あの科目を新設しよう、この科目も入れたいみたいな ことを言いだして、科目がどんどん増えていく。私は不真面目な先生 だから、「自分が埋められる穴を自分で掘ってどうするのだろう?」 とか「自分で自分の首を絞めるようなことをしたがるって、マゾみたい」 ぐらいに思って見てるけど。 (ああ、私は何ていけない先生なんでしょう!)
カリキュラム改訂も学問の体系や最新の研究動向を鑑みて色々 考えている時はそれなりに熱が入ってしまうけれど、最後に学生 という対象に思いが及んだところで、私などは「あ、もういいや」 って感じになる。他の先生たちと違って、学生からは物心両面で かなり遠いところに長く居たので、(自分のゼミの学生を除いて) 彼らのことがよくわからない。 よくわからない人たちのことを勝手に慮ったところで空回りする だけだから、「あ、もういいや。あまり深く考えてもしょうがない」 となるのである。
会議は19時10分頃に終了し、生協食堂で夕食の後、 学会出張の時に買ったGunning & Rossiの多変数関数論の 教科書を眺めながら帰路につき、21時前に帰宅。 数学でもと思ったが、学生にうつされたのか数日前から少し 風邪気味だし、何だか疲れているので、ぼーとすごす。
2010年4月27日(火)
<<咆哮一発>>
高密度実装の火曜日。しかも春の嵐も激しい。こんな日に
JRが8分しか遅れないのは奇跡に近い(?)。
10時過ぎに出勤し、10時40分から12時10分まで 4回生配当「計算機数学」の講義。単項式順序の話の続きと、 初等的な連立方程式の例をつかったideal membership問題の話。 終わり際に学生が、この講座は簡単に単位が取れるのかという ようなことを聞いてきたので、簡単ではないと答えておいた。
短い昼休みは研究室でこそこそ昼食の後、クロネコヤマトの 海外別送サービスがまだ行われているかどうかネットで確認。 以前ゆうパックか何かでドイツに荷物を送ったら、ドイツ税関に ひっかかって大変な目に遭い、郵便局に文句言っても知らぬ 存ぜぬの一点張りだった。だから、厄介なドイツ税関対策も込 みでやってくれるヤマトのサービスは有難い。
13時から14時半まで、経済学部、経営学部の 「C言語とUNIX演習」。今日はファイル、ディレクトリ操作のUNIX コマンド、Emacsのコマンドをざっと説明した後、課題を配布して Cプログラム作成、コンパイルと実行、レポート作成の手順を 実演して見せる。次回から本格的にCプログラミング作業に入る予定。
ひきつづき14時40分から16時10分まで、2回生配当 「代数学序論I」。今日は円分方程式と1の原始n乗根を3次と6次 の場合を比較しながら例示し、一般の場合のステートメントを 書いて一部証明する。
研究室にもどって一息つき、16時30分から教授会。次週の 「代数学序論I」の講義メモを作りながら議事を聞き流す。 皆が心秘かに楽しみにしている教授会のお約束、猛獣先生の 咆哮一発もちゃんとぶちかまされて、しかもたった50分弱で終了。
その後ただちに大学を発つ。大学のバスロータリーからバスに乗った 瞬間、ずっと以前からどうもわからんなと思っていた代数幾何学の 基本事項が、わかりかけてきたような気がした。あれこれ考えながら 帰宅し、夕食後は近所の歯医者の定期診療。夜も続きを考えたり、あち こちの教科書をひっくり返したりしているうちに解決。代数幾何学で 特に多いような気がするのだが、大事なことがどの教科書見ても 隠喩的にしか書いてなくて、それを見破れる才知がないと足元をすく われるってやつ。これは、研究の第一線にたどりつくまでの道のりに 落とし穴が沢山掘ってあって、それにまんまとハマるような愚か者 が参入できないようにしてあるとしか思えないな。
2010年4月26日(月)
<<全部ウソなのよ〜>>
今朝もまだ調子が狂っており、午前中はまたも複雑系対応のメール書
きなど。今日は雑用・頼まれ仕事消化日として大学に出勤し、
