す。

2013年5月31日(金)
<<閃き失敗と古本入手>>
夕べ閃いた件で、朝、またすこし論文検索して「状況証拠」を掴み、 もしかしたら数年来の懸案があっさり解決するのでは?!と、 ドキドキしながら京大の代数幾何学セミナーへ。10時半から 12時まで講演を聞く。「閃いた」ことは、この講演の内容とは直接の 関係はないけど、昨夜、この講演が今日あることを知った瞬間に、 何故か昔ちょっと考えた事が上手く行くかもしれないと閃いたことは確かである。

昼食は勿論新福菜館百万遍店。その後、京大数理研図書室に 籠り、夕方までデータベースを検索したり、文献をひっくりかえしたり コピーをしたり、簡単な検算をしてみたりといった作業。 図書室閉館前まで色々やってわかったことは、「このアイディアでは うまくいかない」こと。しかしその副産物で分かったことは沢山 あるから、それは今後の研究に生かせそうだな、と。

数理研といえば、トラちゃんこと数理研猫だが、行きも帰りも トラの住処に誰かがいたので(そこは数理研の喫煙場になっている)、 結局トラに挨拶はできなかった。まあね、何時行って挨拶しても知らん 顔して寝てるだけだから、つまんないってこともあるし。

数理研の帰りに古本の吉岡書店に寄ったら、エコール・ノルマルの シュバレー・セミナー・1958年/1959年のセミナリーノートが出ていた。 これはピカール多様体をテーマとしていて、俺サマとしてはSeshadriの Cariter Operatorの記事が興味深いのだが、このセミナリーノートの 印刷状態の良いものは数理研図書室でもなかなかなく、オスナブリュック大 の図書室にあったものも、印刷の文字が薄くてほとんど判読不能だった。 今日俺サマが手に入れたものは、紙の酸化はかなり進んでいるが、 印刷は十分見やすく値段も1000円と比較的安価だったので、即購入。

それから道草なしで帰宅し、夕食。夜はまた少し数学。

2013年5月30日(木)
<<面倒な話>>
8月のオープンキャンパスの件で、事務の方からメールが届き、 何やら面倒なことを言ってきたので、とりあえずの返事を書いて 出し、自宅を出る。

大丸ラクト山科店で昼食用のパンを買って、昼前に出勤。自宅から 出したメールに事務から返事が届いており、これまた色々面倒なことが 書いてある。それで、一緒にオープンキャンパスの作業をする同僚に 「どうしたものか?」と問合せメールを出しておく。

それから研究室で早目の昼食をとり、12時過ぎから学科長と一緒 に大学の雑用。まあ、俺サマは学科長のそばでぼーっと突っ立ってる だけの仕事だったが、「副学科長だから、一応顔を出せ」と。仕事は 10分ぐらいで終了。

その後、研究室に戻って少し雑用を片付けてから、しばし数学。

14時40分から16時10分まで、大学院進学組の「堀川・複素 代数幾何学入門」卒研ゼミ。今日は ハルトックスの定理(の最も簡単な場合)。俺サマも関数論はそれほど詳 しくないので、証明のポイントがよくわからず、学生と一緒にああでもな いこうでもないとやっているうちに、やっと理解できた。何故複素2次元 以上でないと駄目なのかとか、この証明のアイディアでどこまで定理が 拡張できそうかとか、色々わかって実に楽しかった。 次回はワイエルシュトラスの予備定理の予定。

ゼミの後、すぐに帰宅。しばし数学の後、夕食。ふと閃いたことがあって、 関連文献を引っ張り出して方針をさっと見ただけで、とりあえず ラクトスポーツプラザへ。今日は骨盤矯正ヨガと有酸素運動。 帰宅後、夕食後に閃いたことを少し確かめてみる。まあ、スポーツプラザで 何となく考えてた通り、それほど決定的なアイディアでもなさそうだな。

2013年5月29日(水)
<<学科会議のために出勤>>
午前中は自宅で数学。昼過ぎに自宅を出て、 山科駅の蕎麦屋で昼食の後、隣のSbuxで食後のコーヒーを飲みながら しばし数学。タクシーの運転手仲間と思われる3人組のオジサンが、 京都と大阪の違いを論じていた。大阪は競争が激しいから京都に比べて 物価が安いし、地下鉄の座席も京都と違って、きっちり詰めて座ることを 余技なくされる、と。

京都人は地下鉄などで「京都座り」と俺サマが呼んでいる独特の座り方を する。例えば、5人分のスペースには、3人が両端と真ん中に、それぞれ 間に1人分のスペースを空けて座っているとする(下図参照)。

(1)○(2)○(3) ((1)(2)(3)に人、○は一人分の空きスペース) 

そこで新しい客(4)が乗り込んできて、例えば下図のように、いずれかの客の 間一人分の座席に座るとどうなるか。

(1)(4)(2)○(3) 

