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よ け ス ペ ー ス で す。

2010年7月15日(木)
<<雷が落ちる>>
また、「あのシリーズ」の瞬間的復活である。今日の一枚はバロックの作曲家 フランソワ・クープランのクラヴサン(= チェンバロ)名曲集。演奏している のはオリヴィエ・ボーモンとかいう人。クープランと言えば、モーリス・ラヴェル の「クープランの墓 Le tonbeau de Couperin」って曲があったけど、 クープランのCDは1枚も持ってなかったなと思って、何となく 買ってしまった。 曲の題名がふるっていて、 「神秘的な障壁」「偉大にして古き吟遊詩人組合の年代記」「坊さんたちと尼さん たち、別名:どなたにも向く芝居」などと、いかにも私好みなフランス的 意味不明さに満ち溢れたものが並んでいるところも気に行ったし。

さて、本日研究日。午前中は自宅。気を引き締めてニュートン研究所の研究集会 の申し込みを書いて提出。こちらも色々段取りがあるから、駄目なら駄目で早く 返事してくれないかなあ。

午後は京大数理研図書室で。昼食は、やっぱり行きたくなる真っ黒スープの衝撃 ラーメン屋。今日は焼豚丼と小ラーメンのセット。何もかも醤油まみれ で真っ黒なこの店で、焼豚丼のご飯が白いのを見るとほっとする。 数理研の帰りに「トラちゃん」こと、数理研猫の住処を表敬訪問したが、 留守だった。

京大の帰りは河原町三条界隈で道草。今日は祇園祭の宵々山か何かで、 バスの中では浴衣の女性も目立った。その中にはヤンキーの子も居て、 キンキンに染めたの金髪を束ねてぞろりと垂らし、黒を基調にした浴衣に ピンクの巨大リボンみたいな帯、片方の肩をすこしはだけさして、 「流れ星のお銀、キターーッ!」みたいな感じでバスを降り、 歩道に降り立ってからはお約束の豹柄の傘をさして、 ぞろりぞろりと歩いて行った。

うーむ、いまいち中途半端やね。浴衣に金ラメをきらつかせて唐獅子牡丹 の柄でもあしらい、背中に三味線でもしょってみるなど、もう一工夫が欲しい ところ。でもそこまでやると何かのコスプレみたいで、一体何なのかよくわか らない、、、か。

今日は終日土砂降りになったり薄日が射したりといった変な天気。 京都市役所前でバスを降りた時には、雷が鳴り始めた。寺町通り のアーケードをJEUGIA三条本店に向かって歩いている途中、 ドカーンともパシーンともつかない大きな音がして、雷が落ちた。 前から歩いてきた浴衣の若い女性たちが、キャーっと叫び、 しばらくピーピー騒いでいた。私も、雷を落とすのは好きだが、 落とされるのは嫌いだから、ひえっと首をすくめたのだが、 前からやってきたオジサンが、騒いでいる女の子たちを横目で見て 「君ら、雷が怖いんか?へへっ」みたいな顔してニヤニヤ笑っていた。

それでJEUGIAに立ち寄って、上記のCDを購入。JEUGIA スタンプカードの期限は来年3月8日。まだドイツに居る間に期限が来 てしまう。日本に居る間に1000円割引サービスをゲットするには、 9月半ばまでに1万円分以上CDを買わないといけない。うーむ、 アルフレッド・ブレンデルの引退コンサートの2枚組は、日本で買おう かしら、とJEUGIAさんの思う壺にはまるか、、、。

夜もすこし数学。

2010年7月14日(水)
<<学会渡り鳥>>
土砂振りの水曜日。予定はしてなかったのだが、急に京都地方裁判所に 出頭する用が出来て、タクシーを飛ばす。用はすぐに済み、地下鉄と JRで大学に出勤。しかしその前に南草津で昼食。大学に着いて間もな く13時から14時半まで卒研ゼミ。今日は代数的集合の既約性と素 イデアルの関係について。

14時40分から16時10分までは、2回生配当「離散数学」の 講義。今日は準同形写像の応用として置換に対して符号が定まることの 証明、交代群の定義とそれが対称群の正規部分群であることの証明など。

講義の途中、気が変わって別のことを話そうとして、どうしょうかな? よし!行くか。待てよ、げっ、まずい!いや、大丈夫だ、行ってまえ! 構うもんか等等あらぬことを口走ってオタオタしている ときに、ふと教室を見回すと、あちこちで「おっ、また始まったな」 みたいな顔してニコニコしながらこっちを見ている学生と目が合った。 君たち、何なの?そのニコニコは。ま、いいけどさ。

「離散数学」の講義メモは既に最終回分まで作ってあるけれど、 実際に話してみて初めてわかることも色々ある。昨日と今日講義している うちに、方針を変えて作りなおすべきだと思えてきた。

講義の後は16時半から教室会議。会議が何時まで続いたか意識して なかったけど、割合早目に終わったと思う。研究室に戻って「離散数学」 の講義メモの改訂に着手。最終回の講義では、4次対称群をクラインの 4元群で割った剰余群の構造を詳しく計算する例をぶちかまし、剰余群 にリアリティーを感じてもらおうという趣向。その後、生協で夕食の 後、帰宅は22時頃。

帰宅後、ロンドンのニュートン研究所の研究集会のサイトにアクセスして、 参加申し込みをしようと思ったら、貴方の最近の研究活動の内容がこの研究集会 にどう関連するのか説明せよだの、研究集会のテーマに関連する貴方の論文を ベスト3まで挙げよだのと、色々うるさい。参加の可否を決める審査でも あるのかしら。さすがに貴方の業績をよく理解する人の推薦状を2通用意せよ、 みたいなことまでは書いてなかったが。それでMax-Plank研究所のことを思い出 してちょっと気が引けてしまい、申し込みは少し延期。 心を引き締めて、態勢を整えてから出直そうか、と。