論文の査読作業に着手しようがと思っていたが、どうも気乗りが
しない。それで自宅で愚図愚図と研究日モードに入って、途中まで読んで行き
詰った難しい論文をもう一度最初から読みなおすことにする。
先日、ドイツ語寺子屋塾で、 "In der Goldenwoche haben wir an meiner Uni alle Unterricte und Vorlesungen wie immer." (ウチの大学ではゴールデンウイークでもいつも通りガンガン授業やりますよ), とか "Wir haben keine Feiertage ausser Neujahr und so genannte SEIJIN-NO-HI." (正月と”成人の日”を除いて、我々に祝日などないのです) みたいな事を言ったら、「へえ、Ritsって凄いんですね」とか言われたので、 思わず調子こいて "Genau, ein verrueckte Universitaet stellt gute Studenten her."(尋常ならざる大学が 良い学生を生み出すのさ)とか、自分でも何言ってんだかよくわからんことを 口走ってしまい、先生に"Was bedeutet das?"(それ、どういう意味?)とか突っ 込まれ、 "Nichts. Das ist nur ein Witz." (いえ、別に。ちょっとした冗談です) とか、大慌てで誤魔化したりしていた。
しかし今日になってふと、それやこれやが全部大ウソだ と判明した。過去数年の手帳を調べても、5月の連休は休みになっている。 いかんなあ。今度寺子屋塾に行ったら、ちゃと訂正とかなくっちゃ。 でもまあ、連休がちゃんと休みになることは、良いことだ。 とりあえず査読は授業をやるつもりでいた連休にに片付けよう、と。
そうこうしているうちに、事務から9月の早期出発の出張申請が 受理されたとのメールが届き、やはり出勤して生協トラベルで航空券 の手配をすることにする。1月のハノイ出張のときは、のんびりしている うちに航空券の手配が難しくなって困ったし、今度のドイツ行きもまだ 5カ月先だと安心してもいられないかもしれない。定例出勤日の火曜日 か水曜日は授業と会議が高密度実装されているので、16時に 閉店してしまう生協トラベルで色々相談しながら手配する時間はとれない。
ということで、午後に出勤。生協トラベルの係の人と何だかんだと相談 しながら小一時間ぐらいかかったが、どうにか航空券の予約はできた。 とりあえずフランクフルトまでの便は確保したので、そこから オスナブリュックまで電車で行くか航空機で行くかは、もうちょっと考 えよう。それから研究室に戻って、明日の授業の準備のようなことをすこし やってから帰宅。
夜は少しオスナブリュックの街や長期滞在ヴィザのことを調べたりしてから 、数学。ため息をつきながら、例の難しい論文を少しづず読み進める。 数学やってると心が静まるもので、狂ってた調子がすこし戻ってきた。
2010年4月25日(日)
<<調子が狂う>>
何だかよくわからない日曜日。今日は何をやったかというと、
午前中に京都新聞「7つの間違い探し」「クロスワードパズル」
を解いて、朝日新聞「オチビサン」を読み、昼ごろ近所のスーパー
に買い物に出て、午後は先日買った500GBのハードディスクに
壊れたPCのデータのバックアップをとり、ついでに先日大騒
ぎしてシリアル番号を入手したソフトを新しいPCにインストール。
さらにはセキュリティーソフトの入れ替え作業のための調査をすこし。
そしえ夕方ラクト山科に出かけて安いワインを2本買って、
夕食にその1本のうちの半分をやけっぱち気分で飲んで、夜は酔っ払って
オスナブリュックの調査活動をすこし。それだけ。
数学をやったわけでもなく、街を徘徊したわけでもない。
沢山の音楽を聴いたわけでもない。
何でこんなしょうもない一日になってしまったのかしら。