ちなみに、京都人は(4)のような座り方はせずに、立ったままで すごすのが普通なので、(4)は「他所さん」だと考えておこう。

とにかく東京や大阪では、上の状態が保持され、また 次の駅で乗り込んできた客(5)が座ったりする。

(1)(4)(2)(5)(3)

しかし、(2)が京都人なら、そうは問屋がおろさない。 (4)が座った直後にさっと座りなおして、

(1)(4)。(2)。(3) 

という風になる。 つまり、2人分のスペースを 1人で占拠して、自分の左右に半人分のスペースを作る。 「もうこれ以上誰も座らせないぞ!」と頑張るわけである。また、 (1)も京都人だとして、(4)の反対側にスペースがあれば

(1)。(4)。(2)。(3) 

という風に、(2)と同じように2人分のスペースを1人で占拠する。 かくして、地下鉄の7人掛けの長椅子を最大5名で占拠するのが、 京都スタイルである。

まあ、「京都座り」は京都に限ったことではなく、割合ゆったりと 電車に乗れる地方都市に多いようで、俺サマは2月3月にあちこち 出張してて、どの街だか忘れたが、「あれ?ここの人達も京都座り してら」と思った覚えがある。

しかし、週に何度か京都の地下鉄に乗って 観察していると、皆さん面白いほど正確に上の法則に従って 動いていることがわかる。

さて、この季節は教育実習の時期らしく、院生も卒研生もほとんど 出払っている。今日の院ゼミも中止になったが、16時半からの学科会議があるため、 15時半過ぎに大学に出勤。長引くかと思われた学科会議は1時間弱で終了し、 大学に居てもすることがないので、図書館をちょっと冷やかしてから 大学を発つ。山科駅前で夕食の後、20時過ぎに帰宅。

夜は8月のオープンキャンパスの研究室公開の企画案を書いて、 メールで事務に送る。研究室公開というのは、いかにも理工系の 実験装置や開発中の怪しげな物を見せる見世物小屋のイメージである。

では数理科学科では何を見世物にしているのか、実のところ俺サマはよく しらない。無理してコンピュータで何か愚にもつかないものを計算し、 その結果をグラフィックスで見せたりしているのかもしれない。

しかし数学科の究極の見世物は、何と言っても数学者である。 高校生たちが指定された部屋に行ってみると、そこに ぽつんと一人変なオジサンなりオバサンが居て、それが オープンキャンパス用に特別生体展示されている数学者である。 ここは数学者という偉大なる暗闇との、スリリングな遭遇の場 なのだ。

「やあ、いらっしゃい」と愛想がよく、しかし話しているうちに、 何やら異様なテンションを感じたりするかもしれない。 あるいは、高校生たちが「こんにちは」と礼儀正しく挨拶しても、 「何だ?お前ら」みたいな感じでギロリと睨んでくるだけかもしれない。 そこでひるまずに、一歩前に出てみよう。案外愉快な人かもしれないよ、と。

はてまた、最初は快活な、感じの良いオジサン、オバサンに見えたけれど、 話しているうちに「馬鹿は大嫌い」オーラをそこはかとなく感じる かもしれない。それを意気に感じ数学科進学に積極的な気分になれるか、 あるいは逆に敬遠したくなるかは、君次第だ、と突き放しておこう。

しかしまあ、数学科に進学したら、こういう珍しい人間を眺めて4年間が 過ごせるのかと知るだけでも、おおいに有意義ではなかろうか。

だから、学科会議で誰が今年のオープンキャンパスを担当するか を決める時に、「数学者の生体展示」を主張し、最も数学者 らしい数学者である××先生か△△先生にご指名!と行きたかったのだが、 何故か数学者でも何でもない俺サマになってしまったな。

かくして今年の夏は、面白くも何ともない、ただ愛想が悪いだけの馬鹿の 俺サマが生体展示されるってわけだ。で、何をするのかって? 何もしないよ。高校生達が礼儀正しく「こんにちは!」と言って部屋に 入ってきたら、「何だ?お前ら」みたいな感じでギロリと睨みつけるだけさ。

企画案提出後、ほんの少しだけ数学。

2013年5月28日(火)
<<普通に忙しい火曜日>>
普通に忙しい火曜日。10時頃出勤。生協で昼食用の弁当とおにぎりを買って、 研究室で一息。10時40分から12時10分まで、3回生以上配当「離散数学」。 今日は射影空間上では多項式関数がうまく定義できないこと、射影代数的集合と Zariski位相、射影代数的集合の次元、射影代数多様体、斉次座標環の定義を行い、 射影空間がアフィン空間の張り合わせになっていることの証明の枕として、 イメージ図を描いてアイディアを説明する。次回はこの証明を行い、斉次座標環と アフィン座標環の間の写像を記述し、代数多様体「射」の節に入る予定。 うーん、やっぱりこのペースではブローアップまで行けそうにない。