まあ、私のように学会渡り鳥みたいな人間は、しがらみのない座敷童 稼業で気楽といえばそうだが、新規参入分野で「お前、年食ってる割には、 関連論文が少ないな」みたいな事を言われて爪弾きされる憂き目にあう。 「関連しない論文で良ければもっとたくさんありますけど」と言うと、 「じゃあ、そっちの分野に行けばいいじゃないか」とくる。同じように まだ研究業績が少ない、たとえばポスドクの学生と同じには扱ってくれない。 それがMax-Plankの例。

ニュートン研究所の集会も、「今回は大学院生かポスドクあたりの 新進研究者を対象にした連続講義が中心だから」みたいな理由で門前払いを 食らいそうな気がするな。俺だって、この分野じゃあ新進研究者だぞ! 年寄りを馬鹿にするな!と月に向かって吠えるしかなかったりして。

そういえば、(旧)情報学科から数理科学科に移ってきてからも、 10年近い間、「お前なんか数学者じゃねえじゃねーか」みたいな感じ でずっと冷や飯食わされてきたし、こういうのは結構慣れっこなんだけどね。 それでも、冷たくあしらわれると、そのたびに一応むかつく。

2010年7月13日(火)
<<日本語、わかる?>>
高密度実装の火曜日。10時過ぎに大学に出勤。講義の準備でも少しやろうか と思っていたが、頼まれ仕事に関する電話応対や、人生は舐めてかかるべきか 否かという深遠な哲学的問題(?)に関するメールの対応に追われる。10時 40分より4回生配当「計算機数学」の講義。今日はブーフバーガー・ アルゴリズムの最適化の鍵となるシチジーに関する定理の証明を無事終えて、 前回忘れていた授業アンケート。

正味40分の昼休みは研究室コソコソ昼食と、メールの対応など。またも ドイツでの携帯電話の件で、奇特な読者の方から力強いアドヴァイスが。 スカイプのプリペイドカードで携帯電話や家庭電話にかければよいでは ないか?と。スカイプの有料サービスはクリック詐欺みたいなものだと 信じていた私の目から鱗が落ちる。そうですね、その手もありましたね、と。 いやはや正直なところ、半世紀以上生きてきて、世の中の人々がこんなに 親切だったとは初めて知りましたよ。やっぱり長生きはするもんですなあ。

その熱い感動を胸に、13時から14時30分まで、経済学部、経営学部 2回生配当の「C言語とUNIX演習」の授業。今日は2人が課題レポートを 仕上げたので、それをチェックした以外は、特にすることもなし。学生を片目 で監視しながら、次の授業の準備をしたり、数学を考えたり、事務に電話をして 授業アンケートの提出先を問い合わせたり。

授業の後、「計算機数学」の授業アンケートを事務の指定した場所に提出し、 14時40分より2回生配当「代数学序論I」の講義。今日は正規部分群による 剰余群の定義。整数環の剰余環の例(加法群としてのみの扱い)、24時間制での 日常的な時間計算の例(これは以前文系の学生にやって反響が良かった)、 剰余群の演算の定義とwelldefinedness問題など。一通り説明を終えて、 「以上のようにして構成されたG/Hを剰余群と呼ぶ」と板書して締めくくる。

講義が終わったあと、ざわめく学生たちの中から「そもそも剰余群の言葉の 意味がわからん」という話し声が聞こえてきて、愕然とする。 「以上のようにして構成されたG/Hを剰余群と呼ぶ」と大きく板書されているのに、 何で「剰余群の言葉の意味がわからん」という疑問が出てくるのか。 これは数学の内容以前に、私の日本語が全然通じてないということではないか、と。 じゃあ、次回の最終回はドイツ語で講義しないといけないかしら。 さすがの私もドイツ語で代数の講義が できる自信はないし、フランス語なら尚更だ。どうしたものかと一瞬深く悩む。

さて、教室の中央に横一文字に陣取るお喋り女子学生たちは、私の目をく らますためか、今日は私の目の撹乱を図ってか、やや複雑なフォーメーションで 構え、さらには頭のてっぺんに立てる避雷針の調達が間に合わなかったのか、 最初の5分ぐらいを除いて著しく静かだった。避雷針ぐらい、クラス単位で生協に 注文しとけばいいのに。使い捨てタイプだったら、消費税込みで1本150円 ぐらいで売ってるよ、と(勿論、嘘ですが、何か)。

また、最終回が近づいているため、前期試験情報を探ろうと久しぶりに 教室に顔を出したような学生たちも多く、彼らの常として割合後ろの方の席 に集まっていたが、彼らも異様に静かだった。ふつうこういう学生たちは後ろ でザワザワしていて、「君たち!!試験情報はすでに公開済みだ。もう用は ないだろう。すみやかに教室から立ち去りたまえ!」と雷を落とされるもの なんだけど。

静かなのはいいんだけど、ちょっと静かすぎて気持ち悪い。何なの?この凍 りつくような静寂は?君たちねえ、雷落とすチャンスが全く訪れないヤル気 満々の雷様の気持ちって、わかる?わかんないよね。わかんなくてもいいよ、 俺だってわかんないんだし。

講義の後、あー、何だかわけがわからないけど、おもしろかったなーと 研究室に戻り、出張報告書を書いて事務に提出してから、さっさと帰宅。

夜はワインをたらふく飲んで、次回の「代数学序論I」の講義メモづくりなど。

2010年7月12日(月)
<<岩の如し>>
22時前に無事京都の自宅に帰還。今日はまず日大セミナー で講演を2つ聞き、13時半から皆で昼食に行こうという頃に 退散。そのまま東大駒場キャンパスへ。東大生協食堂で昼食を とり、隣のイタリアン・トマトに移動して、珈琲とチョコレート マフィンでひと息。そのまましばし2時間ほど数学。

16時40分から東大の代数幾何学セミナーに初潜入。まあ、 東大では面が割れてないはずだから、透明人間モードで 気楽にその辺を漂う。京大の代数幾何学セミナーだと毎回20名 ぐらいが集まり、偉い先生たちも沢山来ているが、今日の東大の セミナーは若い人が中心で14、5名ぐらいといった感じ。東大の 偉い先生たちは何かと多忙で、のんびりセミナーに顔なんか出して られないのかしら。