え?じゃあ、数学やって、街を徘徊して、音楽聴きさえすれば、 それでお前には立派な一日が訪れるのかって?あったぼうよ!そんでもって 最後に酒が飲めれば最高ね。まあ、今日は酒は呑んだけどね。
たしかに、ディスクのバックアップも壊れたハードウエアが 時々変な暴走をするので、ずっと見張ってなければならなかったし、 バックアップ作業を横目で監視しながら、複雑系対応のために 下らないメールを書いて出したな。まあ、これは自分の研究生活 を守るための安全保障政策の一環だからしょうがないけど。 それ以外にもいろいろ間の悪いことが皆既日食みたいに重なって、 調子が狂ってしまった。1年に1,2回、こういうことってあるのよね。
2010年4月24日(土)
<<人生を半分降りる>>
ドイツ語寺子屋の日。午前中は自宅で野暮用の後、
Deutsche Welleのニュースを聞いたり、予習をしたり。
昼過ぎに自宅を出て、河原町三条丸亀製麺で讃岐うどんの昼食。
それからバスで百万遍に移動し、京大ルネの書籍部をちょっとだけ
偵察して関西日仏学館の図書室でMOMOを読んだりして時間待ち。
それから寺子屋へ。授業の後で、MOMOは童話だそうだが、
ドイツの子供たちはあんな難しいドイツ語を読めるのかと聞いたら、
あれは大人のための物語だ、と。それを聞いてちょっと安心した。
寺子屋の帰り道は、同じ受講生の人と途中までお喋りしながら 歩く。まあ、こういうところで知り合った人とは、相手がオジサン とかオジサン予備軍とか、あるいは何を思ってのことか妙に構えた りしている人の場合を除いて、誰とでもすぐに仲良くなる。大学や 数学者集団の中にいるときの底知れぬ気難しさを思うと、我ながら ほとんど二重人格者みたいだ。
それは要するに利害関係がある人にはそれなりに警戒する ということだから別に不思議でもないだが、普通はその辺の ところを分かった上で清濁併せ呑んでそれなりに上手くやるところを、 私の場合は「そんなところに気を使うのは、面倒臭い」と バッサリ切り捨てているのである。これは、 脳が歪んだことに起因する社会生活に対する意欲の 低減にほかならないのだが、昔読んでいたく共感した本に、人間50 歳を過ぎたら人生を半分降りるべきだと書いてあったことに 図らずしも忠実にやっているのだとも言える。 そうか、俺は人生を半分降りてるんだ。確かに人生の半分は 下らないことばかりだから、そこから降りて下らなくないところだけ で生きるのもいいかな、と。、
深夜、学科長が学科に流したメールを読んで、複雑系の皆さまの 複雑さを思い出してムカムカしてきて、怒りの鉄拳メールを出す。 え?一体それのどこが「人生を半分降り」てることになるのかって? うーむ、そうだなあ。。。(とウヤムヤにして誤魔化す)
2010年4月23日(金)
<<蹴られて正解?>>
研究日。3月の肌寒さは相変わらず続いている。今日の午前中は
京大で代数幾何学のセミナーに参加。昼食は前から目をつけて
いた今出川通りのラーメン屋で。私の学生時代から既にやっていた
店だが、入るのは今日が初めて。天下一品を生み出した京都らしい、
なかなか強烈なラーメンであった。ガツンと一発、軽い眩暈を感じ
つつ店を出て、喫茶進々堂へ。そこでしばらくセミナーの復習。
進々堂を出て京大数学科の図書室に移動。引き続きセミナー の復習。夕方、帰宅途中にJEUGIA三条本店とAngers河原町三条本店 を偵察飛行。JEUGIAではまたもシフの「イギリス組曲」と「平均律クラヴィーア 曲集」を慎重に試聴するも、購入には踏み切れず。どうやら 今はJ.S.バッハを聴く気分ではないらしい。では今、私は何を 聴きたいのかしら。Angersの店内で掛かっていたジャズが妙に沁みたが、 昔ジャズが好きだった頃もこんな風に感じたものだ。 しかし、こんなことは最近10年ほどなかったのに、どうしたことか。