短い昼休みは、研究室で昼食、午後の講義の演習の時間に配布するプリントの コピーや学生が使う答案用紙の調達など。

13時から14時30分まで、2回生配当「代数学序論I」の講義。 今日は3次対称群の演算表をつくったり、部分群を計算したり。次回は 3次対称群と3次方程式の関係、すなわち方程式のガロア群の話をする予定。

14時40分から16時10分まで、2回生配当「構造数理セミナーI」の Aクラス。今日はさきほどの講義でやった3次対称群を生成元と関係式で表し、 その表示を使って色々な計算をやらせる。言わば「代数学序論I」の復習問題。

今日は定例教授会が無い日なので、講義の後、研究室に戻って「構造数理 セミナーI」の学生答案の整理、「離散数学」のレポートの採点、次週以降の 「離散数学」の講義の準備などの後、19時過ぎに大学を発つ。南草津駅前で 夕食の後、21時過ぎに帰宅。夜はまた少しだけ数学。

2013年5月27日(月)
<<ハイカラな若者、その後>>
午前中は自宅で野暮用の後、近所の歯医者で定期検診、一旦自宅に戻って、 今度は自転車で山科区内に繰り出す。まずはラクトスポーツプラザの会員契約更新 をしてから、スーパーやドラッグストアに買い出し。

ついでにスーパーに入っているパン屋のイートインで昼食。ここは昼になると 高齢者に占拠されるが、何とか席を確保した。ラクト山科にも同じようなパン屋の イートイン・スペースがあって、そこも昼頃になると、いつも高齢者が占拠している。

俺サマが子供の頃の爺さんや婆さんにとって、昼食がパンやコーヒー なんてのはあり得ない話で、そういうのはハイカラな若者のすることだった。 まあ、その「ハイカラな若者」が今の高齢者なんだから、別に不思議でもないか。

昼過ぎに帰宅して、夕方まで数学。その後しばし野暮用の後、すこし早目の 夕食。それからラクトスポーツプラザへ。今日はストレッチ、筋トレ、 有酸素運動をすこしやった後、楽しいZUMBA。俺サマを含む常連数名 の他に、高校生ぐらいの女の子が一人、今日初めてZUMBAに参加してて、 とても楽しそうに踊っていた。何たって「楽しいZUMBA」だもん。 オジサンも楽しくやってるよ、と。

帰宅後、また少しだけ数学。

昨日の日誌で書いた、双子素数問題で一躍有名になった無名中年数学者、 まあ、シンパシーを感じないでもないのだけど、「彼も数学者だから、 馬鹿が大嫌いなのかなあ」なんてことを考えてしまう。

2013年5月26日(日)
<<日傘戻り、双子素数問題は進展>>
平日はどうしても睡眠不足気味になるので、今朝はゆっくり起きる。 午前中は京都新聞の2つのパズルを速攻攻略したあと、しばし数学。 そうこうしているうちに、バス会社から着払いの宅配便で、先日バスの 中に置き忘れた日傘が届いた。「どうせ失くしたり壊したりするから」 と安物を買ったので、もうちょっとのところで宅配料の方が高くなる ところだった。でも、この夏の間にもう1回ぐらいはどこかに置き忘れ そうな気がする。

午後はバザールの催しをやっているアンチュチュに出かけ、 ドイツ語寺子屋塾が出している屋台物で簡単に昼食をとったあと、 図書室に籠ってしばし数学。15時半頃に「閉館時刻を過ぎてます」 と追い出され、バスで京都駅へ。

京阪ホテル1階のセルフサービス 1時間300円ドリンクお代わり自由のティーラウンジに入り、 アイスコーヒーやオレンジジュースを飲みながら、1時間ほど数学。 大学生ぐらいの男の子が英会話の個人レッスンを受けていた。 まあ、ここなら安上がりだしね。

それから大丸ラクト山科店で赤ワインを1本買って帰宅。夕食後も またしばし数学。

フェースブック友達に「双子素数問題が大きく進展したらしい」と 聞いて、ちょっとネットで調べたけれど、どうもはっきりしない。 それで、その友人にニュースソースを詳しく調べてもらってから、更に自分でも少し 調べてみた。50歳ぐらいの無名の中国系アメリカ人の数学者が、この問題の少し弱 い形のものを解決し、Annals of Mathematicsに3週間で論文が受理されたという ことらしい。まあ、Annalsに受理されたのだから、怪しい論文のガセネタではなさ そうだし、快挙だな。

新しいアイディアではなく、専門家には良く知られた方法を注意深くかつ忍耐 づよく使いこなして解いたのだそうだ。 俺サマは数論が専門ではないので、どういう アイディアで解決したのか、話を聞いてもどうせわからんと思うけどね。

この人は1985年に中国の雑誌にゼータ―関数の論文を出しており、その後 1991年にパデュー大学でPhDをとって、2001年にDuke Math Journal に論文を出している。2001年の論文は少し注目されたようだけど、 研究業績がそれだけだと、 流石にアカデミックポストを得るにも苦労してた模様。まあ、こういう無名の中年 苦労人のサクセスストーリーって、馬鹿の俺サマにも夢と希望を与えてくれるし、 思わず「俺サマも、引き続き頑張るぞ!」って気になった。