セミナーは18時過ぎに終了し、直ちに退散。渋谷経由で品川駅 に向かい、そこからのぞみに乗って京都に帰る。のぞみの中でも 愚図愚図と数学。去年しばらく考えて分からなかった問題は、 今考えてもやはり分からない。動かざるごと岩の如し。(溜息)

帰宅してメールをチェックすると、携帯電話関係で色々情報が 入ってきた。オスナブリュック大学ゲストハウスの事務からは、「ゲスト ハウスの部屋から国際電話がかけられるが、料金が高いので、アジア・ センターで安く売ってるプリペイド・カードの購入を勧める」と。 では、プリペイド・カードでどこから電話を掛けろというのか?厳寒の ドイツの冬(オスナブリュックは海洋性気候で、それほど寒くないそうだが) の寒空の下、鼻水を垂らして外の公衆電話を使えというのかしら。 うーん、よくわからん。スカイプ頼りの無線LANは、「ゲストハウスの 会議場では使えるが、宿泊用の各部屋まで電波が届くかどうかは不明」と。 で、いくら日本語とはいえ、皆が通るフロアでスカイプに向かって「あんなあ、 ここのドイツ人、どアホばっかしやで!」みたいなこと言っててよいのかしら。

次はドイツテレコム日本支社。プリペイドでない普通の回線契約携帯電話 が日本で契約できるそうだが、、SIMカードを発行するのでSIMロックの 掛かっていない電話が必要だとか。私のドコモの携帯電話は、SIMロックが 外せるのかしら?一度ドコモショップに行ってみないと。それから、ドイツだ けでなく、他の国に出かけても国際ローミング機能により電話を掛けられるが 電話料金は第一群の国ならこうで第二群の国ならああで、云々かんぬん チンプンカンプン。うーん、ま、また明日考えよう。

最後はこの日誌を読んでいるという某奇特な私人の方からのメール。現地の 電機屋でヨーロッパの何処でも使えるプリペイドの安い携帯電話が簡単に買える が、通話料金が高い、と。なるほど、そういう手もあったか。ご親切にご教示いた だき、ありがとうございます。

うーん、いろいろ方法があるようだけど、どうしたもんだろうか。実は心の 底では、現地のドイツテレコムで回線契約つきの携帯電話を買って、また酷い目 に合って、窓口に怒鳴りこんで下手なドイツ語でわめき散らしてみたいという 秘かが願望が渦巻いているのだ(日誌のネタにもなるしね)。 これって、マゾ?それともサド?

あとは、同僚某先生が「私、人生をナメてますけど、何か?」という ようなメールを送ってきたので、「いえ、べつに」と答えておく。

2010年7月11日(日)
<<中国語のアナウンス>>
午前中はオチビサンと7つの間違い探しと時事クロスワードパズル、野暮用 と選挙の投票など。7つの間違い探しは最後の1つがみつからず、後ろ髪を 惹かれる思いで東京出張に出る。東京駅はいつの間にか中国語のアナウンス が流れるようになっていた。中国人観光客のヴィザが緩くなったことに合わ せた措置なのだろう。新宿はずいぶん前から既に中国の1都市みたいになっ ていて、私が定宿にしている新宿ワシントンホテルは以前から中国人の宿泊 客で一杯である。だから、まあ、東京駅がこうなるのも、自然な流れかな、 と。ホテルに着いてからは、少しだけ数学をやって、あとはテレビで選挙の 開票速報をみたりしてすごす。

Ritsにも中国人留学生がかなり居るが、工学部や経営学部ばかりで数理科学科 にはほとんど居ない。私は(旧)情報学科に居たし、数理科学科に移ってからも留学生 用の科目を担当したりしてたので、割合頻繁に中国人留学生に接してきたが、彼らは やはり日本人とは考えることも気持ちの持ち方もかなり違う。そういえば、2004年にドイツに滞在した時は、中国人留学生の若いカップルにずいぶん世話になった。

私の友人で中国が大好きな奴に聞いたら、中国人の「今が良ければあとは どうでも良い」みたいな気質が自分の性分に合っていると言っていた。まあ、そういう現実主義的なこともあるし、大学の決まりで取得単位がいくら以上でないと 卒業研究は受講できないのだと何度説明しても、そこを何とかならないかと1時間 ぐらい同じ主張を繰り返して粘る、みたいなことは、さすが中国人だなと思ったりも する。

概して彼らは言うことがはっきりしているところが私と同じで、個人的には 好きだけど、こういう人たちが束になってかかってきたら、やはりかなわんだろうな と思う。

2010年7月10日(土)
<<年老いた猫>>
午前中は酔っ払いが出してきた与太メールに、真面目に返事を書いたり しているうちに終わる。ま、これも仕事だから仕方あるまい。

それから夕方頃まで自宅にて愚図愚図と数学をしたり、海外で使える 携帯電話を調べたり。今日は5千円ぐらいの電話機を買えば、世界中どこで もそのまま使えて通話料金だけ払えばよいというのを見つけた。色々な国に 頻繁に出かける人ならいいかもしれないが、ドイツから日本への国際通話が 1分間380円ってのはどうよ?私のドコモの携帯電話は海外対応ができな いのだが、対応できる機種だと通話料金は半分以下のようだ。でも機種を変 えれば何万円とかかるし、悩ましい。

夕方から京都駅前のビッグカメラでデジタルカメラを購入。今持っている カメラは10年ほど前に買ったものだが、年老いた猫のように、気が向いた 時でないと動かないし、電池を入れ替えてもすぐに「電池切れ」を起こす といった具合なので、そろそろ暇をやろうか、と。