帰宅後もセミナーの復習。結構勉強することがあって、時間 がかかる。まあ、あまり深追いしてもしょうがないかと思って、 適当なところで打ち切るのだが、講演の隅から隅まで分からないまでも、 彼らが当たり前のように使っている概念や議論のスタイル、問題 意識、あるいはちょっとした常識的事実を洗い出して押さえれば、 かなり勉強になる。京大のセミナーは割合頻繁に行われるし、 自宅にも近いから「物理的には」気軽に参加できる。問題は 「精神的に」気軽に参加できるか、だ。
ボンのマックス・プランク研究所客員研究員に応募したのは、こう いうセミナーに通って勉強できればと思ったからだが、わざわざ ドイツまで行かなくても京大のセミナーで十分だし、もしかしたら 京大のセミナーの方が内容的には私にとって有益かもしれない。 しかし、京大だと回避性人格障害の発作と戦わなければならないので、 国外脱出を図ったというわけ。計算機屋を廃業して可換環論屋として 再出発する際も、結局日本国内では精神的にキツくて、Herzog 先生のところで気楽にやらせてもらって何とかなったようなところも あるし。
まあ、これは21世紀以降に知り合ったオジサンと日本語で会話 するのは抵抗があるが、ドイツ語かフランス語ならオッケーよ、 みたいな話で、日本語による言語生活とそれにまつわるしがらみから の脱却が私にとっていかに重要かを示す涙無しには語れない物語で ある。何?何で涙なしには語れないのだって?いや、まあ、それは、 勢いでちょっと書いてみただけですので。
それにしても、透明人間モードで京大に潜入するのにも慣 れてきたし、マックス・プランクの代わりに行くことにした オスナブリュックの先生もそう悪い人でもなさそうだし、 結局マックス・プランクに蹴られたのは正解だったかもしれない。
2010年4月22(木)
<<小さな驚き>>
研究日。また3月中旬並みの寒さに戻り、雨がざあざあ降っている。
どうも、代数幾何学でよく使われるある写像の構成方法をちゃんと
抑えておかないとだめだとわかり、朝からいくつかの資料を見なが
ノート作り。
午後は雨ニモマケズ街に出て、山科区内の銀行でお金を 下ろして郵便局で学会費の振り込み。ついでにその辺で遅めの昼食。 それから河原町三条界隈に繰り出し、寺町通りをしばし徘徊後、 上島珈琲に入り、夕方まで数学。ここは常時満員御礼商売繁盛ご 同慶の至りの山科駅前Sbuxと違って客の回転もそこそこ良く、 席も割合空いているところが良い。客の年齢層も高めなので、 こういうところばかり出入りしていると、たまに大学に行くと 周りは若いのばっかりなので、びっくりしてしまう。まあ、 生活に小さな驚きがあることは、いいことだけどね。
上島珈琲を出て、JEUGIA三条本店をしばし偵察。 今日こそはアンドレアス・シフの「平均律クラヴィーア曲集」 を買うぞ、と。おおっ、今日は第一巻と第二巻の両方がそろってるぞ。 JEUGIAさん、気がきくねえ。早速2つとも試聴して、 第二巻の方を買う方向で傾いてきた頃、店内でアルフレッド・ブレンデル の引退記念コンサートのCDが流れてきて、どうもあのシューベルトの ソナタが気になってしょうがない。結局J.S.バッハを聴く気分ではなくなり、 シフは今日も見送り。「帰って自宅にあるシューベルトのCDでも聴こう」 と。
夜はまた数学。写像の構成法や特徴、やっぱり分かってなかった んだよね。困ったもんだ。壊れたPCのデータのバックアップや、 昨日買ったソフトのインストール、セキュリティーソフトの入れ替え、 Emacsの漢字フォント対策など、色々やることがあるけれど、 なーんにもなってない。ほっとくと数学ばかりやってしまうので、 適当な時間で強制的にやめて、ドイツ語に関係したことをする(つもり)。
2010年4月21日(水)
<<雷を落とす>>
昼前に出勤し、生協でPC用のソフトウエアを購入。大学教員割引で売って
いるソフトだが、携帯電話で指定されたサイトにアクセスして、色々個人
認証の手続きをしないとインストールのためのキーを渡さないなどと面倒
なことを要求してくるので、それに手間取っているうちに昼休みの時間。