2013年5月25日(土)
<<アンチュチュ遅刻・結婚式>>
アンチュチュの日。色々あって、今日は出足が遅れ、フランス語の授業 には20分ほど遅刻。アンチュチュでは結婚式だか披露宴だかをやっていた。 フランス料理のシェフも居るし催し物ホールもあるので、結婚式場としても 宣伝しているのは知ってたが、実際に結婚式をやっているのは初めてみた。

そういうえば今日もフランスの不思議に出くわした。 「動物になるとすれば、何になりたいか?」という条件法の会話練習で、 俺サマは猫(数理研猫を見ているとそう思えてくる)、 豚(皆に好かれるトンカツになりたい!)、 魚(何も考えずにた唯々口をぱくぱくさせて生きていたい) を挙げたのだが、猫は野良猫は嫌で、なるなら断然餌の心配のない飼い猫 でなければならない。

ということで、先生に「飼い猫」は何と言うと質問したら、 「敢えて言えば×××とでも言うんだろうけど、フランスには野良猫は滅多に いないし、猫は基本的にみんな飼い猫なのでchatでよい」みたいな回答が返ってきた。 野良猫いないのかよ?ほんまかいな。 そんな国が世の中にあるのかよ!?世界は広いな、と。

アメリカ合衆国は30年近い昔に一度行ったっきりだが、野良猫はきっと 沢山いたと思われる。何てたって昔「ドラネコ大将」というアメリカアニメがあったし。 原題は"Top Cat"だが、描かれている猫たちは紛れもなく野良猫である。 「ドラネコ大将」の歌は俺サマの心の応援歌で、例えば馬鹿が大嫌いな数学者に 苛められるなどの、苦しいことや辛いことがあった 時は、誰も居ないところでこの歌を口ずさむのである。

♪わはは、オイラは陽気だ、わはは、
♪銭は無いけど、イカしてすましてお出かけだーい!
♪野良猫、チビ猫、ついておいでー!
♪わはは、インチキ悪戯大好きだあいー、
♪猫の中の猫おいらは、ドラ猫さ。えへん!大将!

フランス語の授業は12時半過ぎに終わり、新福菜館百万遍店で昼食の後、 京大ルネの書籍部を ちょっと偵察してから、アンチュチュの図書室に戻り、フランス語の宿題を片付け、 ドイツ語の予習をさらっと済まし、そしてほんのすこしだけ数学。 特に暑かったわけでもないけど、コンビニで80キロカロリー・ダイエット 抹茶小倉モナカアイスを買って食べ、気合いを入れてから寺子屋へ。 16時40分から18時10分頃までドイツ語の授業。

帰りはJEUGIA三条本店に寄ったりして、道草を食ってから帰宅。 夕食後は何となくのんびり遊んでしまう。

2013年5月24日(金)
<<日傘失くし、友来たる>>
今日もカンカン照りの中、大丸ラクト山科店で昼食用のパンを 買って昼頃に出勤。昨日のゼミで学生がふと漏らした疑問が気になって、 研究室にある多変数解析関数論の本を色々調べる。ハルトックスの定理 の最も一般的な形は何なのか?と。何とか目処が立ったところで、 学科の事務に行き、例の博士論文の研究指導が 「核やミサイルの開発に関連するか?」の確認書の件を片付ける。 何のことはない、基礎科学の研究は全て問題なしとのことだった。

13時前から学生との面接。さまざまな理由で大学の勉学に躓いた 学生と面談して、今後の学生生活をどのように有意義に送っていけば よいかを話し合う仕事。最初の学生は40分ほど面談して、まあ、何とか 形だけはうまく纏まった。二人目の学生はより深刻な問題を抱えて いるはずだが、面談に現れなかった。この学生は前回も私が面談役を 仰せつかったが、やはり現れなかった。これからどうするんだろうなあ。

学生面接の報告書を書いて事務に提出し、ハルトックスの定理の件 をメールに書いて学生に送付。それから大学を発とうとしたところで、 日傘が無くなっていることに気付いた。がびーん!俺サマは毎年1本ずつ 日傘を失くす。去年はJRの列車の中に置き忘れ、とうとう出てこなかった。 それで「どうせすぐに失くしたり、壊したりするから」と無印良品で 安いのを買ったのだが、それが次の夏が来るまえにまた無くなってしまった!