それにしても、京都駅前ビッグカメラというのは、常時Ritsの先生が ウロウロしているらしく、行けば必ず誰か知ってる先生に会う。今日もカメラ 売り場で情報理工の先生がウロウロしていた。あと、いつぞやの「さんまの恋 のから騒ぎ」にゲストとして出演していた若手二枚目俳優も、何食わぬ顔して うろついていた。

その後、京都駅ビルで適当に夕食をとり、アバンティ・ブックセンター で閉店の21時頃までぶらぶらしてすごす。帰宅後もネットで海外用携帯電話 のことを少し調べる。

明日から東京出張。帰宅は月曜の夜遅く。明日もおそらくいつも通りに更新 する予定。

2010年7月9日(金)
<<墨染にゆく>>
午前中は、またもドイツ高跳び準備に関連してドイツテレコムの携帯電話を調査。 プリペイド携帯電話が良さそうだが、国際電話がかけられるかどうかよくわからない。 回線契約すると、また10年前のように酷い目に会うかもしれないし、色々な回線に 対応するタイプは何だか値段が張る。Webの説明を読んでもどうもはっきりしない。 まあ、現地に行ってから窓口で聞いてみることにするか。 10年前、あれほど酷い目に遭ったドイツテレコムだが、6年前は それほどでもなかったし、それにスカイプだけに頼るのも心配だし。

そもそも私は計算機メーカに居たこともあって、計算機も計算機技術者も全然 信用してないし、(旧)情報学科に居たこともあって、計算機科学者の少なく見積もっても半分は碌でもない連中だと信じている。そしてそもそも計算機というものは、 肝心な時には必ず壊れたり、隣の家のエアコンが動いた等のわけのわからない 理由で無線LANが繋がらなくなったり、OSのヴァージョンアップにフリーソフト のヴァージョンアップがついていけない等の馬鹿げた理由でうまく動かなかったり、 頻繁にソフトのヴァージョンアップをするたびに動作が悪くなって、使い物に ならない計算機に少しずつ近づくようにはじめから設計されているのだ。

だからと言ってドイツテレコムがより信用できるかというと、連中に限って そんなことがあろう訳がなく、したがって信頼できないものをいくつ集めても 気休め程度にしか信頼性は向上しない。しかし、まあ、人生とはそういうものだと 強引に納得するしかあるまい。そう。人生とは計算機や計算機技術者のように気 まぐれで、多くの計算機科学者のように愚かしく、そしてドイツテレコムの ように煮ても焼いても食えないものだ、と。

昼食の後、すぐに自宅を出て、墨染の京都教育大学付属高校へ。先日の奈良 にひきつづき、今日は京都の高校の先生たちを前に入試問題に関する講演を行う。 奈良は1時間講演だったが京都は30分。しかし先日の奈良とほぼ同じようなこと を話した。それにしても、高校の数学の先生というのは、数十名の集まりを 目の当たりにするとよくわかるが、独特の雰囲気があるものだ。 私の高校生の頃の数学の先生たちってこんな感じだったかなと思うが、数学者とは ずいぶん違ったオーラがある。大雑把に言って、数学教師と数学者の違いは 数学研究をするかしないかの違いだが、それはその人の生きる精神世界の違いでも あり、その人の持つ雰囲気に少なからぬ影響を与えているのだろう。

この仕事は15時前には終了し、長居は無用とさっさと退散。京阪電車と京都 地下鉄を乗りついで河原町三条に戻り、上島珈琲でケーキとコーヒーで一休みし てから、数学。昨日さんざん悪口を書いた上島珈琲だが、坪庭沿いのソファー席を 避ければ何とかなるだろう、と。

今日の上島珈琲では6人掛け大テーブルに座ってみたが、相席者が1名程度しか おらず、割合快適だった。しばらくして70代ぐらいの女性数名のグループが 隣の大テーブルにやってきて、「私の夫は癌になったのよ」「私の夫も癌だわよ」 「ところで私は動脈瘤で足がウエストぐらいに腫れて大騒ぎしたことがあったわよ」 みたいな話で盛り上がっていた。昨日の冴えない話題の独身アラフォー女性と 既婚アラセブ(around seventy)世代の精神世界の違いをまざまざと見る思いがした。

昨夜から考えていた小さな問題が解けたので、TeXノートに纏める。ひとぐぎ りついたので店を出て、JEUGIA三条本店とAngers河原町三条 本店を少し偵察。地下鉄で山科の戻り、大丸ラクト山科店で安いワインを2本 買って帰宅。夜もすこしだけ数学。

2010年7月8日(木)
<<冴えない話題>>
研究日。しかし午前中はドイツ高跳び準備に関連した野暮用を色々。

午後は久しぶりに街に出て、河原町三条の丸亀製麺で遅めの昼食の後、 例によって寺町通りの上島珈琲に籠って数学。まあ、そろそろここも 飽きてきたし、別の場所を開拓しないといけないかしら、と思い始める。

坪庭を眺める通路際のソファー席は人気だけど、隣の客の話声がよく響 いて、延々とお喋りをしている二人連れの客などがいると、さすがに耳触り になってくる。それを思えば、ザワザワとした音に個別の話し声がかき消 される広い所の席の方が良いのだが、そこは座席の間が極端に狭くしてあり、 隣の人の気配の邪魔されずに仕事ができる場所は1つしかない。 そしてそこは、やはり私と同じようなことを考えている人が 長時間占拠していることが多い。

今日は通路際のソファー席が空いていたが、隣は40代の独身女性 二人組が延々とお喋りをしていた。 派遣会社に登録しているが、なかなか気にいった仕事が見つからないことや、 希望する仕事の内容と現実のギャップ、 家計の困窮、 将来の漠然とした不安、 結婚に対する夢と諦め、 女ばかりの職場でのいざこざ、 上から目線がどうのこうの、 お気に入りのジャニーズ系芸能人の話など。 うーむ、典型的に冴えない話題のテンコ盛りだな。 大学では冴えない話ばかりが飛び交っているので、 それを忘れるために街を漂っているようなところがあるのだが、これでは たまらん。 少し集中して考えたい問題にさしかかったので、 無限に話し続ける彼女たちを尻目に店を出て、歩きながら考えることにした。

それからJEUGIA三条本店とAngers河原町三条本店をちょっと だけ偵察してから帰宅。夜も少し数学。

2010年7月7日(水)
<<悪魔シューズ>>
七夕である。私は星に何を願おうかしら。研究の進展? 無事にドイツ脱出を果たせること?それとも歪んだ脳が治ること?