今日は学科の新任教員の歓迎昼食会。ここ数年、新任教員の着任が続 いたのだが、年度によって気まぐれに歓迎会をやったりやらなかったりと、 複雑系の皆さんの複雑系ぶりが目に余ったので、1年ほど前の学科会議で 雷を落とした。確か、「学科として歓迎会はやらないならやらない、やる ならなる、どっちかに決めて一貫性を持たせろ。それすら出来ないよう なら、この学科はもはや組織の体を成していないし、お前らに学科を運営 する資格などない!」みたいな事を言ったように思う。(高山先生って、 相変わらず態度がデカイね)
そのときついでに、「たとえば、去年着任した 自分の時は歓迎会という話も起こらず知らん顔されてたのに、今年来た 人にはそういう話になり、『ああ、先生、貴方の時は忘れてましたね。 じゃあ今年一緒にやりましょう』みたいな事を言われて、貴方達 はいい気がするのか?」というような事も言ったのだが、数学者というのは そういうことをされても案外平気な人種なのかもしれない。 そうだな、それぐらい図太くないとこの世界ではやってけないに違いない。 ま、数学者でない私にはわからないけどね。
それで、歓迎会は面倒だからと一切やらない方向で固まると思いきや、 夜の宴会が嫌いな人もいるから昼食会でもという話になり、何日も前から 関係者全員にアナウンスしたりして、結構マジな学科行事と相成った。 うーむ、やはり複雑系の皆さんの挙動は私には予測不能だな。結局今日 は、やむおえぬ用事のある先生と例の寝坊の先生以外は全て集まっていた。
13時から14時半まで卒研ゼミ。今日は3名全員が出席。今年度は 前期だけの卒研担当だし、ゼミ生全員が就職活動をしているらしいので、 3名揃うのは今日が最初で最後になるかもしれない。
14時40分から16時10分までは、2回生「離散数学」の講義。今 日は複素平面と1の原始n乗根の話。そろそろ一番後ろでへらへら笑いな がらお喋りしている学生が現れ出したので、雷を落とす。こういう連中に 限って、自分たちが雷を落とされていることに気付かずにお喋りに夢中に なっているので、雷がエスカレートする傾向がある。
実際、すこしだけ語気を強めて、「おい、そこの君たち!さっきから 見てたらずうっとお喋りばかりしてるじゃないか」と指さして注意しても、 鼻っからこちらを見てないし話も聞いてないから、自分たちのことを 言われていても気づかない。むしろ講義を聞いてた学生たちのほうが、 「ありゃ。先生、キレたみたいだぞ」とおっかなびっくりな顔している。 で、しょうがないのでまずます語気を強め、「おいっ!!そこだ!そこの 4人組だ!君ら何やねん?!%!#$♂★φ!(意味不明)」みたいに マジキレしてみせないといけない。そうすると、連中は講義の雰囲気が少し 変わったことに気づいて、やっとこちらを向き、自分たちのことを 言っていると理解するようである。
講義の後、研究室に戻って来週の分の「離散数学」の講義ノートを 作り始めるも、17時15分からの学科会議の時間にずれこむ。会議に 出て議事を聞き流しながら講義ノートを完成させる。18時過ぎに会議 は終わり、研究室でしばし数学の後、生協で夕食をとって帰宅。
2010年4月20(月)
<<高密度実装の一日>>
それほど寒くもないが、春の雨が降っている。火曜日は一週間のうちで
一番忙しい日である。
午前中は4回生の「計算機数学」の講義。今日は多項式計算 のリダクション計算モデルと単項式順序の話。それから50分の 昼休みに研究室こそこそ昼食をとり、13時から14時30分まで 経済学部、経営学部2回生の「C言語とUNIX演習」。今日は作業用 サブディレクトリを作って、emacsを起動して簡単なCプログラミング を体験する実習。TAをやってくれている院生T君が「事務から雇用契約 その他何の連絡もこない」と言うので、確認することを約束して次の 授業へ。10分の休憩時間に別の教室棟に移動して2回生「代数学序論I」 の講義。受講生は少し減ったような気もするが、相変わらず多い。 今日は代数拡大と超越拡大の違いを例示し、2次方程式の分解体 を計算してみせる。16時10分に講義終了。