通勤経路を振り返ってみて、どうも大学に来る時のバスに忘れたようなので、 バス会社に電話して捜査を依頼してから、京都駅近辺へ。 そこで研究集会のために京都に来ている学生時代からの友人と落ち合う。 それから、書店に行ったり、東寺に行ったり、イオンモールに行ったり、 京都駅ビルで夕食をとったり、駅ビルの大階段で夕涼みしたりと、 オジサン二人でデート。主に研究に関することを色々話す。

俺サマに言わせれば「オジサン、数学者、嘘つき」は世界の三悪で、 彼はそのうちの最初の2つに当てはまっている。しかし、「俺サマが大学 に移る以前からの友人」という免責事項によって、これらはチャラに されているのである。一方、彼もまた、馬鹿が大嫌いな数学者のひとりだが、 「学生時代からの友人」という免責事項によって、馬鹿の俺サマ でも相手してもらえるのである。俺サマって、結構過去の遺産で食いつないで るのよね。

五条のホテルに泊っている彼を、京都駅から然るべきバスに乗せて 見送った後、22時頃に帰宅。それから昨日のゼミで学生がふと漏らした 疑問「コーシ―アダマールの公式の多変数版ってあるのかしら?」の 答えをTeXファイルに纏めてメールで送る。これはBiermann-Lemaireの 公式と言って、俺サマが学生時代に買って、時々眺めるだけで一度も 真面目に読んだことのない多変数解析関数論の教科書に出ていた。

夜、バス会社から「どうやらお探しの日傘と思われるものが見つかりました」 との連絡が入っていた。やれやれ、俺サマの日傘であって欲しいものだが、去年は バスに置き忘れて戻ってきて、次にまた電車に置き忘れ、永遠に戻ってこなくなっ たから、今年も油断はならない。

2013年5月23日(木)
<<メールソフトの障害修復>>
午前中は自宅で野暮用の後、大丸ラクト山科店で昼食用のパンを買って 昼前に出勤。まずは昨日何故か送信機能だけ動かなくなっていた 研究室のPCのメールソフトの設定をいじくる。古いPCだし、ディスク 損傷が遠因になってたら厄介だなと思ってたが、どうやら 大学のサーバーに最近何らか変更があったのか、最新のシステムパラメータ が掲示されているサイトを捜して、それに設定し直したら、すんなり修復された。

研究室で昼食の後、13時から14時30分まで、就職組の「アルティン・ ガロア理論入門」卒研ゼミ。今日は行列の列階数と行階数の定義。次回は 両者が一致することの証明を行う予定だが、3週間の教育実習の後になる。

引き続き14時40分から16時10分まで、進学組の「堀川・複素 代数幾何学入門」卒研ゼミ。今日は多変数正則関数のべき級数展開、 一致の定理、最大値の定理。次回は来週で、ハルトックスの定理の簡単な バーションから。いよいよ多変数っぽくなってきて、楽しみである。

卒研ゼミの後、少し雑用を片付け、17時頃に大学を発ち、大丸ラクト 山科店で白ワインを1本買って帰宅。夕食の後、夜はラクトスポーツプラザ。 今日は骨盤矯正ヨガと有酸素運動。帰宅後、また少しだけ数学。

大学の事務からメールが届き、博士課程の留学生選考の一貫として、仮に 俺サマが研究指導する場合、その内容が核やミサイルの開発に関わるものか どうか確認する文書を送るから、チェックして送り返せとのこと。何でも 外為法違反にならないかどうかの確認らしい。そりゃあ、数学は科学・技術 の基礎ですからね、何にだって関係しますよ、、、って、そういうことを聞 かれてるわけではないな、きっと。しかし、何で外為法なんだろう?

2013年5月22日(水)
<<査読督促、談話会、ギロリのレビュー>>
今日から1カ月院生が就活関連でゼミを休むとかで、学科会議もないし、 一日フリーの日。そういえば、来週から就職組の卒研生が一斉に 教育実習に出払ってしまうので、3週間卒研ゼミはお休みとなる。

午前中は某雑誌の編集者に、「1年前に提出した俺サマの糞論文の 審査、まだ終わらんのか?」と督促メールを出す。本当は半年ぐらい前に 督促しても良いのだが、あまりの糞論文で気が引けてたのと、クリスタリン ・コホモロジーやド・ラム-ヴィットコホモロジーの勉強で悪戦苦闘して て、督促してリジェクト食らっても、すぐには論文直して再投稿というところまで 手が回りそうになく、そのまま放置してあったのである。

その後、しばし数学。昼頃山科区内を自転車で あちこち回って野暮用。途中その辺で適当に昼食。帰宅してまたすこし 数学、野暮用などの後、京大へ。

今日も暑いので、百万遍でバスを降りて からコンビニで80キロカロリーダイエットアイス最中を買って食べようと 思ったが、1件目は売り切れ、2件目はもともとその商品を置いてなかった。 3件目の京大生協コンビニも駄目で、結局生協食堂の自販機で冷たいアイス カフェオ―レ。まあ、アイスは喉が渇くから、こっちの方がいいか、と。 これで少しは生き返った。

数理研に到着するや、まずトラちゃんこと数理研猫を久々に表敬訪問し、 図書室でちょっとだけ文献を眺めた後、16時半から代数幾何学の談話会。 時間延長で18時前に終わり、数理研猫に挨拶してから帰宅。