昼前に自宅を出て、ラクト山科で昼食用のパンを買って大学へ。 南草津駅で悪魔シューズを履いているオジサンを見掛けた。あの、 つま先が悪魔の靴のように長く尖っている靴が若い男の間で流行って いるが、40代ぐらいのオジサンが履いているのは初めて見た。

正午ごろに大学に着き、バスを降りてそのまま生協書籍部に向かい、 「地球の歩き方」のドイツ編とヨーロッパ編を購入。それから 研究室でこそこそ昼食と若干の事務的雑用の後、13時から14時半まで 卒研ゼミ。

今日はゼミ生の一人が就職試験のために欠席。残る2名でようやく ヒルベルトの基底定理の証明が終わる。彼らはもう単位を十分 取ってしまっていて、前期試験もほとんど受けなくて良いそうだ。 ふーん、ずいぶん余裕かましてるね、と。

ひきつづき14時40分から16時10分まで、2回生配当「離散数学」 の講義。昨日の「代数学序論I」と内容も密接に関連していることもあって、 かなり受講生が重なっているはずだが、教室全体をざっと見回すと、 やはり学生の並び方が微妙に違う。例えば、向かって左中ほどから私を睨 みつけている男子学生は昨日の授業には出てないような気がするし、昨日の 授業に比べて就職活動のためのスーツを着た学生がちらほら目立つし、教室 の中ほどに横一列に並ぶお喋り女子学生の塊はみられない。この「横一列の塊」 については、お喋り主犯格がこの授業に出ていないのか、それとも私の目を くらますために、フォーメーションを変えてきたのか。後者だと面白いんだ けど、世の中いつも面白い方向に物事が進むとは限らないし、前者かもしれない。

今日は最初に定期試験の範囲について説明する。それから授業に入り、 正規化群の話の続きをやってから、4次対称群の位数12の部分 群、すなわち4次交代群の話に入る。さらに置換の符号を定義するための 写像を定義したところで終わる。来週以降はこの写像が準同型であり、 したがって符号が定義できることを示し、クラインの4元群が4次対称群 の正規部分群であること、4次以下の対称群が可解であること、そして最後は 5次以上の対象群が非可解であることの証明のアイディアを具体例で示して この講座を締めくくる予定。

講義のあと研究室に戻り、事務的な雑用を片付け、16時半過ぎから 18時頃まで学科会議。野望と戦略キャラが定着してしまっている某先生が、 年配の先生から「貴方が自分から何かやると言い出した時は、必ず何たくらん でいる」と言われていた。私は例によって議事を聞き流しながら内職。 今日はネットで後期に出張計画をたてる。今年度は科研費が潤沢なので、 ドイツのオスナブリュックを拠点にヨーロッパのあちこちの研究集会を 荒らして回ろうか、と。まあ、「地球の歩き方ヨーロッパ版」を 買ったのも、そのため。

会議の後、「離散数学」の最後2回分の講義メモを作り、生協食堂 で夕食の後、図書館で宮沢賢治の本を返却してから大学を発つ。 帰宅は22時頃。夜は少しだけ数学。

2010年7月6日(火)
<<睨みをきかす>>
高密度集積の火曜日。10時前に出勤。メールのチェックなどをしてから、 10時40分から12時10分まで、4回生配当「計算機数学」。今日は シチジー法によるブーフバーガ・アルゴリズム効率化のアイディアを少し詳しく 解説し、基本となるシチジーの定理を示し証明を半分ぐらい終える。 そういえば授業アンケートを取るはずだったのだが、忘れた。

正味40分の昼休みの後、13時から14時半まで、経済学部、経営学部 2回生配当の「C言語とUNIX演習」。受講生3名。うち2人は今日の授業 が終わった段階でそれぞれ課題4と5に進んだ。最後の一人は今日から課題6 に取り組んでいるが、この課題には筋肉番付のサスケの最終ステージよろしく、 アルゴリズムの超難問が忍ばせてあるので、なかなか終わらないだろうと思う。 ふっふっふ。

引き続き14時40分から16時10分まで、2回生配当の「代数学序論I」の 講義。今日はラグランジュの公式の証明を終え、正規部分群の話に入る。 正規でないため左剰余分解と右剰余分解が異なる具体例、正規になる場合の例 などを挙げ、剰余群の概念に入り掛けたところで終了し、最後の15分で授業 アンケートをとる。

この講座でお喋りな男の子たちが集まる、向かって左奥の鉄ビシ・画鋲専用シート のあたりが静かになったと思ったら、別に画鋲も鉄ビシもまいてないのに、 ほとんど空席になっていた。あのお喋りな男の子たちは何処へ行ったのかしら。

その代わり、最近は教室のほぼ中央あたりに横一列に座っている女子学生たち が頻繁に不穏な動きを見せるので、講義をしながら時折監視している。今日も彼女 たちがようやく静かになったと思っていたところ、彼女たちの一派と思われる一人 の女子学生が遅れてやってきて、後ろを向いて仲間たちと嬉しそうにお喋りしていた。

私は監視を続け、そろそろ雷でも落としてやろうかしらと思っていたら、後ろの 学生が「ちょっと、ちょっと。先生がこっち見てるよ」みたいな合図を送り、後ろ を向いてお喋りしていた学生も、え?それはまずい!というような顔 をして静かになった。ふっ、、、ふっふっふふふふふふふぁふぁふぁ ウワッハハハハハハハハー!やーっ、愉快愉快。高山大先生の睨みがきいてますねえ。