16時30分から教授会の日もあるが、今日は会議はないので、 まずは事務と掛けあって「タダ働き状態」におかれているTA某君の 状況を調査。原因がわかったので、対処すべくいくつかメールを出しておく。 それから、来週の分の「C言語とUNIX演習」のプリントを準備したり 「代数学序論I」の講義ノートを作ったり。作業終了後、生協で 夕食をとり、研究室でひと息ついてから帰宅。
夜は少し数学。同じようなところをグルグルを考え直すも、 あまり進展はなし。
今年の学科長が妙に張り切っている。「高山先生がやってたように
やろうかと思いまして」みたいな事を言ってたが、私のようにやって脳
を歪めたいと思っているのか、私と違って神経がタフだからそうはなら
ないと思っているのか、それとも私が学科長やって脳が歪んだことを知
らないのか。真相は謎だが、彼が私の日誌を読んでないことだけは
確かなようである。
(まあ、普通読まないけどね)
(じゃあ、悪口でも書いてやろうかしらん。「今年の学科長のばーか!」
とかね。へへっ)
2010年4月19日(月)
<<こっそり出勤>>
かなり暖かくなった。もう桜は散ってほとんど葉桜になっている。
今日は会議も講義もないけれど、大丸ラクト山科店で
昼食用のパンを買って、昼ごろに大学に出勤。今学期は授業
や会議を1日3コマ詰め込んで火曜と水曜の2日間に「高密度実装」したため、
週2日の出勤で済み、それ以外は自宅なり京大なり路上なりで研究ができる。
とはいえ、週2日で研究以外の仕事が全部片付くかという
と、そうとばかりも言っておれず、今日は色々な雑用をするために
こっそり大学に出てきたというわけ。
まずは9月のドイツ行きのフライトを調べ出張申請書を書いて提出。 これで日本を発つのが予定より1週間ほど早くできる。しかしアイスランドの 火山噴火が長期化したら厄介だな。例えば、迂回路特需で財政破たんの 危機から抜け出そうとするギリシャまで飛行機で行って、それから電車 の旅?それにしても最近は航空券は予約したらすぐに買えと言ってくるし、 だからと言って様子見をしていたら、こないだのハノイみたいに2カ月前 でもほとんどチケットが売り切れてたりする。それで早目に航空券を買って、 後で火山の噴火でキャンセルや変更をするのも面倒そうだ。ルフトハンザ はそういう点ではあまり親切ではなさそうだし。
それから5月20日締め切りの報告書を、忘れないうちに一気に書 きあげてメールで提出。まあ、気になるものはさっさと片付けてしまうのが よろしい。次に生協に行って大学の予算で500GBのポータブル HDを購入。研究室のある建物と生協を往復しながら、大学って本当に 若者が多いんだねと、当たり前のような事実に少し感動する。
研究室に戻って、買ったばかりのHDで早速ポータブルのPCと研究室のPCの バックアップを取り、数学会年会費の振り込み用紙を探していつでも振り込め るように記入し、 さらに学外からの頼まれ仕事を少し進める。ついでに論文の査読に着手 しょうと思っていたが、既に夕方になっていたので今日はこれでおしまい。 これからも月曜日は大学や学外からの頼まれ仕事を片付ける日ということに して、週3日ぐらい出勤しようかしら。
夜は大学から持ち帰った資料を読む。ここんところ行き詰っている ある疑問を解くヒントになりそうなことが書いてありそうなので。 うーん、このヒントからどうやって解答にこぎつけようかしら。
2010年4月18日(日)
<<伊勢湾の鱶の餌にする>>
ようやく寒さも緩み始めた日曜日の今日、研究日のようなそうでないような。
午前中は例によって朝日新聞「オチビサン」と京都新聞の7つの間違い探しクイズと
クロスワードパズル。昼前にスーパーに買い出しに行き、15時頃には壊れた掃除機
の買い替えに山科区内の電化製品量販店へ。それ以外は自宅やラクト山科のベンチな
どで数学。