帰宅したら、朝のメールに返事が来ており、「最初の査読者がさぼっていたので、 今度は別の査読者に審査を依頼した」とのこと。それ以外に、アメリカ数学会 から論文レビューの依頼メールが来て、何と、あの、畏れ多いギロリの数学者 (「ギロリの数学者」は掃いて捨てるほど沢山いる)の論文が届いた。さすがに ピュアレビューの仕事ではないので、気楽に引き受けておこう。

夕食後、録画しておいたNHKの番組を見る。人類は進化の代償としてガン になりやすい体質になった、と。では数学者は、何の代償として馬鹿が大嫌い な体質になったのだろう?とりあえず「数学の女神に魂を売り渡した代償」だ と言っておこうか。

夜は談話会で取ったノートを少し復習。それから少し数学をと思ったが、 眠くなったので、本日は業務終了。

2013年5月21日(火)
<<俺サマのせいじゃない>>
今学期の火曜日は多忙である。10時前に出勤し、生協コンビニで昼食用の お握りなどを買う。生協コンビニは若者向け揚げ物 and/or 肉たっぷり のガッツリ系ものが多く、水を飲んでも太るオジサンは一体何を食べれば 良いのか?といった観がなきにしもあらず。

10時40分から12時10分まで、3回生以上「離散数学」の 講義。今日は前回次元論の講義をしてみて気になったこと、つまりコーエン・ マコーレー環のカテナリ性などの話をしてから、(標準的)次数付き環 や斉次イデアル、斉次イデアルが素イデアルになるための条件など。 次回はこれらの概念を使って、射影代数的集合や射影代数多様体の 定義などを行い、射影代数的集合がアフィン代数的集合で被覆されている ことを示す予定。

短い昼休みは研究室で昼食。13時から14時30分まで2回生 「代数学序論I」の講義。今日は前回ウソを喋った有限巡回群の部分群 の構造の話をやりなおしてから、部分群による剰余分解の存在を 示し、ラグランジュの定理を証明する。それから対称群の話に 入り、対称群の要素は全単射自己写像とみなせ、合成写像を演算として 群をなすことを示す。次回は特に3次対称群の構造と3次方程式の 関係について話す予定。

ひきつづい14時40分から16時10分まで、「代数学序論I」 の演習講座Bクラス。先週のAクラスと同じ内容で、 巡回群の部分群、2つの生成元をもつ有限アーベル群の 部分群の決定、2つの生成元を持つ有限非アーベル群の要素の決定など。

研究室に戻って一息ついてから、16時30分より教授会。重い議題を 中心に19時過ぎまで。議事を聞きながら、演習の授業の答案の整理を したり次回の課題を考えたり、「離散数学」のレポートの採点をしたり。

俺サマはたぶん普通の人とは思考の回路が違っていて、そのために そう思えてしまうのかもしれないが、世の中にはずいぶん不可思議な思考回路 の人が多い。ニュースを見聞きしてても、数学者を見ていても、そう思う例が 沢山ある。それだけかと思ってたのだが、今日の教授会で、学部長に以前から 疑問に思っていたことを質問したところ、数学者以外の大学教師でもそういう 例が沢山の例があることが明らかになった。

このことによって次のことが分かった。すなわち、Ritsがいまひとつ 一流大学になれないのは、俺サマのような馬鹿が教授をやっているからだと思 っていたが、そうでもないらしい。それを知って、ちょっと気が楽になった (と日記には書いておこう)。

会議の後、研究室に戻り、もう少し雑用をして、20時過ぎに大学を発つ。 南草津駅前で夕食をとって、22時前に帰宅。 帰宅後、夜は次回と次々回に演習の講座で使う問題をTeXで清書。

2013年5月20日(月)
<<深夜の地震>>
暑い一日だった。午前中は自宅で野暮用の後、自転車で山科区内のスーパーや ドラッグストアを回って買い出しをしたり、郵便局でお金を振り込んだり。

帰宅して荷物を置いてから、また山科区内に繰り出し、その辺で昼食の後、 山科駅前Sbuxでしばし数学。Sbuxでは以前ここで見掛けたことのある 怪しいオジサンが居て、俺サマが帰るころも、まだ居た(「どっちが怪しい オジサンなんだよう!?」という突っ込みは瞬殺却下する)。何故怪しいかというと、 数年前だか、彼がSbuxで携帯電話でたぶん職場関係者と話していて、 その内容が尋常ではなかったである。

夕方近くに帰宅して野暮用、また少し数学、すこし早目 の夕食の後、またすこし数学。そしてラクトスポーツプラザへ。今日はストレッチ、 筋トレの後、楽しいZUMBA。帰宅してから、講義の準備を少しだけやって、 またしばし数学。

深夜に滋賀県南部を震源とする地震があり、山科は震度2だった模様。 地震があるたびに、阪神淡路大地震の感覚を思い出して身構えてしまう から、えらいものである。

2013年5月19日(日)
<<久々のカツカレー>>
昨夜は割と早く寝たので、かなり睡眠不足が解消された模様。 午前中は京都新聞日曜版の2つのパズルを速攻で攻略。その後しばし数学。