それにしても彼女たちは抜け目ないというか、明らかに私の顔色をうかがって いて、私の雷が落ちそうになる直前にすっと静かになる。しかしこういうことが 繰り返されているうちに、私のレスポンスは少しずつ速くなってゆき、最後には 彼女たちが寸止めの積りで静かになる直前に雷が落ちることだろう。ふっふっふ、 せいぜい頭のてっぺんに避雷針でも立てておくんだな。あるいは、そうなる前に 前期の授業が終わってしまうかも知れないけどさ。

講義の後、研究室に戻ってひと息ついた後、大学を発つ。夜は来週や8月の 出張計画を立てたり、航空便やホテルの空きをチェックしたり、ホテルの予約を したりで、結局数学はほんの少しだけ。

2010年7月5日(月)
<<「4、5日休みます」>>
午前中に支度をして自宅を出て、11時過ぎに京都駅から近鉄の急行列車に 乗り、西大寺で乗り換えて笠縫駅で下車。13時から奈良県立教育研究所 で開かれる、大学入試に関する奈良県の各高校の数学主任クラスの先生方との 懇談会に Rits代表として出席して1時間ぐらい話をすべく日帰り出張。 まあ、14時には解放されて15時過ぎには京都に戻り、研究日として その辺で数学ができるだろう、と。

では、何で私がRitsの代表なのか。別に私が特に暇そうな顔をしてたわけ でもないけど、外回り営業的な仕事が大嫌いな数学者たちの中で、私ひとりが 「きついノルマで締めあげられて、飛び込みセールスしてこい!みたいな話 でもないし、そんなに気にせんでもええやん!?」というような事を言ってたので、 「じゃあ、お前行ってこい!」みたいな話になったのである。私も大学を出た ばかりの頃は、外回り営業的な仕事が死ぬほど嫌いで、就職活動をする際も営業 に回される可能性が低い会社や公務員や公立学校の教職ばかりを狙ったぐらいだから、 同僚数学者の皆さんの気分もわからないでもない。

笠縫駅に早目に着いたので、冷房がきいた駅の待合室で京都駅で買ったパン で簡単に昼食。14時には解放されるから、それからちゃんとした昼食をと ろうか、と。駅を出て、まだ時間に少しだけ余裕があったので、 初めての笠縫駅近辺の偵察飛行を敢行。駅前はしもた屋が多くしんと静まった 感じ。まず最初にみつけた小さな洋品店はシャッターが閉まっており、手書きの 張り紙に「4、5日休みます」とだけ書かれていた。何なの?これは、一体! では4日休むのか? それとも5日休むのか?そもそも何年何月何日から数えて4,5日なのか? 何も書かれていないし、てんで訳がわからない!!

訳のわからないものを見つけると、嬉しくなる。 これはいよいよ面白くなってきたぞ!とわくわくしながら先に進むと、 そのうち「天然鳴門鯛焼」と巨大看板を掲げた店が見えてきた。潮の流れが強い 鳴門海峡の鯛は、身が引き締まってコリコリと美味しいということを、徳島出張 を通じて前から知ってはいた。その鳴門の鯛の塩焼きが、こんな所でじゃんじゃん 売れたりするわけ?と思ったが、どうやら鯛焼屋らしい。うーん、ますます訳が わかない。さては天然の鳴門鯛のすり身でも入ってるのかしら?店は私が歩いていた 幹線道路の反対側にあって、車が多くて向こうに渡って確かめるのも大儀だし、 詳細はよくわからない。まあ、今は先を少し急ぐから帰りにでも確かめよう、と。

それからどんどん先に進むと、オッサンが3人、ブランド物っぽい派手な柄の 巨大雨傘を日傘代わりしてさして、三列横隊でこちらに向かって歩いてきた。 まあ最近は紫外線対策ということで男でも日傘をさすし、私も520円だか580円 だかの女モノの中古日傘を愛用している。しかし雨傘三人衆のオッサン三列横隊という のは、実際その現場で見るとちょっと異様な光景ではある。うーむ、この宮沢賢治的 というか、イーハトヴ的な夏の昼下がりぶりは何なんでしょう?

奈良県立教育研究所に着いてから聞かされたスケジュールは、連絡を 受けていたものとは全然違っていた。13時に来いと言われて行ったものの、 担当者らしき人はまだ来ておらず、講師控え室で半時間ぐらい待つことに。 懇談会の内容も事前に何も知らされていなかったので、特に準備もしていかな かったのだが、13時半頃に現れた担当者という人は「14時から1時間ぐらい 講演をしてくれ」という。10年前の私ならこの段階でブチ切れて、口から火を噴いて 椅子を蹴飛ばしてそのまま帰ってしまっただろう。しかし折角「4、5日休みます」 だの、天然鳴門鯛焼だの、雨傘三人衆三列横隊だので気分がグングン盛り上がって きたところだし、もっと面白いことがあるかも知れない。 ここはとことん首を突っ込んでやろうと思って、受けてたつ。

この担当者以外にも入れ替わり立ち替わり、色々な先生たちが入ってきて、 一体だれがどういう役回りでどういう按配になっているのか、そもそも私は 誰と打ち合わせをすればよいのか、訳がわからない。まあ、とにかく彼らと 適当に色々な話をしながら講演内容の方向をざっくりと決め、14時から ぶっつけ本番。

実は私は小学生の頃から人前で話すのが大好きで、アドリブで 喋りまくってコマを埋めるのも得意なのである。ただし、そこで聴衆に 退屈そうな顔をされると、口から火を噴き始めたりするのだが。。。 まあ、主任クラスの先生のくせに生徒の真似して(?)爆睡している オジサン先生もひとり 居たけれど、概して皆さん熱心に聞いてくださり、 ご要望通り1時間ぐらい講演して、質疑応答も含めて1時間10分ぐらいを何 とか乗りきった。準備不足で締まりのない話だったかもしれないけど、 こちらも正確なスケジュールも懇談会の内容も何も知らされてなかったわけ だし、悪く思わんでいただきたいところ。