因子と線形系の理論は代数幾何学では基本的でかつ今もなお最先端の研究 対象でもあるが、ある論文で暗黙のうちに当たり前のように扱っている ある「事実」が本当かどうかわからないし、2、3の代表的な教科書を見て もその片鱗すら書かれていない。 もしかして、自分は教科書にわざわざ表だって書くまでもないような 基本的なことがまだ分かってないのかしら と思い、今日は学生時代に4回生のゼミで読んだテキストの関連部分を読み返すも、 既に知っていること以上の収穫はなし。学生時代にゼミで発表までした部分だけど、 当時は分かっていたとはとても言えず、担当教授の怒号が轟きわたっていたこと だけ覚えている。怒鳴られて分かるようなら、誰も苦労などしない。
それにしても、私はなぜオジサンが嫌いなんだろうと、昨夜から時々考えて いる。プライベートな部分では、若い時に「同じ釜の飯を食っ」て気心が知れて いるというようなことでもない限り、男同志いちゃいちゃして何が面白いのかと いうことがある。また、数学者という個人プレイ中心の職業柄、信頼関係を築き ながら共同作業をするということは少なく、気の抜けないライバル同士が「金の 切れ目が縁の切れ目」式に手を組んだり離れたりして、それの一体どこが面白い のかということもある。
しかしそれだけでは単に「大人になると友達がつくりにくい」という一般的 事実の反映にすぎず、そこからさらに「オジサン嫌い」の段階に進んだのに は、まだ何か原因がありそうである。ここ数年の間に「簀巻きにして伊勢湾に放 りこんで鱶の餌にするのが妥当」と判断されるオジサンのサンプルをいくつか 採取し、それが学科長で脳が歪んだ期間と重なったことも大きいが、それだけでも ないような気がする。
ところで、今日、高校の同窓会のゴルフコンペの案内メールが流れていたが、 呼びかけ人、参加予定者、「今回は欠席」を表明した者のリストを見たら、 みんな元ヤンキーかそのシンパだった。高校の同窓会を地元にへばりついて 生きる元ヤンキーたちが浸食する図というのは、私の母校に限らず、 超有名進学校でもない普通の高校について普遍的に見られる傾向ではないかしら。
最近JEUGIAに行って何かよさそうなCDを買おうとしても、なかなか気が乗 らない。その原因のひとつは、新しいPCにiPodのデータを移行する際、どうも うまいやり方がわからず、コピーしたデータを全部一回聴きな直す(または、 一曲ずつダブルクリックする)必要があるから。今日もCD4,5枚分の曲を 聴きなおした。しかし気分的にどうしても今は聴きたくない曲も沢山あって、 何故か以前は大好きだったクラリネットの曲は全然聴く気が起こらず、専ら ピアノ曲ばかり聴いている。
2010年4月17日(土)
<<会話の練習>>
ドイツ語寺子屋の日。午前中は予習や宿題に取り組み、昼過ぎに自宅を出て
関西日仏学館へ。そこのカフェで昼食の後、図書室で予習の駄目押しでもと
思ったのだが、猛烈な睡魔に襲われ、結局図書室の椅子にふ
んぞり帰って30分ほど居眠り。目が覚めたらもう寺子屋の時間。先週、
先生と二人で口説き落としたお試し見学者の人は気が変わることなく
ちゃんと来ていた。やれやれ、これでオジサンと二人きりという状況は避
けられた。
私は、職業生活の中でたまに必要に迫られて簡単に業務連絡を行う以外は、 普段は公私ともオジサンとはほとんど話をしない生活を送っている。 しかし、ざっくり言って世の中の4分の1はオジサンだから、オジサンを避け ていたのでは社会生活に適応するのが難しいのではないか、と。そこでわざわざ 授業料を払って寺子屋に通い、オジサンと会話する練習をしているようなもので ある。かくしてドイツ語でオジサンと話すことには慣れてきたけど、だからと言 って例えば21世紀以降に知り合った日本人のオジサンと日本語で会話ができる のかというと、いささか疑問である。そういえば関西日仏のクラスに居た自称 「10年後には死んでいる」オジサンとも、会話はおもにフランス語だったし。