昼過ぎに街に出て、寺町三条「生そばの常盤」にて、予定どおり(ビーフ) カツカレーの昼食。水を飲んでも太る俺サマが、カツカレーなどというカロリー爆弾 を食べても良いのかしら。っていうか、カツカレーなんて何年ぶりかしら。 我慢してカツカレーを食べずにいても太るんだから、この際「ままよ!」 と食ってやれ、と。でもまあ、先日、同じく長年我慢して食べてなかった カツ丼をこの店で食べたし、津に帰ったら鰻重食いまくりだし、もう、何でも いいか。

今日の常盤は老若男女で大繁盛だったが、俺サマはかろうじて1人用の小さな 席を確保できた。隣のテーブルでは、若い女3人組が、「ビーフカツ丼」 「木の葉丼」「カレー天丼」を食べていた。カレー天丼とは、どうやら 天丼のツユの代わりにカレーがかかっているとう奇想天外なメニューらしい。 海老天にカレーってのもどうよ?という気がしないでもないが、海老フライカレー というのもあるから十分セーフか。女は「カレー饂飩みたいで、美味しい!」とか 言って喜んで食べていた。

反対側のテーブルでは、70代ぐらいの男がザル蕎麦を食べていた。蕎麦屋の 看板を出してる店だから、これもいつか食べてみないといけないが、とりあえず 次回は「焼き飯」に挑戦してみようと思う。

昼食後は上島珈琲寺町通り店で数学。常盤に居たザル蕎麦男もちょうど 俺サマが来る直前に来ていて、コーヒーと濃栗モンブランというリッチ なデザートを注文していた。

俺サマの席の近くでは、30代ぐらいの文系分野の 研究者と思われる女が、70代後半ぐらいで昔某D大の英語教師をしていたらしき 男に、「アカデミックポストをどうやって得ればよいか」みたいなことを相談していた。 「京都ではR大(俺サマが勤務している大学である)よりもD大の方が評価が 高いそうですね」なんてことを言ってたから、この女は他所者なのだろう。

さらに「R大は宗教系?左翼系、いったい何系?ですか?」みたいなことも 聞いていたが、男は「うーん、何系でもないみたいだけど、R大は宣伝がうまい からね、むにゃむにゃ」みたいな要領を得ない返事をしていた。

それから話は、その大学出身の教員は愛校心が強いが、 自分は違う学校の出身だから特に思い入れはなかったというような 方に流れ、そうこうしているうちにお開きとなって二人は帰っていった。 コーヒーなどは女の方の奢りだったようだが、まあ、相談料ってことだろう。

上島珈琲を出て、JEUGIA三条本店を少し偵察してから、 大丸ラクト山科店のジューススタンドでいちごミルクを一杯飲んで 帰宅。夕食後、夜もまた少し数学。

2013年5月18日(土)
<<またも睡眠不足>>
昨夜はまた学科運営関連のメールのやりとりをして頭が熱くなり、今朝は かなり睡眠不足気味。折角学生とゼミして、ウソの証明の修復方法を一所懸命 考えたりして、やっと健全な脳内バランスを取り戻したところなのに、何だよ!? と言いたいところ。しかし今日は兎に角アンチュチュの日。

9時35分頃にアンチュチュに到着。しばし図書室に籠って基本動詞の 条件法の活用形の暗記など。10時から12時半までフランス語の授業を 受ける。語学の授業を受けていると、やはり学科運営のことを忘れること ができるので良いのだが、その効果は限定的であることが前回学科長を やった経験でわかっている。やはり語学をやる時と学科運営を考える時では、 脳の別の部位を使っているからであろうと思う。

確か、その頃は京都ゲーテに通っていたのだが、学科長職のストレスで 俺サマのオジサン嫌いが病的なレベルに達したと思う。 早目にゲーテの教室に来たら、クラスメートのオジサン (と言っても俺サマより一回りぐらい若かったようだが)が1人だけ 居たので教室に入れず、後から女のクラスメートが来るまで廊下で 待ってたことがあった。「高山さん、そこで何してるの?」 「いやあ、実はかくかくしかじかで。。。貴女が来てくれて、助かったよ!」 「(アホかいな?この人、という顔をして無言)。。。」みたいなやりとりもあったな。 勿論、そのオジサンには個人的には何のウラミツラミも無いし、とても いい人なのだが、ただ、オジサンというだけで「俺サマ的には、無理!」 って感じだった。そのゲーテの講座も今はリストラされて無くなってしまったけど。

昼食は例によって、新福菜館百万遍店。何で京大近辺に来たら新福菜館に 決まっているのか?この辺が俺サマの粘着質な性格をよく表している。 今日は例の「ゴトーを待つ男」は居なかった。