結局、教育研究所を出た時には15時半を過ぎていた。担当の先生に 急行が止まる田原本駅まで車で送ってもらったのだが、その時に 「天然鳴門鯛焼」は純前たる鯛焼屋であって魚の鯛とは関係なく、 またこの店はチェーン店で笠縫オリジナルではないことを教えてもらった。 京都に戻ったのは夕方。最初思っていたのとは違って半日仕事になってしまった けど、現場の高校の先生方とも色々意見交換ができたし、なかなか有意義 だったと思う。「4,5日休みます」も感動的だったしね。

2010年7月4日(日)
<<どうでもよくなる>>
午前中は朝日新聞「オチビサン」と京都新聞「7つの間違い探し」 「時事クロスワードパズル」、そして野暮用を済ませてから、少し数学。 明け方布団の中で夢現で考えて分かったことを纏める。 それから近所のスーパーに買い物に出て、自宅に戻ってまたしばし野暮用。

夕方は、最近さぼり気味だったスポーツクラブへ。日曜日の午後は混んでいる から、あまり行かないようにしているのだが、先週も行かなかったから、 そんなことも言ってられない。曜日が変わるとあまり知った顔がいないが、 私がいつも行く土曜日の晩に比べて、父親に連れられた子供や老人がやや多 いような気がする。

夜は久しぶりにビールを飲み、ついでにワインも。少し飲みすぎたことも あって、これまた久しぶりにテレビを見たりして、少しゆっくりする。今朝は 明け方に目が覚めてあまり寝てないので、数学をする気力が湧かず、かと言って 図書館で借りてきた分厚い宮沢賢治全集は面白くないので読む気も起らず。結局 のところ、少しだけ数学。

それにしても、もうすぐ前期開講期間が終わり、夏休みを経て上手くいけ ば(?)そのままドイツ高跳びで、来年度が始まるまで皆さんサヨウナラである。 こうなると大学内のあれやこれやはどうでも良くなってくる。まあ、仕事の 手を抜くわけではないけど、「じゃ、面倒なことはここに残る皆さんで考え てください」って感じ。自分も半年もすれば戻ってくることは頭ではわかっていて も、気分は半分上の空である。

そういえば、会社員をやめて大学に移る数か月前にもこんな気分になって、 あんなに毎日重苦しい気分で通っていた会社が、軽やかな幸福感に包まれた世界 のように思えたものだ。そして、「間もなくここを去って、自分はもっと幸福な 生活を送るのだ」と能天気に思っていた。

今回もそれに近い感じ。定年退職するときや、この世を去る時も、こんな 気分になれるといいねって、私も意外とオメデタイ性格である。

2010年7月3(土)
<<独仏合併>>
「注文の多い料理店」について私の小学校時代の推測は、当たら ずしも遠からずだったと判明した。でも、まあ、長年の疑念が 晴れたわけだし、読んで良かったと思う。 宮沢賢治というのは、意味のよくわからない物語を沢山書いていた ようだが、20年以上昔に「銀河鉄道の夜」のアニメ映画を見て、 そのわけのわからなさに無闇に感動した覚えがある。しかし原作は 読んだ覚えがない。

本日ドイツ語寺子屋最終日。午前中は自宅で愚図愚図して、 土砂降りの雨の中、昼頃に自宅を出る。昼食はやはり例の真っ黒 スープの衝撃ラーメン屋に行ってしまい、醤油味一色のスタミナ丼定食 (真っ黒スープの小ラーメン付き)を注文。薄味好みの私としては、 この塩辛さが苦痛である。何というか、醤油味直球勝負!みたいな感じで、 もうちょっと味の広がりというものはないのだろうか、と。 しかし店を出て数時間もすると、また行きたくなっている自分がいる。 それはもしかしてマゾの私?それとも食い意地の張った いつもの私?ああ、自分というものが分からなくなるラーメン屋だ。 まあ、また行ってしまうことだろう。

それからは京大ルネ食堂の片隅で、珈琲を飲みながらドイツ語の 予習など。もう、土曜の午後にフランス語で話しかけられてパニックに なるのは耐えられない!と、喫茶進々堂にも関西日仏学館にも立ち寄らず。

寺子屋最終回はつつがなく終了。他の2人の受講生、 つまり家具職人と某大学学生と歩いて帰り、家具職人の人って 皆さん腕が太いですねえ、みたいなアホみたいな会話しながら、 途中まで一緒に帰り、川端通に出たところでまたの再会と今後の 健闘を祈り会って南北に分かれ、南向かった私はいつものようにゲーテに 潜入。

ゲーテ内部でいつものように極秘内偵をしていると、なんと!?今年の 10月からゲーテの語学の授業は関西日仏学館で行われる、という掲示を発見! それって、10月からRitsの授業は同志社でやります!みたいな 話か?何だかよくわからんけど、あそこでドイツ語とフランス語がちゃんぽんで 飛び交うのかよ!?うーっ、うーっ、勘弁してくれぇ。

しかし、まあ、経営者の立場からすれば、ドイツ語よりもフランス語の方が まだ少し景気が良いし、語学好きな人が集まっている関西日仏学館だと、 「ついでにドイツ語も勉強してみようかしら」と思う人やその逆もあって、 相乗効果が期待できるかも。

それから河原町三条界隈での偵察飛行は中止して、まっすぐ帰宅。 夜は少し数学。

2010年7月2(金)
<<8分間の会議>>
研究日(のはず)。午前中は京大代数幾何学セミナーを さぼって自宅でTeXノートの纏め作業。一区切り ついたところで、ふと、とても根本的な疑問が起こる。 午後は山科駅前に繰り出し、ラクト山科近辺をうろつきながら何 となく考え続ける。

遅めの昼食のために入ったスパゲティー屋では、年齢はよくわからないが たぶんアラフォーの黒人の男と、同じくアラフォーの日本人の女がいて、 珈琲だけ注文して、長々と話していた。この近所に英会話学校があるので、 どうも英会話の個人レッスンらしい。個人レッスンは山科駅前Sbuxが よく使われたが、最近は常時満員御礼状態なので、こちらに流れてきた のだろう。