ま、話したくなければ無理して話さなくてもいいんだけどね。
寺子屋の帰りはJEUGIA三条本店を偵察飛行。アンドレアス・シフの CDをいろいろ試聴。J.S.バッハの曲は若いころの録音は沢山あるが、 最近のものは「6つのパルティータ」ぐらいしかない。近頃は 専らベートーヴェンのソナタのCDをシリーズで出しているようである。 で、シフのベートーヴェンはどうかというと、うーん、どうだかなって感じ。 若い頃に録音した平均律クラヴィーア曲集第2巻がちょっといい感じで、、 第1巻も試聴してみようと思ったけれど店にはなく、それやこれやで 結局今日も何も買わずに帰る。
夜はスポーツクラブでへとへとになる。今日はモーレツあ太郎と 久しぶりに「球形オジサン」が来ていた。べつに体形が球形というわけではな く、マシンのところで長々と休憩ばかりしていつまでもマシンを占拠するので、 こう呼んでいる。腹筋台を思いっきり斜めに固定してまわる「妖怪がんぷ」 と同様に、私の中では妖怪系キャラに位置付けられている。マシンを占拠 するので「がんぷ」よりも有害だが、今日は私がそろそろ帰ろうと思ったときに 現れたので、被害はなし。
2010年4月16日(金)
<<霞がかかっている>>
研究日。今日も3月下旬の寒さで、雨がしとしと降っている。
午前中は京大の代数幾何学セミナーに参加。少し早目に着いたの
で、数学教室の掲示板を眺めていたら、京大で教えている学生時代
の友人が通りがかり、「こうやって見ると、(君は)外国人みたい
やね」と。
日本人に見えないっていうのは、よく言われるんだよね。 悪い気はしないけど。それよりも最近は透明人間モードが嵩じて、 本当に透明人間になってしまったんじゃないかと思うことがあるよ。 自分は座敷童だから、心の美しい人だけに見えればいいのさと 高をくくっていたけど、近頃はそれも自信がなくなってきたな。 でも君には僕の姿が見えるんだね。
そうこうしているうちにセミナーが始まる。まあ、何といい ましょうか、日本を代表する代数幾何学者たちが小さな教室に 鮨詰め状態になっている様子は壮観である。ここに今爆弾が 落ちたら、日本の代数幾何学は終わり、、、ってことはないか(?)。 傲岸不遜でもって鳴る私もちょっとビビってしまうが、まあ、 ちゃんと気配を殺して透明人間モードで潜入しているから 心配はいらないか。
セミナーの後、京大ルネで昼食。それから関西日仏学館 に行ってみたが、職員が足りないせいか、図書館が長い昼休み で閉鎖状態。1時間以上待つぐらいならと、京大数学教室の 図書館へ。そこで夕方まで午前中のセミナーの復習。 突っ突き回すと色々セミナー中には聞けない初等的な疑問点 などが出てくる。
京大の帰りにJEIGUA三条本店をすこし偵察飛行。やはり 気分は乗らず、今日も何も買わずに帰宅。夜もセミナーの 復習をすこしやって、それからドイツ語の予習をすこし。
ところで、若い頃は研究能力の不足は時間でカバーできると 思っていて、いかに安定的に一定以上の研究時間を確保するか、あるいは 確保できるようなポストに就けるかが最大の問題だった。 今でも「実力不足は時間でカバー」という考え方に変わりはないが、 実力以上に沢山の研究時間を与えられても、そうそう研究成果が出る ものではないことを経験的に知っている。やはり、自分の研究能力 に応じた程よい研究時間というものがあり、必要以上に沢山の 研究時間を与えられても、自分の力不足が顕在化するだけで、 それはそれで不幸である。
だから京大の友人にはたっぷり研究時間があるのかもしれないけど、 別に羨ましいとは思わない。今、Ritsの教師として確保できる研究時間 で私としては申し分はなく(これより減るのは嫌だが)、むしろ問題は 時間ではなく、霞がかかった私の脳味噌の方である。せっかくこれだけの 研究時間が与えられてるんだから、せめてこれぐらいの研究成果は出さな いと式の貧乏性が頭をもたげてきて、それで頑張ってしまうのは良いとして も、時に上滑ったりもする。