昼食の後、百万遍のファミリーマートで80キロカロリーダイエットバニラ小倉 アイスを買って食べ、京大ルネ前自販機で食後のコーヒーを飲んでから、 京大ルネ書籍部を偵察飛行。ポーランド語会話の本があって、ちょっと眺めて みたが、1週間の出張のためだけにわざわざやるか?と思って、本棚に戻す。

それからアンチュチュの図書室に籠って、フランス語の宿題を片付け、睡眠不足 をやりすごすために20分程度居眠りをしてから、数学をすこし。

16時40分から18時10分頃まで、寺子屋にてドイツ語の授業を受ける。 帰りは徒歩で京都市役所前駅まで。それから道草なしで山科に戻り、大丸ラクト 山科店で安い赤ワインを1本買ってから帰宅して夕食。やはり睡眠不足で頭が ぼんやりしているので、夜は早目に来週のドイツ語の予習をしたりして過ごす。

2013年5月17日(金)
<<航空券を予約する>>
昨日の卒研ゼミで学生に嘘の証明を話してしまったので、昨夜から 考え直していて、午前中に出勤。出勤途中で証明の修復方法が分かったので、 研究室から学生にメールで連絡。

それ以外には、生協書籍部で「地球の歩き方」(チェコ、ポーランド、スロバキア) を買った。生協には何も教育されずに現場に放り出された研修生がレジをやっており、 俺サマが提示した組合員証がニセモノだと大ボケをかましてみたり、領収書の 書き方がわからず、ペンを持ったままいつまでも固まってたりした。 それを指導する立場の先輩職員もまた頼りなく、研修生の話をロクに聞かずに、 俺サマの組合員証で勝手にカード引き落とし処理をしてみたりといった調子。

そういえば、3月に卒研用のテキストを纏めて取り寄せ注文したときも、 納入予定日を過ぎてもなかなか届かないと思って問い合わせたら、「流通過程で 消滅したと思われる」みたいなことを言ってたし、たまに利用すると必ず何か 馬鹿げたことが起こる。やはり書籍はなるべく京大生協で買うようにしよう。

大丸ラクト山科店で買っておいたパンで昼食の後、午後は生協トラベルで ポーランド行きの航空券の予約をした。その後、研究室で明日のドイツ語の予習 や、ドアのポストに投函されていた「離散数学」のレポートを採点したりして から帰宅。

夜は、「地球の歩き方」を読んだり、ネットで検索したりして、 ポーランド出張のことを色々下調べ。

2013年5月16日(木)
<<頭がオーバーヒート>>
会議疲れというか、あれから頭がオーバーヒートしてしまって、 四六時中学科運営に関することばかり考えてしまって、 朝、歯磨きをしたかどうか分からなくなって2度歯磨きを してしまったり、大丸ラクト山科店で昼食用のパンを 買ってから出勤しようと思ってたのに、忘れたまま大学に 到着してしまったり、夜、ラクトスポーツプラザに行った折、 いつも持っていく着替えの靴下を忘れたり等々のボケを かましまくっていた。 今日の仕事としては、13時から2コマ続けて卒研ゼミの 就職組と進学組の相手をするだけだが、それ以外はほとんど 何も手がつけられなかった。

まあ、こういうことは2006年度に学科長をやったときにも 経験済みだが、あまり嵩じると冗談抜きで精神を 病んでしまう。来年度また学科長の役が回ってくるので、注意が 必要である。

前回学科長をやったときの経験では、この手のストレスに対処 するには、学生とゼミをするのが一番効果的である。おそらくは 数学を考えるときと、学科運営のあれやこれやを考えるときは、 脳の同じところを使っているようなので、強制的に別の ことを考えるようにすれば、その間は学科運営の事が頭から 離れるという理屈である。こういう時は研究として数学 を考える気分には、なかなかなれないものだが、 学生とのゼミなら、強制的に自分を数学に仕向けることができる。

夜、スポーツプラザでヨガをやっている時も、頭を空っぽにして リラックス効果があったが、帰宅後の深夜になって、ふと今日のゼミで 俺サマが学生に話した証明が間違っていることが分かり、正しい 証明を考え始めたら頭の中がそれだけで一杯になってしまって。 執拗に脳裏から離れようとしなかった学科運営のあれやこれやの ほとんどを放逐することに成功した。

学科運営について考えるのが何故これほどまでストレスフルで かつ、思わず根を詰めて考えてしまうのかというと、それは俺サマの これまでの毀誉褒貶の激しい人生行路が関係しているように思う。 自分がいる場所の周囲の環境が安定していないと、おちおち研究 などやってられないわけで、あたかも弱小国が周囲に居並ぶ強国との パワーバランスに細心の注意を払って、自国が侵略されたり極端に 不利な立場に陥れられたいしないようにしていなければならないのと 同じである。

俺サマは、多くの数学者がなぜあれほど自分の周囲の環境に 無関心でいられるのかが、むしろ不思議でならない。ただ彼らは、 周りでどんな理不尽が横行して苦しい境遇に陥っても、自分ひとり歯を 食いしばって耐えていけばよいことだ、みたいに考えているのかも 知れない。