彼らは、サッカーの試合は見たかとか、アメリカではサッカーよりアメフト だとか、アメフトの防具の重さはすぐに慣れるが、アメフトは危険なスポーツだし、 冬の練習の時は雪でぐちゃぐちゃになって悲惨だとか、 昔ボーイフレンドとテニスに行った時にどうしたとか、 息子が合気道を習っていてこうしたとか、 これまた先日の上島珈琲のアラフォー主婦と50代自営建築家の ような、親密な雰囲気である。

ただ男の方は教師の立場のせいか始終冷静な感じで落ち着いて話し、 時々女の英語の言い間違いを正したりもしていた。女の方は、 「私の生徒にいつも聞かれるのだけど」と、男に英語の表現法についての 質問をしていたから、学校関係者か。中学高校の教師 がこんな時間帯にこんな所に居るわけないから、何なんだろう?まあ、 そんなことはどうでもいいやと、ちょうど 昼食も終わったところだったので、店を出た。

さて、この事例から何を学べば良いのか。やはり、会話においては自分のことも 適宜話して話題を繋げないと駄目だし、話す速度も適切でなければならない、と。 私のことなど誰も興味を持たないはずだという思い込みが強く、 自分のことを話す時は、相手が退屈し始める前に「話し抜け」ようと、 かなり早口になる私は、やっぱり自己評価が低めなのだろう。他人の話を よく聞いて時々茶々を入れたりもするが、自分のことは話さないというのは、 まさに人生そのものが座敷童ということではないだろうか。 生涯一座敷童、日々是偵察飛行也。これもまた一本筋の通った人生かも 知れないけどね。そんでもって、こういう所でこっそり(?) 「王様の耳はロバの耳!」みたいなことを書いてるってわけだ。

山科書店ラクト山科店を徘徊中に、宮沢賢治の「注文の多い料理店」が 目にとまった。この童話は一度も読んだことがない。小学生の頃にこの題名を 目にして、その店で料理を食べようとすると、「この料理はこういう風に 食べてください」とか「この料理を食べるのは、まずこれをやってからにしてく ださい」とか「食事中はかくかくしかじかの行為は慎んでください」とか、 客に色々注文をつけてばかりいる面倒臭い店のことだろうと思い、 そんな自意識過剰な勘違い料理人の店など糞食らえだ!と子供心に義憤を感じた ものである。それがこの童話を読まなかった理由だが、子供の頃のこの推測は 正しいのだろうか?何だか間違ってるような気がするな、と。 それを確かめるべく、一度読んでみたくなった。

ちょうど大学に行く用事があったので、図書館で借りることにしようと、 16時過ぎに出勤。図書館に直行。ついでに、自宅にも置いてきてしまって、 ラクト山科放浪中にちょっと見たくなった専門書も捜したが、2冊とも借りら れていた。困ったなと思ったが、しばし再考の末、やっぱり見なくて よいことに気付き、宮沢賢治の本だけ借りて図書室を出る。

大学での用事とは、17時から17時8分までの全く形式的な会議である。 ぬあにい?わざわざ山科くんだりから電車とバスを乗り継いで出てきたのに、 たった8分で終わるのかよ!?という私の殺気を感じたのか、司会の学科長は 「いやあ、30分ぐらいかかると思ってたんですけどねー」とか照れながら 17時10分まで引き延ばしてくれた。さらにその会議とは別件で、 例の偉い数学者や物理学者の子弟問題でごちゃごちゃ面倒な議論が始まって、 結局17時20分頃に会議は終了。ただちに大学を発つ。

帰りのバスで朝の疑問の答がわかり、夜はTeXノートに纏める。

2010年7月1(木)
<<内気な私>>
研究日。数日前から、以前考えていてにっちもさっちもいかず放置した問題を 再び考え始めている。別に新しいアイディアがあるわけでもなく、まあ、 現場百回と言うからもう一度虚心坦懐に見直してみようか、と。今日は 手書きメモをチェックしながらTeXで整理。午前中と夜は自宅で、そして 午後は京大数理研図書室で。

昼食はまた、真っ黒スープの衝撃ラーメン屋に吸い寄せられるように入って しまった。ああ、先週の醤油味一色の炒飯定食で「もうここに来るのはやめよう」 と半分ぐらい思ってたのに。やぱり「半分ぐらい」と腰がひけているから駄目 だったのか。確かに醤油の香ばしさと焼き豚の風味の取り合わせには惹かれるもの があるし。今日は焼豚丼と真っ黒スープ小ラーメンの定食。うーむ、 また来週ぐらいにも一度行ってしまいそう。

数理研の帰りはJEUGIA三条本店の偵察。なんと!今日は ヒラリー・ハーンのCDが掛かっていた。だけど、やっぱりオーケストラ との共演ってところが気にいらない。何と申しましょうか、取り巻き連中が 邪魔で、二人だけでゆっくりお話ができないではないか!みたいな感じ。 こういうヒーロやヒロイン(?)のいる協奏曲の場合もそうだけど、 交響曲もやっぱ り「うじゃうじゃ人が一杯いて口々に色々な事を言うので、一体誰と話す ればいいのかわからん!」みたいな理由であまり好きではない。 お前ら、大勢でかかってきたりして、卑怯だぞ。一対一で勝負しろよ!と。

そういえば数理研の事務室の掲示板に某フィールズ賞受賞者の新聞記事が 出ていて、趣味は「そば打ちと餃子の皮つくり」だと書かれていた。 まあ、あまり他人の趣味をけなす積りはないけど、 餃子の皮つくりはよしとして、そば打ちとは何とヤキが回った団塊オヤジの セカンドライフ的趣味なんでしょう!?と思わずのけぞった。 「まだそんなトシではないだろう!」と、機会があったら どやしつけてやりたい気もする。でも、一度も話したことのない人と、 どうやって「機会」をつくればいいん だろう?と内気な私は悩むのであった。